208. 2012年4月06日 03:25:17
: esmsVHFkrM
>>196、>>186ですが、 あなたの人間性について指摘した者ですが、幸いあなたにはここで議論をしていただけるようなので、そのコメの中でその人間性をさらに皆さんの目にさらしていただくのが最善と判断します。 そこで、僭越ながらあなたの>>196に対して反論いたします。 あなたは>>175のご主張の根拠として、2点挙げておられます。 まず、http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20110607-OYT1T01068.htmですが、これは、あの読売新聞が報ずるところの、 「海江田経済産業相は7日の新成長戦略実現会議で、国内すべての原子力発電所が運転停止した場合、火力発電で代替すると液化天然ガス(LNG)や石油などの燃料費の負担増が年間3兆円以上になるとの試算を明らかにした」 という記事です。これには「3兆円以上」とありますが、あなたの「4兆円近い負担」との乖離は何によるものでしょうか。まあ、もともといい加減な試算なので1兆円近い差は問題ないとのご判断でしょうか。 これはいわゆる原子力ムラが主張する数字ですが、そんなものを無条件に信じる人はもうこの日本中に誰もいません。それが正しいかどうか検証されなければなりません。そのために伺いますが、この内訳はどうなっているのでしょうか。 日本の火力発電には、石油、石炭、天然ガスがありますが(電気事業連合会、総発電量対比でそれぞれ、12.0%、26.8%、26.3%)、それぞれについてどのくらいの追加購入が必要で、そしてそれをどこからどのような価格で買うという試算なのでしょうか。原子力ムラは、原発再稼動を正当化したいあまり、わざわざ高価格の資源(石油)を選んでそればかりを追加購入するとしたり、その価格についてもわざわざ高く見積もったり(すでに諸外国に比べて以上に高い価格で買っているとの報道もあったかのように記憶します)して脱原発を必要以上に高く見せようとする立派な動機があります。この点はどう検証されるのでしょうか。 そもそも、これは今後どうするかという議論なのですから、現在存在する火力発電設備の単なる延長ではなく、むしろ積極的に建設費と燃料コストに優れその他の面(例えば大気汚染)でも有利な設備を構築していくのが当然です。それは、具体的には、低価格の天然ガスを使った熱効率的にも最善で(70%と燃費がいい)排気がきれいなコンバインドサイクル発電をもっぱら増やすということであり、その場合、天然ガスの調達先としても、インドネシア、オーストラリア、ロシア等多角化した上で諸外国並みのまじめな価格交渉を行うということです。脱原発後においてそのようなまじめな対応を行った場合の増分コストが真摯に計算されなければなりません。 そのような計算は、基本データを原子力ムラが独占しているため、外部の人間が行うことは困難ですが、いずれ、心ある学者、業界人により試算が行われ発表されるものと期待します。現時点では、その結果が原子力ムラの主張する3兆円よりはるかに少なくなるのが確実であることを指摘しておきます。 また、あなたがあげた藤沢数希氏のhttp://nikkan-spa.jp/180453は、あなたの主張の2番目のポイント「毎年数千人の犠牲」を根拠付けるものと理解しますが、それについて藤沢数希氏はこのページではあまりくわしく論ぜず、むしろ別のページ(http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51842863.html)で詳述されています。したがって、そのページも踏まえて議論いたします。 まず、問題のWHOの研究ですが、その元文書であるWHOの''Global Risks: Motality and Burden of Disease Attributable to Selected Major Risks''には、それぞれのリスクファクターの働き方について記述されており、各リスクファクター(「大気汚染」はそのひとつですが)は、部分的にまた他のファクターと共同して死を引き起こすとされています。すなわち、藤沢数希氏自身も私が挙げたそのページで「だから文字通り「大気汚染で死ぬ」人はいないわけで、大気汚染は何らかの病気の原因になるだけです」と認めているとおり、大気汚染によって即人が死ぬわけではなく、他の原因と複合して働き、死の原因のひとつとなるということです。 このような複合的な原因のひとつとしての死因を問題にするのであれば、当然放射能被爆も同様に問題にされなければなりません。福島以前は、原発作業員および原発周辺住民への放射能被爆が、福島以降においては引き起こされた広域にわたる放射能汚染と被爆が、そして将来予想される事故以降においてはそれが引き起こす福島と同様ないしはそれ以上の放射能汚染と被爆が問題となります。