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核戦争防止国際医師会議IPPNW ドイツ支部「チェルノブイリ健康被害」新報告
長い報告なので、以下では結果要旨および結論のまとめのみを以下のリンクから転載する。
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2011/04/blog-post_17.html よりの転載
なお、私の観察するところでは、放射能による健康被害を視覚的にわかりやすくたとえるなら、疾病の増加は典型的な「逆ピラミッド」、「下向きに転回する螺旋」の形状をなる。
つまり、時間系列として、事故発生直後を頂点とすると、そのときには疾病などは予兆としてあらわれはじめるが、疾病の本格的な転回は時間軸とともにぼうだいな裾野を巻き込みつつ、「逆ピラミッド」または「下向き螺旋」の形に発生していく。
現在のフクイチ事故一年を経て、日本はまだ逆ピラミッドが展開しはじめたばかりであり、本格化するのは今後である。
すべての医師はそのことを念頭に留めておこう。
今後何十年以上いや何百年も、日本人はフクイチ事故によって生じる「逆ピラミッド」と「下向き螺旋」と共に生きていかざるをえない結果となるだろう。
!!!とは、特に注目すべき部分として私が付け加えた。
いかに御用学者が嘘をふりまいているのかが、この報告からも明らかである。
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研究結果要旨
1. 低レベル放射線(0〜500 mSv)の影響は体系的に監視、調査された。特に、遺伝的影響はチェルノブイリ以前には不明確であった。この研究は、細胞ならびに細胞内の分子構造に関する研究によって補強されている。にもかかわらず、ICRPは100 mSv !!!を胎児の奇形をおこす限界線量として規定し続けている。この主張は多くの研究で無効性!!!が明らかになっている。
2. 遺伝子の不安定性や巻き添え効果(放射線に直接影響されていない細胞の遺伝子の変化)などの予期せぬ影響!!!が見いだされた。
3. 放射線レベルが低いほど、癌の急激な増加が起きる前の潜伏期間が長く!!!なる(2000年までにPierce と Prestonにより放射線影響研究所RERF 研究の中で確認された)。
4. 遺伝子の不安定性は遺伝子により受け継がれ、世代を経るごとにねずみ算式!!!に増加してゆく。除染作業労働者と放射線被ばくのない女性の間に生まれた子どもたちの染色体異常を示す多くの研究結果が、被害を受けた3つ全ての共和国の研究センター(モスクワ、ミンスク、キエフ)で入手できる。蓄積効果の最初の兆候は、被曝した親から生まれた子供に発生する甲状腺癌であろう。しかしながら、これはまだ確実とはいえない。
5. 癌以外の疾患の発症が増加!!!していることが見出された。それは主に心臓血管系と胃の疾患であり、神経・精神疾患の症例は低線量被曝の身体的影響であることが見いだされた。後者は主として除染作業労働者とその子供たちの研究において見いだされた。
6.ロシア当局の調査によると、除染作業労働者のうち90%は病気になっている。すなわち、少なくとも74万人が重い病気にかかっている。彼らは老化が早く!!!、平均より多くの数々のガン、白血病、身体上、そして神経・精神的な病気を患っている。多くの人が白内障になった。潜伏期間が長いため、今後、ガンの発生率が高くなると予想される。
7.独立した研究によると、11万2千人から12万5千人の除染作業労働者が2005年までに死亡している。
8.現存する(複数の)調査によると、チェルノブイリによる乳児の死亡!!!は約5千である。
9. 遺伝的および催奇形障害(奇形の発生)も、直接の被害を受けた3国にとどまらずヨーロッパ諸国でも著しく増加した。バイエルン州だけでも、チェルノブイリ後になって先天的奇形が1000から3000人増加したことが見出された。恐らく、ヨーロッパで1万人以上の重篤な奇形が放射能によって起こされた可能性がある。チェルノブイリ事故の結果として西ヨーロッパで10万から20万件の妊娠中絶!!!があったとIAEAが結論づけているが、報告に上らない症例の推定数はさらに多い。
10.UNSCEAR(国連原子放射線影響科学委員会)によると、チェルノブイリ近辺で1万2千人から8万3千人の子どもが先天奇形を持って生れており、世界全体では3万人から20万7千人の遺伝子障害を持った子が生まれている。予測される被害全体のうち10%のみが、被ばく一世代目に見られる。
11. チェルノブイリ事故後、ヨーロッパで死産や奇形が増えただけでなく、女児と男児の胎芽の比率が変わってきている。1986年以降、生まれてくる女子の数が男子に比べ有為的に少ない。
Kristina Voigt とHagen Scherbの論文によると、1968以降の統計で、チェルノブイリ以降、ヨーロッパで生まれて来る子どもの数が予測に比べて80万人も少ない。この論文では全ての国を対象にしていなかったため、 チェルノブイリ以降「生まれてこなかった」子どもの数は約100万人と、Scherb は予測している。大気圏核実験後もこのような影響が見られた。
