【大飯原発・再稼働】　「制御棒挿入時間改ざん疑惑」−保安院に呼びつけられた
http://tanakaryusaku.jp/2012/04/0004031
2012年4月6日 00:32　田中龍作ジャーナル

『1・88秒』とハッキリ。保安院が原子力安全委員会に提出した資料。＝撮影：田中龍作＝
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　5日午前10時頃、NTTの固定電話が鳴った。今どき、大概の用向きは携帯電話に架かってくるので、「デパートの配達かな？」くらいの軽い気持ちで受話器を取った。

　「原子力安全・保安院の●●ですが、田中さんでしょうか？」。電話の主は営業マンとは程遠い、事務的で無愛想な声で要件を告げてきた。「（3日の）大臣会見で田中さんが質問した件について説明したいので、来られたい」とのことだ。筆者は呼びつけられたのである。

　枝野経産相に対する筆者の質問とは、「大飯原発の再稼働を検討していた原子力安全委員会に提出した保安院の資料に改ざんがあるのではないか？」という内容だ。

　3月13日の原子力安全委員会に附された資料では、それまで2・16秒だった制御棒の原子炉への挿入時間が1・88秒（700ガルの揺れで）に短縮されているのである。問題は先月27日の院内集会で環境団体から追及された。保安院は意外にもすんなりと「関西電力が言ってきた数字を載せた」と認めた。

　制御棒が挿入されるのに時間がかかると入らなくなったりして、原子炉が暴走しシビアアクシデントを招く恐れがある。許認可基準は2・2秒までだ。関西電力が提出し、保安院が了承した2・16秒は安全基準ぎりぎりとも言える。

　だが活断層の3連動が現実味を帯びてきたため関西電力は、2・16秒よりも挿入時間を短縮する必要があった。そこで保安院に1・88秒という数字を伝えたのである。

　「(原子力安全行政は)電力業界の言いなりではないか？」。3日の記者会見で筆者は枝野経産相を追及した。枝野大臣は「事務方に説明させる」と答えるに留まった。「東京新聞」は筆者が枝野大臣を追及した翌日（4日付け）朝刊で、この疑惑を報じている。

　5日夕方、保安院で筆者を待っていたのは、原子力安全技術基盤課の技術官僚のA氏だった。A氏は着席するなり経緯と結論を述べた。「1・88秒という数字は関連情報として関電（関西電力）から来たものを『関電はこう言ってます』という意味で載せた。（環境団体から）要求された削除をするつもりはない」と。

　A氏によれば、『1・88秒』が関電から伝えられたのは、原子力安全委員会の検討会が開かれる5日前にあたる8日のことだ。メールで伝えられたため、電話を関電に入れ確認した。後日、保安院の安全審査官が関電の担当者に直接会った。

原子力安全委員の質問に対する保安院の回答。挿入時間に関して出てくる数字は『1・88秒』だけだ。＝撮影：田中龍作＝
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　関電が伝えてきた『1・88秒』という数字について、A氏は「保安院としては審査していない」と、いとも簡単に話した。

　原子力安全委員会は保安院が審査し送ってきた報告書を検討する。電力会社が言ってきた数字を検討するのは、手続き上おかしい。保安院の存在理由がなくなるではないか。

　筆者は繰り返しA氏に質問した。「保安院の審査を経ずして安全委員会に送ったわけだが、『早まった』とは思わないか？」。

　A氏は「思っていない」と首を横に振りながら「関電がこう言ってる、と『なお』書きをつけている」と説明した。

　「電力会社がこう言っている」。A氏は語るに落ちた。保安院とは電力会社の代弁機関だったのである。

コメント
01. 2012年4月06日 01:31:50 : GgZbHGY9Wp 見下げ果てたふてぶてしい3852やつらで、保安院解体と同時に、こいつら解雇するほかないでしょう。
02. 2012年4月06日 11:41:16 : c1E9zM7KjA 保安院は電力会社が「こう言っている」というのを、そのまま認めるのが仕事です。その中身をチェックする気も技術的能力もありません。 電力会社が1.88秒と言えば1.88秒ですし、安全だと言えば安全なんです。 これで高給と電力会社からの見返りも頂ける上、天下り先まで斡旋してもらえるんですから、こんないいところはありません。 規制庁になったらどうなるって？そんなこと聞くだけ野暮ですよ。こんなうまい汁、誰が捨てるもんですか。 再稼働した後の事故責任ですか？　そりゃ当然再稼働を申請した電力会社とそれを認めた政府・閣僚が取るんでしょう。といっても、福一でお分かりの通り実際にはだれも責任なんて取るわけないでしょ。 せいぜい「食べて応援」とか「汚染瓦礫みんなで負担しよう」とか言って、被曝範囲を一生懸命拡げるくらいです。やはり日本は民主主義国家ですから、なるべく公平に被曝した方がいいでしょ。 日本はほんとにいい国です。ふつうの国民の皆様は、どうぞあまり賢くならずにいて下さい。電力が足りないと言えば再稼働を認め、財源が足りないと言えば消費税増税も素直ハイハイと認める、そういう素直な心こそ大事ですよ。
03. 2012年4月06日 16:06:01 : MOmQ35pfqw 不思議な国日本！ 何の役にも立たないと証明済みの保安院が なぜ今も原発に関わっているのやら（笑）
04. 2012年4月06日 19:29:44 : 2mo1Q1SbPo 昔から、「伊勢屋、お主も悪よの〜！？」 「お代官様にはかないません」（笑）と。 持ちつ持たれつ、魚心に水心。馴れ合い、癒着、 利益、利権を共にするお仲間同士ですね。 この関係を叩き壊すには、発送電の分離と大規模 地熱発電所の建設、稼働。で、脱原発実現！！！
05. 2012年4月07日 00:38:30 : TVi9GmMtME 原発が爆発した理由がよくわかりました。 たぶん、数年以内に大地震で、もう一回原発が 爆発します。 日本は滅亡かな？ もう国として、寿命なので仕方ないかもしれません。 とにかく、福島第１原発を爆発させた人間に罪を 償わせてください。 無理？１億総懺悔。総被曝ですか？そうですか。
06. 2012年4月07日 01:55:21 : OZeuYWxan2 この問題を追及した３月２７日の政府交渉に参加しました。 ここで、主催者は、２連動の７００ガル（揺れの強さ）で２・１６秒だとすると、三連動の予測１０００ガルで基準の落下速度２，２秒を超えてしまうため、３連動になっても２，２を超えないように、これまでの２．１６秒という数字を引き下げて、それに備えようとしたのだろうと保安院を追及しました。 保安院は、単なる参考にあげたにすぎない、と、理由にならない口実で逃げ回っています。 ところが、翌日の保安院の意見聴取会で、三連動でも１，１倍（７６０ガル）にすぎず、許容値を超えないので、大飯原発は基準をクリアーすると述べ、大飯原発に合格を出しています。 前日の政府交渉での３連動１０００ガルという数値は、この日より以前に質問書で出した中に入っている数字です。にもかかわらず、この日、１０００ガルについて何も言わず、翌日、突然７６０ガルという数字を出してきたのは、前日に７６０ガルを出すと、そのでたらめさに対する批判が用意されてしまうと思ったためでしょう。 汚い手口にもほどがあります。 こんな姑息で卑劣な数字の操作を重ねている連中が、原発運転を審査し合格させているのですから、事故が起こらなければ、むしろ不思議です。 （地震動の評価について、１０００ガルは「応答スペクトル」、７６０ガルは「断層モデル」によるもので、これまで前者を使っています）

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