大気汚染と同様に放射能汚染(被爆)が日本人の死因において無視できない複合要因のひとつとなるのは当然のことです。 したがって、まず全体の構図として、原発を止めることによる日本人の死の増減をその複合原因において問題にするのであれば、大気汚染が増えることによる効果と同様に原発を止めることにより将来の放射能汚染(被爆)が未然に防がれることによる効果も比較に入れられなければなりません。 それは、具体的には次の原発事故の放射能汚染(被爆)による日本人死者の増加(複合要因による)です。原発安全神話の崩壊した今、次の原発事故の可能性は現実のものです。また、その場合の複合要因における日本人死者の増加は膨大なもの(少なくとも福島事故によって引き起こされた放射能汚染(被爆)に匹敵するもの)でしょう。 おそらく、あなたは、今後原発事故が起こるかどうか分からないからその効果を入れるのは不当だという主張を行うかもしれませんが、それこそ不当です。実際、そのような主張は福島以前の「原発安全神話」時代にはもっと可能でした。原発を止めて大気汚染を増やして日本人の死者を増やすよりは原発を続けてそのような死者の増加を防止するほうが有利だとの主張です。実際そのおりにしたわけですが、福島事故が起こってこの始末です。結果としてより多くの日本人が新たな死のリスクにさらされることとなったのです。そして、それは今後を議論するときSunk Costとせざるを得ないのですから、次の事故の可能性を今きっちり考慮に入れなければ、原発事故による潜在的死者の増加は起こるたびに常にSunk Costとされて議論から排除されてしまいます。それでは、原発を続けることが有利だとの結論になるのは当然で、こんなトリックがナンセンスであることは自明です。 したがって、わたしは、原発を火力発電に代替することによる大気汚染の増加による死者の増加(複合要因において)と原発維持の結果としての事故と放射能汚染(被爆)による死者の増加(複合要因において)を比較するならば、福島大惨事を見れば明らかなように、後者のほうがはるかに大きい、すなわち、日本人の死者は原発を止めることにおいてより少なくなるものと信じます。 ちょっと長くなりすぎましたので、後は簡単に触れますが、細かいことではありますが、藤沢数希氏のWHO研究からの大気汚染による日本人死者の推定、特に、火力発電分の推計(私が紹介したページです)は不当に多いほうに振られていることを指摘したいと思います。 WHO研究は非常に荒いもので、日本を含むゾーンの大気汚染による死者数推計は非常に幅があります。藤沢数希氏はhttp://livedoor.blogimg.jp/kazu_fujisawa/imgs/1/5/15aca1b3.pngの地図をとって、その死者推定数((250 -400/million)から中ほどの値を取っていますが、日本車の排ガス性能の高さ、日本の工場の排ガス設備の世界に冠たる優秀さ、また藤沢数希氏自身が認める日本の火力発電所の排ガス設備の優秀さにより、その幅の中でも数字は低くとられるべきものと考えます。実際藤沢数希氏が引用する死者数地図とは別の地図がWHOのページ(http://www.who.int/heli/risks/urban/en/)に掲載されており日本はより少ないゾーンに入れられています(100-150/million http://www.who.int/heli/risks/urban/en/uapmap.pdf)。 また、大気汚染による全体死者数を火力発電に割り振るに際しても、現在存在する設備を前提にアメリカとの比較で算定していますが、それは今後増設されるべき排気がきれいな天然ガスコンバインドサイクル発電を前提に算定されるべきで(この理由からも、天然ガスコンバインドサイクル発電を増設するべきで)その場合には火力発電追加設備による大気汚染効果は極小となるので、結果として火力発電増加による死者の増分はずっと少なく推定されるべきです。 以上から、私は、 1. あなたが主張する原発廃止のコスト、すなわち燃料調達コストの増分、および、それによる複合要因における大気汚染による死者の増加数は過大であり、実際はそれよりもかなり低いものであること。 2. 原発を維持するか廃止するかの比較においては、廃止による増分コストのみでなく、廃止することによって防止される原発維持のコスト(次回の事故のコスト)も考量に入れられなければならず、その場合には、原発廃止によって防止されるコストは1.を待つまでもなく原発廃止で増加するコストを上回ること。 したがって、原発は廃止されるべきであると主張します。 私の原発廃止の本質的な理由は正義の問題ですが、それは今後あなたの反論に応じておいおい開陳していきたいと思います。 以上、>>196に対して反論しておきます。 |