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ダブルスタンダードと「独自基準」
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平成24年5月6日 武田邦彦(中部大学)
2012.05.06 武田邦彦 ダブルスタンダードと「独自基準」
親は「政府が間違っていたから」という理由で子どもの健康を害しても良いとことはない。政府が悪ければ、親が正しくなければ子どもの信頼に応えられない。
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農水省は「1キロ100ベクレルという新基準を作ったのに、それ以下の独自基準はけしからん」と言い、それに追従するマスコミも見られる。マスコミの論調は「違法でなにが悪い! 庶民は被曝しても文句を言うな!」という内容が書いてある。専門家も御用学者も「空気がそうなら、そう言う」という信念を貫いている。
でももともと「違法な独自基準」を決めているのは政府の方である。日本の法律に違反しているのにマスコミが「ヨーロッパは・・・」とヨーロッパの基準を持ち出すなど、日本を馬鹿にしているのも甚だしい。国民の健康を心配するなら、せめて「法律を守れ」ぐらいは言って欲しい。
繰り返すことになるが、日本の法律は「1年1ミリシーベルト=外部+内部被曝」と決まっている。これを正面から否定する人はいない。厚労省の大臣がさらっと「1年1ミリですよ」と言って、これまでの違法を謝罪しない。まさに現場から離れた東京の論理だ。
それなのに、またも政府の機関が決めた今回の食品の基準は「食品だけで1年1ミリ」と公言した。厚労省の食品安全担当が、厚労省の大臣とは違うダブルスタンダードなのだから驚く。交通事故で言えば、飲酒運転が禁止されていても、酒飲みの運転手を保護して、はねられる子どもを無視するという方針だ。最初から、食べる人の健康ではなく、食材(本当は汚染された食材は食材とは言えない)を作る側に軸足を置いた値である。
まず食品基準を決めるときには、次の手順が必要である。
1) 原発が原因となる被曝は1年1ミリ以下に納めるのが、原発を実施するにあたっての国民同士の約束(法律、規則、指導)であり、それを守るのは当然だ、
2) 1年1ミリは外部被曝と内部被曝の合計であるので、まず、政府全体でその割合を決めなければ個別の規制は決まらない(たとえば、内部食材0.4ミリ、内部水0.1ミリ、内部土ほこり0.1、外部0.4ミリ・・・これが示されないと議論にもならない)、
3) 個別の食材の規制では、内部食材0.4ミリの場合、次に厚労省の標準食品表(1日あたりの日本人の標準的食品の量)に基づき、計算し、食事の偏り(サカナの好きな人などの幅)の計算を公表する、
4) もしくは、現在の農薬などに適応されている「無毒量(1年1ミリ)の100分の1」の原則を使用する(これが低レベル廃棄物やクリアランスレベルの0.01ミリ)で、個別の食材に100分の1則を使うのは、データの不確かさ、個人の防御力のばらつき、個人の嗜好の幅などが考慮される、
5) 50年間の内部被曝、人体からの排泄などを考えて、1年の積算被曝量を出す、
6) それに基づくと、1キロ40ベクレルが最高で、それ以上にはならない。
というものだ。このような理論的な計算をしてから議論しないと、政府や厚労省、農水省、一部マスコミの論調は「おまえら国民は何も知らなくて良い。結果だけ教える」というもので、まったく民主主義というものを尊重していない。
福島原発の後、政府は徹底してダブルスタンダードを使っている。1年1ミリの法律を使って14才の少年を書類送検してみたり、同時に1年20ミリの新基準をだしている。食品でも「暫定基準」なるものがセシウムだけで1年5ミリ、全核種で17ミリとして、半年あまりで1年1ミリ(内部被曝だけ)とする。
まるで、夜店の値引きのようだ。原発が事故を起こしたら、どのような基準で行くかもすでに原子力安全委員会で決まっているのに、誰も知らないからという理由で勝手放題である(10万年に1回の事故に限って、上限を1年5ミリまであげうる、被曝によるがん死は1年150人以下にするなどが決まっているが、政府、マスコミはそれを守ろうともしない)。
政府、マスコミに法律や決まりを守る誠実さを求めたい。誠実であっても子どもに被害が出るかも知れないが、それは不可抗力だ。でも、最初から不誠実で子どもに健康被害がでたら、私たち大人は大人を止めなければならない。
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