12.ベラルーシだけでも、事故以降1万2千人以上が甲状腺ガンを患っている(Pavel Bespalchuck, 2007)。WHOの予測では、ベラルーシのゴメリ地域だけで、5万人の子どもたちが生存中に甲状腺ガンを患うであろうということである。全部の年齢集団を合わせたら、ゴメリ地域だけで10万の甲状腺ガンという計算になる。
13. ベラルーシとウクライナで調査された甲状腺癌の症例に基づいて、Malko (2007)は将来の発症数を推定し、これに放射線の因子を加算した。彼の計算では1986年から2056年までの間に92,627人が甲状腺癌になる。この計算は除染作業労働者の甲状腺癌を含んでいない。
14.チェルノブイリ以降、1976年から2006年までの推移の中で、チェルノブイリ以降、スエーデン、フィンランド、ノルウェイの新生児死亡率は15.8%増加している。Alfred Korblein の計算では、1987年から1992年の間に、新生児死亡は1209人増加している(95%信頼区間:875人から1556人)。
15. ドイツでは、チェルノブイリ事故直後の9ヶ月間に、新生児の染色体異常!!!であるトリソミー21(ダウン症候群)に著しい増加があったことを科学者たちは見出した。この傾向は特に西ベルリンと南ドイツで顕著であった。
16.Orlov と Shaversky は、ウクライナの3歳以下の子どもたちの間で、脳腫瘍が188例見られたと報告した。チェルノブイリ以前(1981から1985)では9例だった―1年平均にしてみてると2例にもならない。1986年から2002年の間に179人が脳腫瘍の診断を受けている−1年平均で10人以上である。
17. 南ドイツのより強く汚染された地域では、神経芽細胞腫と呼ばれる非常にまれな型の腫瘍を発症した子供の特異な集団が見出された。
18. ウクライナのチェルノブイリ省によって発表された論文は、各種疾患症例の何倍もの増加を記録した。1987年から1992年で、内分泌系の疾患は25倍、神経系6倍、循環器系44倍、消化器60倍、皮膚および皮下50倍、筋骨格系および精神的変調53倍であった。避難者の内健康な人の数は1987年から 1996年の間に59%から18%にまで低下した。汚染地域の集団では52%から21%に、そして特に悲惨なのは、高レベルの放射線に曝された親から生まれた子供たちで、チェルノブイリ事故からの放射性降下物の直接の影響は受けていないにもかかわらず、健康な子供の比率は81%だったものが1996年には 30%に低下した。
19.数年間、タイプ1糖尿病(インシュリンに依存する糖尿病)!!!が子どもと青年層に急激に増えた。
20.白血病やガンといった目立つ症例よりも、癌性ではない疾病数!!!がはるかに上回っている。
チェルノブイリ地域における被災者全体の健康状態の変化の全貌は、残念ながら現在に至るまで確実に総括されていない。北半球の全住民にとってこの惨事が何であったのか総括されていないことはいうまでもない。この論文で言及した数値は、一面では恐ろしく高く、別の面ではかなり低く見えるかも知れない。しかしここに集められた研究のほぼ全てが比較的少人数の集団を対象にしたものであったことを考慮しなければならない。発症率にほんのわずかな変化があったとしても、より多人数の集団に当てはめた場合、それは広範囲に及ぶ深刻な健康被害の前兆であるかも知れない。
結論
大規模で独立した長期にわたる研究がなされていないので現在の状況の全体像を示すことはできないが、いくつかの傾向を指摘することができる。高い放射線レベルに曝されたリクビダートルのような人々の間では、高い死亡率とほぼ100 %の罹患率が見られる。原子炉の事故から25年後になって、癌その他の疾患が、長い潜伏期間のせいで、事故直後には想像もできなかった規模で発生した。
癌以外の疾病の発症数は、以前に想像されていたよりもずっと劇的なものである。除染作業労働者の早期の老化!!!のような「新しい」症状は、研究では未だに答えを出すことができない疑問を呈している。
2050年までに、さらに何千もの患者がチェルノブイリ原子力事故の影響として診断されることだろう。原因と、顕在化した身体症状との間には長い時間差があるので、油断はできない。チェルノブイリは終わっていない。
特に悲惨なのは、死産したり、幼くして死んだり、奇形や遺伝病を持って生まれたり、通常ならば決して発症することのない病気を抱えながら生きることを余儀なくされた、何千人もの子供たちの運命である。
チェルノブイリによって起こされた遺伝的欠陥は全世界を今後長期間にわたり苦しめ続けるだろう。多くの影響は、二世・三世の世代!!!にならないと明らかにならないだろう。
健康被害の程度は未だに明らかではないとしても、福島の原子力事故によってもたらされる苦難は、同等の規模であり、将来的にも同様の展開!!!となることは予測できる。
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