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【こちら特報部】「核燃料サイクル 原子力ムラ執着」2012/03/31(東京新聞)
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2012/03/31(東京新聞) :平和ボケの産物の大友涼介です。
日本原燃(青森県六ヶ所村)は三十日、核燃料サイクル計画の一部であるプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場の建設工事再開を発表した。核燃サイクルは同村にある使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)、福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」が中心だ。ともにトラブル続きで、見直し論が広がっている。しかし、政府が原発再稼働を急ぐ背景には、こうした”破綻事業”への執着もありそうだ。(出田阿生・上田千秋記者)
■核燃料サイクル 原子力ムラ執着
原発の使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、燃料に加工して再び使う。これが「夢のエネルギー」をうたい文句にした核燃料サイクルの流れだ。
再処理工場は電力九社などが出資した民間企業の日本原燃、「もんじゅ」は独立行政法人・日本原子力研究開発機構(原子力機構、茨城県東海村)がそれぞれ担う。
■原子力委でも見直し再浮上
再処理工場は二〇〇八年に中断した最終試験を今年一月に再開したが、またも不具合が生じて試験は延期。当初予定の十月の本格稼働は絶望的な情勢だ。これまでに二兆円以上を費やした。「もんじゅ」も一兆円超を投じたが、本格稼働のメドは立っていない。
サイクル事業は〇四年に経済産業省内部で中止論が出された。その後、継続となったが、現在、原子力委員会でも見直し論が再浮上している。
ただ、このまま原発が止まり、再稼働しなければ、再処理した燃料はいらなくなるのでサイクル事業は破綻する。再稼働の数が限定的でも、事業規模の維持は困難だ。
それは資金面からも明白だ。〇五年施行のバックエンド積立金法によると、将来の再処理経費(引当金)は各電力会社が各原発での発電に応じて、毎年、財団法人「原子力環境整備促進・資金管理センター」(東京)に積み立て、そこから日本原燃に支払われる仕組みになっている。
電力会社でつくる電気事業連合会の試算では、四十年分の再処理費用は十一兆円。これに対し、昨年三月末時点の引当金総額は二兆四千億円余にとどまり、今後、再稼働が限定的なら、資金は計画通りに積み上がらない。引当金不足で、サイクル事業は行き詰る。
ひいては日本原燃の経営状態は悪化し、これは電力業界全体にも少なからず影響を及ぼす。というのも、同社の資本金四千億円のうち、東京電力一社だけでも、約千二百六十億円を出資。有価証券報告書によると、一昨年三月末時点で、約二千九百億円の債務保証をしている。こうした部分が焦げ付きかねない。
再稼働がないと、「もんじゅ」を運営する原子力機構や経産省OBらが天下っている資金管理センターも打撃を被る。言い換えれば、こうした組織、天下り利権の維持に再稼働は不可欠だ。
■直接処分費用 再処理の半分
ちなみに再稼働をしなくても、すでにある使用済み核燃料の処理は必要だ。原子力委員会は二十八日、複数案を発表したが、試算によると、再処理をせず、地中に埋める直接処分にかかる費用は再処理のおよそ半分。サイクル事業が破綻すれば、直接処分を求める声が強まりそうだが、いずれにせよ、最終処分場は未だ決まっていない。
ただ、サイクル事業の維持を望むのは”原子力ムラ”の住人だけではない。例えば、再処理工場をはじめ東通原発などを抱える青森県の三村申吾知事は昨年末、全国に先駆けて「(原子力関連施設の緊急安全対策を)了とする」と表明した。
理由は地元の経済事情だ。六ヶ所村周辺に巨大工業都市をつくるとぶち上げた「むつ小川原開発」は、一九七三年の石油危機で頓挫。幻に終わった開発の予定地に原子力施設が入り込んだ。
旅館や商店、飲食店など、地元経済は原子力で潤ってきた。県内の自治体が国や電力会社に再稼働に加えて、新・増設工事の続行まで要望した理由はそこに尽きる。
■立地自治体「失業が怖い」
脱原発・核燃料サイクル中止となれば、失業が怖い。こうした意見は青森だけでなく原発立地自治体に共通する。
こうした見方に対し、元同県三沢市議で、核燃料サイクル阻止一万人訴訟原告団事務局長の山田清彦さんは「原発や核燃料サイクルをストップさせても、すぐに失業者が溢れるということは有り得ない」と断言する。
「再処理ビジネスがなくても、原子力施設の解体や廃棄物の処理・管理といった”後始末”の産業は数十年単位で続く」と山田さんは話す。高レベル放射性廃棄物はガラス固化して処理しなければならないが、こうした研究の継続は必要だ。
青森県の統計などによると、一九八五年から二〇一〇年までに県が受け取ってきた原子力関連の交付金や助成金、寄付金などは総額約四千億円。山田さんは「一方、農林水産業の産出総額と加工食品などの出荷額を合わせると、年間で約七千五百億円になる。福島のような事故が起きて第一次産業が打撃を受ける方がよほど深刻」と考える。
原子力に代わる産業は育てられるのか。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、地域産業の要を再生可能エネルギー産業に移行させることを提唱する。
「新産業として根付くまでの期間は、公的支援が必要。半ば公共事業として雇用を創出したり、企業化支援をしたりといった方法がある」
各地で整備が進む小水力発電は、地元の土木建設業者が工事を発注することが多い。「大手のプラントメーカーやゼネコンが工事を受注し、電力会社に富が集中するのが、現在の発電。対照的に再生可能エネルギー産業は地産地消が基本。地元に主導権と利益をもたらす」と指摘する。
富士通総研主任研究員で、前国家戦略室内閣審議官の梶山恵司さんは、再生可能エネルギーによって三十七万人の雇用を生み、国内総生産(GDP)を押し上げたというドイツの例を引く。
ドイツでは節電より、発電段階で従来捨てられていた熱を上手に活用して、エネルギー消費量全体を減らしたという。
原子力から再生可能エネルギーへの移行では「当面は激変緩和措置が必要だ」という。後に問題を残した部分もあったとはいえ、石炭から石油へのエネルギー政策転換では、国は産炭地域臨時措置法を制定、炭鉱離職者臨時措置法で失業対策も実施した。
梶山さんは「核燃サイクルは破綻している。一刻も早く原発を止めないと、傷口が大きくなるだけ。行き場のない廃棄物が狭い国内に積み上がり、日本消滅の危険は増すばかりだ」と訴える。
結局は政治的決断が重要、と有識者は口をそろえる。前政権が掲げた「脱・原発依存」はいわば公約。ところが、野田政権はそれを踏みにじり、再稼働を急いでいる。
※デスクメモ
メガバンクから御用学者まで複合権力の成員たちは、原発を「打ち出の小槌」と信じてきた。核燃サイクルも然り。だが、福島の事故で小槌はただの凶器だと証明された。楽しい夢は終わったのだ。それなのに現実をなかったことにして、彼らは夢にしがみつこうとする。それが悪夢とも知らずに。(牧デスク)
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