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福島原発事故:SPEEDI訓練に甘いデータ使用
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120404k0000m040172000c.html
毎日新聞 2012年4月4日 2時30分
原発事故を想定して政府が過去に実施した総合防災訓練で、「緊急時迅速放射能影響予測システム」(SPEEDI)を使った放射性物質拡散の予測が、いずれも訓練当日の風速を用いず、年間平均風速に近い弱い風で計算していたことが分かった。放射性物質の放出量や気象条件が甘い設定の結果、住民避難が必要な範囲は政府が定める「防災対策重点地域」(EPZ)の10キロ圏内にとどまり、広域防災に生かされなかった。
福島第1原発事故では避難対象範囲が原発から30キロ圏外に及んだ。政府は10キロ圏外の被害を「想定外」としてきたが、避難範囲が10キロ圏内にとどまることを前提に訓練の条件を設定した疑いを指摘する声も出ている。
政府主催の原子力総合防災訓練は00年以降、原子力災害対策特別措置法に基づき、新潟県中越地震が起きた04年を除いて毎年1回、各原子力施設の持ち回りで実施。SPEEDIは全訓練で事故影響の予測に利用された。
文部科学省が昨年11月に公開した訓練用のSPEEDI予測図形などによると、過去10回の訓練は事故発生時に吹く風を毎秒0.7〜4.6メートルに設定。いずれも最寄りの気象観測点の年間平均風速(1.5〜4.9メートル)に近い値で、気象用語で「軽風」や「軟風」などに当たる弱い風だった。
一方、放射性物質の想定放出量(放射性ヨウ素で換算)も、福島第1原発事故直後が推定量毎時3万2000兆ベクレルだったのに対し、訓練では同454億〜2300兆ベクレルと桁外れに少なかった。
例えば、08年10月に同原発3号機であった訓練では、同年の年間平均風速1.5メートルを下回る北風0.7メートルで計算。「避難区域」は原発2キロ圏▽「屋内退避区域」は南5キロ圏にとどまった。
一方、政府主催ではなく、佐賀、長崎両県が原発事故後の昨年11月、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)で実施した訓練では、当日の風速12.5メートルで拡散を予測。避難の可能性がある区域は30キロ圏外まで広がった。
文科省原子力安全課は「国と自治体との調整会議で気象条件を決め、風速は代表的な数値を使っている」と説明するが、年間平均風速を用いているわけでもなく、条件設定の根拠は明確でない。
元原子力安全委員会専門委員で、原発防災訓練にもかかわった吉井博明・東京経済大教授(災害情報学)は「『より厳しい条件で訓練すべきだ』と委員が指摘しても変わらなかった。避難区域が10キロ圏を超えることはないという前提で全部が動いていた」と指摘。「各自治体が最悪の事態を想定してSPEEDIを用いた図上演習をし、防災計画や避難訓練に反映させるべきだ」と指摘している。【阿部周一】
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