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【肥田美佐子のNYリポート】
米議員が4号機プールの危険性を指摘「燃料棒取り出しの迅速化を」
2012年 4月 20日 18:12 JST
「(福島第1原発のクリーンアップ収束までの)道のりがまだまだ遠いのは歴然としている。対処すべき実質的な健康問題が生じたのは明らかだ。4号機に懸念があるのも明白である。地震や津波で、(使用済み燃料)プールが損壊すれば、核燃料棒が過熱してメルトダウン(炉心溶融)しかねない。そうなれば、放射性物質が飛散し、制御するのは至難の業になるだろう」
4月6日、米国の上院議員として初めて第1原発内を視察したロン・ワイデン議員(民主党、オレゴン州)は、17日、米ニュース専門局MSNBCに出演し、原発内の様子を生々しく語った。
同議員によれば、敷地内には何百トンというガレキが残存し、巨大なトラックや貯蔵タンカーが転がっている。まるで、ワイデン議員の4歳になる双子の娘たちが「オモチャを散らかしたような状態」だという。
なかでも危険なのが、2011年3月15日、水素爆発で建屋の屋根が吹き飛び、地上から30メートルの使用済み燃料プールで燃料棒が「環境に露出した」形で冷却されている4号機だ。プールに保管されている燃料は、使用済み燃料1331体と新燃料204体、合わせて1535体に上る。
米エネルギーコンサルティング会社、フェアウインズのチーフエンジニアで米原発業界幹部だったアーニー・ガンダーセン氏も、非営利団体、カナダ核責任連合(CCNR)のウェブサイトに掲載されている報告書「フクシマ――危機は終わっていない」のなかで、4号機の危険性について述べている。
昨年6月に発表された同報告書によると、プール内の燃料は、建屋の屋根がなく、上空から丸見えの状態で保管されているため、使用済み燃料が過熱し、燃えるようなことになれば、多量のプルトニウムやウラニウム、セシウム、ストロンチウムが飛散。10万人以上が命を落とすことになるという。ガンダーセン氏が、特に4号機プールの出火を「おそらく最大の懸念」とするゆえんだ。
原発問題に献身する元国連職員の松村昭雄氏が4月3日付ブログのなかで、使用済み核燃料専門家のロバート・アルバレス氏(米エネルギー省長官・次官の元上級政策アドバイザー)の試算を紹介しているが、4号機のプールが壊れて水が流れ出た場合、放出されるセシウムの量は、チェルノブイリ事故の10倍に達するという。
「一定の水位が保たれているとはいえ、燃料プールには、大量の燃料が、むき出しのまま入っている。地震の影響で建屋の強度が減じた今、新たな地震で、建屋がプールごと崩壊するような事態にでもなれば、燃料棒が、地面か残存するフロアにばらまかれ、極めて危険なことになる」と、原発危機の収束に向けて研究を重ねる、ある日本の専門家は指摘する。
彼が師と仰ぐ米国の原発専門家たちも、震災直後から、建屋の崩壊以前に、使用済み燃料の状況を最も危惧しているという。まず、プール内の使用済み燃料は、原子炉内の燃料に比べ、互いに、より近接して保管されている。次に、原子炉格納容器や、メルトダウンした他の3基の核燃料の多くが溶けてたまっている原子炉圧力容器と異なり、プールには、放射性物質の放散を防ぐ物理的な障壁がない。また、核分裂反応を制御する制御棒も存在しない。
既に公開されている米原子力規制委員会(NRC)内部文書(11年3月17日付)から、NRCも、3月14日に建屋が爆発した3号機に続き、4号機に優先順位を置いていたことが分かる。
当初、東電は、4号機の建屋を補強する必要はないと判断したが、昨年6月、万一に備え、耐震強度を2割増やす補強工事を行った。
2011年10月14日付朝日新聞(電子版)によると、経済産業省原子力安全・保安院が6月に行った解析結果では、補強完了前に余震が起こった場合、プールが損壊し、水が漏れ、冷却機能が失われることで、2〜3時間後には放射性物質が漏れ出し、7.7時間後には燃料溶融が始まることが予想されたという。耐震工事はされたものの、米国の専門家の目には、依然として不十分だと映っているのだろう。
4号機の危険性を指摘しているのは、失言で更迭されたケビン・メア元米国務省日本部長も同じだ。震災後、米軍の「トモダチ」作戦で調整官役を務めた同氏は、著書『決断できない日本』(文春新書)のなかで、「米国の原発関連企業は4号機の現状を心配しています」と書いている。
同書によると、日本ではあまり報じられていないが、4号機の貯蔵プールには「建屋のコンクリート片が大量に落下しており、プールの水の組成が化学変化を引き起こす」恐れがある。その結果、「核燃料を覆っているラックが溶け出し、新たな燃料融解が起きる」可能性がある。
「4号機の燃料棒貯蔵プールが瓦礫の重みで崩落し、大量の燃料棒がフロアに散乱してしまう危険性もある。4号機の状況は厳しい。時間との戦い、といった月並みな表現では言い表せないほど切迫しているのです」
『決断できない日本』の発売が昨年8月18日であることを考えると、補強工事が終わった7月前に書かれた可能性が強いが、耐震強度の2割増程度で、これほどの危機が収束したとは、とうてい思えない。
本紙(4月18日付)によれば、東電は、できるかぎり早期に燃料棒を取り出すべく動いており、行程表どおりに進めば、14年に作業が始まる予定だ。しかし、ワイデン議員は、10年がかりで使用済み燃料棒をドライキャスクに移す計画にはリスクがありすぎるとみる。
