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大飯原発再稼動は反対
民主党政権が大飯原発再稼動に向けてまっしぐらに動いているように見える。大きな地震に対しての安全性などまったく担保されていないからだ。原発直下である程度以上大きな地震が起こったことは世界で一例もない。ところが、直下型の地震によって衝撃波が起こることが最近になってやっと分かりだし、それに対してどうやって耐震性を持たせるかはまったく決まっていない。
大阪市大の専門家による「直下型地震による建造物の衝撃的破壊の特徴について」( http://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/infolib/user_contents/shinsai/001007.pdf ) には地震の上下動に伴った衝撃的な力が鉄筋コンクリート製の建築物を破壊したことが述べられ、現行の建築基準法などがそれに対応できていないばかりか、上下方向の衝撃的な力そのものが学会によって無視されていることが述べられている。
更にこの資料の13ページには西宮市立西宮高校の校舎崩壊の事例が取り上げられている。もともとの比較的固い地盤と池を埋め立てた軟弱な地盤に跨って立てられた校舎の、固い地盤の上の部分が地震衝撃波によってつぶれ、軟弱な地盤の上の部分は被災していないというものだ。
この校舎の3階は職員室になっていてその写真が公開されている。 http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV1008.html とか http://www.lib.kobe-u.ac.jp/directory/eqb/photo/kawase/Jap/Photo/PhotoV1010.html がそうで、校舎3階の職員室の座屈(建物などの一部がまるで座り込むように崩れて折れ曲がること。普通は座屈した部分の上部はそのまま立ったままで倒壊しないことが多い)した部分としていない部分の境界を撮影したものだ。これを見ると机上にある書類がさほど散乱していないし、天井の崩落もない。更に机がもともとの列になったままであるのが分かる。
つまり衝撃波は固い地盤を伝わりやすく、やわらかい地盤ではすぐに減衰してしまう。そのため固い地盤から衝撃波がコンクリート部分に伝わり、建物全体で比較上細い柱にその力が集中してあっと言う間に1階部分の柱や壁を座屈してしまったのだ。もし縦にゆさゆさと揺られたのなら机上の書類などはもっとばらばらに散乱していなければいけない。仮に横揺れがあったとしたら机が元の列を保っているはずがない。なお、それでも机上の書類が散乱しないのはおかしいと思われるかもしれない。実を言うと衝撃波は一瞬で建物を伝わり上端で反射して来るというのだ。そうやって反射した波が何重にもなって威力を強め構造物を破壊する。
こういった地震衝撃波についてはアメリカなどでも観察されていてインターネット上で論文を見ることが出来る。super-shear wave とか shear shock wave などで検索をかければかなりの数の記事が出てくる。アメリカの記事では横ずれ断層で断層の直線部が長い場合に、super-shear waveが発生するとしている。
しかし、たとえばプレート境界型の地震で衝撃波が観測されている。1933年(昭和8年)3月3日に、岩手県釜石市東方沖約200km(北緯39度7.7分、東経144度7分)を震源として発生したM8.1の昭和三陸地震での海震がそれだ。その記録を http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/13789/1/jib0010024.pdf で読むことが出来る。ある程度以上の大きさの地震が海底で起こったとき、その震源域の真上の海上を航行してしていた船に地震波が海水を伝わって、船体に衝撃を与え、船体が激しく揺れたり壊されたりする現象だ。プレート境界型の地震は横ずれ断層型とはまったくメカニズムが異なる。
衝撃波はもともと波が互いに重なってその力を強めた結果できるものだ。ジェット機が音速で飛行するとき衝撃波が発生するが、これは飛行機がある程度の速度で大気中を飛ぶとき、大気と機体との相互作用で音波が常に発生するが、飛行機の速度が音速になると先に機体から発生した音波に音速で飛んでいる機体から発生している音波が重なるからだ。
縦波の影響としては空振というものもある。火山噴火で爆発的なものが起こると、その振動が大気中を伝わり数十キロも離れた建築物の窓ガラスを割ったりする現象だ。2011年の年頭の鹿児島県で起きた新燃岳噴火で空振が観察されている。
音速は伝わる媒質によって異なるから、地震衝撃波も地震の起こるメカニズムだけでなく地震が起こる地盤の状況によって異なることになる。つまり、土砂が主になっている地盤であってもその地盤での音速と同期した地震の揺れが起これば衝撃波は発生することになる。まあ、砂が主の地盤であれば減衰しやすいのでよほど震源が浅くなければ地上の建物に影響はないのだろう。
ともかく311の大地震が起こったため日本各地でかなりの大きさの地震が頻発している。だから日本各地に54機もある原子炉直下でマグニチュード6を超える地震が起こることはかなりの確率でありえる。原発は岩盤の上に直接建設されているので、衝撃波もほとんど減衰しないで原発を襲うことになる。その影響がどんなものになるかは一切検証されていない。
安全を考えるなら原発再稼動など決して出来はしない。それどころか停止中であっても直下である程度の大きさの地震が起これば福島第一原発事故を大幅に上回る放射能漏れに至ることは確実だ。
日本国内に原発を維持することは博打であり、負けた場合は国土をほぼ半永久的に失うことを意味する。こんな博打を今まで日本はずっと打ってきたわけだ。昨年の311の大震災で日本はその賭けに負けた。不幸中の幸いとして地理的な要因で福島第一原発から漏れた放射能のほとんどは太平洋上へ拡散したが、次の原発震災が起これば日本は確実に破滅だろう。
こんな博打にどうやって政治家は政治判断をしようというのだろうか。原発廃止しかないはずだが。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から連番号を付しています。<<1071>>
TC:37583, BC:153062, PC:?, Mc:?
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