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2012年4月4日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012040402000241.html
国の原子力安全委員会が原子力防災の重点地域にした原発から半径三十キロ圏の居住者が全国で、四百万人以上に達することが経済産業省原子力安全・保安院の内部資料で分かった。全人口の3%に相当し、原発事故時には避難や屋内退避を迫られる。日本原子力発電(原電)の東海第二原発(茨城県東海村)に九十三万人、中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)に七十四万四千人が居住し、人口密集地となっている。
保安院は二〇〇五年の国勢調査をもとに、全国十七カ所にある原発周辺の人口分布を調査。昨秋ごろまとめたとみられている。三十キロ圏は累計で四百八十万人に上る。うち福島第一、第二や福井県内の原発密集地では、三十キロ圏内が重なる地域があるが、その重複計上分などを除いても四百万人を超える。
人口分布が最も多い東海第二は、人口二十六万人の水戸市と二十万人の日立市が三十キロ圏にすっぽり入る。茨城県の橋本昌知事は三月の県議会で、原発事故が起きた場合の避難で「県内のバスを総動員しても一回に二十四万人しか運べない」と指摘。三十キロ圏の県民を一斉に避難させることは不可能との認識を示している。
浜岡原発は、御前崎市の全人口と掛川、島田、磐田、藤枝、焼津の各市で十万人前後が対象となった。直ちに避難が必要となる原発から五キロ圏の「予防防護措置区域」(PAZ)は御前崎、牧之原両市の二万五千人が居住している。
また再稼働が協議されている関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)は、半径三十キロ圏内に十四万人が居住。内訳は、福井が七万七千六百二十八人、京都府が六万一千十七人、滋賀県が千十七人だった。
一方、放射性ヨウ素による甲状腺被ばくの可能性がある五十キロ圏まで広げた場合の人口は全国で一千万人以上になり、総人口の一割近くになる。
原発周辺の人口分布は各自治体が避難計画を策定する参考になるが、保安院はこれまで公表しなかった。原子力防災課の担当者は「ヨウ素剤や防護服の必要数を調べ、自治体への交付金額を見積もるための内部検討が目的。今後も公表する予定はない」と話す。
原子力安全委員会は、東日本大震災を踏まえて原発事故の防災指針を見直し。重点防災地域を、従来の八〜十キロから三十キロ圏の「緊急防護措置区域」に拡大した。
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