前出のニュース番組で、「日本人は、非常に誇り高き人々だ。これまで、外からの助けを不承不承受け入れてきた。はたして危険な燃料棒の処理については、国際的な援助を受ける気があるのか。それとも、自分たちだけでやるつもりなのか」という男性キャスターの問いかけに対し、ワイデン議員は、行程表の迅速化を強調した。
「今度、また地震や津波が起こったら、甚大な被害が生じ、前回よりも多量の放射性物質が放出される恐れがある。急がねばならない」
同議員は、藤崎一郎米大使やチュー米エネルギー長官、クリントン米国務長官、ヤツコNRC委員長にも書簡を送り、日本の対応の遅さを指摘。米国の支援の必要性を訴えている。
「過酷な環境下でのさらなる構造補強とキャスクへの燃料棒移動に向けた準備――。これは、軍事用を含め、原子炉解体の実績のある米企業でも簡単なことではない」と、前出の日本の専門家は言う。「とはいえ、より迅速な難問解決を可能にする技術をもっているのは米国。ならば、もっと直接支援を仰ぐべきではないか」
国民の命と健康を守るためには、政治家や官僚の「国家の威信」や「誇り」など百害あって一利なし、である。
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肥田美佐子 (ひだ・みさこ) フリージャーナリスト
Ran Suzuki
東京生まれ。『ニューズウィーク日本版』の編集などを経て、1997年渡米。ニューヨークの米系広告代理店やケーブルテレビネットワーク・制作会社などに エディター、シニアエディターとして勤務後、フリーに。2007年、国際労働機関国際研修所(ITC-ILO)の報道機関向け研修・コンペ(イタリア・ト リノ)に参加。日本の過労死問題の英文報道記事で同機関第1回メディア賞を受賞。2008年6月、ジュネーブでの授賞式、およびILO年次総会に招聘される。2009年10月、ペンシルベニア大学ウォートン校(経営大学院)のビジネスジャーナリスト向け研修を修了。現在、『週刊エコノミスト』 『週刊東洋経済』 『プレジデント』などに寄稿。『週刊新潮』、NHKなどの取材、ラジオの時事番組への出演、日本語の著書(ルポ)や英文記事の執筆、経済関連書籍の翻訳にも携わるかたわら、日米での講演も行う。共訳書に『プレニテュード――新しい<豊かさ>の経済学』『ワーキング・プア――アメリカの下層社会』(いずれも岩波書店刊)など。マンハッタン在住。 http://www.misakohida.com
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_430178?mod=WSJFeatures
福島第1原発は非常に危険 米議員が燃料棒について警鐘
2012年 4月 18日 11:25 JST
福島第1原発の状況はどのくらい危険なのか。4月に視察を行った米上院エネルギー委員会の有力メンバー、ロン・ワイデン議員によると、非常に危険だという。
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Associated Press
福島第1原発4号機
ワイデン氏は藤崎一郎駐米大使にあてた16日付の書簡で、同原発の原子炉建屋が再び地震や津波に見舞われれば、崩壊し、「当初事故よりも大規模な放射性物質放出」が起こる恐れがあると警鐘を鳴らした。
特に、日本は動きが遅く、危険な核燃料棒を原子炉から取り出していない。米国はスピードアップに向けた支援をすべきだ。ワイデン氏は藤崎氏のほか、 スティーブン・チュー・エネルギー長官、ヒラリー・クリントン国務長官、 原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長への書簡でもこう訴えて いる。
東京電力の広報担当者は書簡についてコメントできないと述べ、同社としては行程表を着実にこなすことしかできないと説明した。外務省はコメントを控えた。
福島第1原発では、昨年3月11日の地震や津波による停電を受け、原子炉3基でメルトダウンが起こった。同3基の核燃料の多くは溶けて圧力容器の下にたまっていると考えられている。悪い状態だが、少なくとも容器が放射性燃料と外の世界を隔てている。
ただ、事故のとき保守のため閉鎖されていた4号機では、核燃料棒はこうした容器の中ではなく、屋上のプールに保管されていた。この「使用済み燃料 プール」の水が、燃料棒を低温に保ち、外の世界から遮断しているのだ。しかし、水が漏れたり、地震でプールが崩壊したりすれば、この燃料すべてが外の空気にさらされ、過熱し、大量の放射性物質を放出するだろう。他の原子炉にも使用済み燃料プールはあるが、量は比較的少ない。
東電によると、4号機のプールを分析し、建屋を補強する必要はないとの結論に至ったが、補強を行って安全余裕(耐震強度)を2割高めた。できるだけ早期の燃料棒取り出しに向けて動いているという。すべてが行程表通りに進めば、14年に作業が始まる可能性がある。
ただ、ワイデン氏によると、この日程は使用済み燃料をすべて取り出す作業に最大10年を当てている。同氏によれば、あまりにリスキーな長さだ。
同氏は藤崎氏あての書簡で、「この日程は、また重大な地震関連の事象が起こると考えた場合に、甚大で継続的なリスクをはらんでいる」と警告。「同原発の本当の地震リスクに対する過小評価は深刻であり、未解決のままだ」としている。
記者: Phred Dvorak
http://jp.wsj.com/Japan/node_428640
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