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地域が原発マネーに翻弄される本当の理由と北欧の原発推進との相関関係 関口博之
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/313.html
投稿者 msehi 日時 2012 年 3 月 26 日 05:38:54: MaTW.8vfzXWdQ
 

投稿者msehi関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/

NHKスペシャル3.11あの日から1年「調査報告原発マネー」(注1)は、見事に地域が原発マネーに翻弄される仕組みを描いていた。
番組の始まりは今回の福島原発事故で放射能汚染し、避難を余儀なくされている楢葉町町長が登場し、町が財政、雇用で原発に100パーセント依存していることから、「原発が必要ないとはいえない」と悲痛な表情で述べていた。
それは、原発マネーを受け取っていた44の地方自治体のうち脱原発に方針転換した地方自治体が僅かに8自治体しかない理由を物語っていた。
具体的には、これまでに8000億円の核燃料税、電源三法交付金、そして電力会社の寄付金による原発マネーを受け取っていた柏崎市を例に、原発マネーに依存すればするほど借金が膨らみ、増設と運転期間延長によって危機が増幅されていく構図が浮き彫りにされた。
これらの原発マネーは昭和56年(1981)から平成15年(2003)までは、用途が公共施設建造に限られたことから150の施設が造られ、その維持費は13億円に達し借金の膨らむ原因になっているのである。
例えば16億円で建設された市立博物館は89万円の入場料に対して、維持管理費に8900万円をかけており、財政健全化の視点からは異常極まりない。
こうした窮地に陥った状況を、国は地域が自ら地域振興を育成してこなかったからだと、元資源エネルギー庁開発課長の言葉で冷たくあしらう。
しかし地域が自ら地域振興を育成できないようにして来たのは、国自体でなかったろうか。
戦後日本は工業製品の輸出を優先する余りに、コメ以外の農作物や木材を自由化することで地域産業の要を奪い、地域が衰退するなかで有無を言わさず選択されたのが「日本列島改造論」であった。
すなわち将来世代からの借金である国債で日本列島に隈なく新幹線や高速道路を縦断させ、日本を土建国家へ変えた。
地域は土建業を生業とすることで一時的に繁栄したが、余りにも短絡的であった。
しかも日本全体が新自由主義に傾斜していく中で貧しい地域は益々貧しくなり、札束で頬を叩くが如き電源三法交付金制度の誘惑で、原発建設を選択せざるを得なかったのである。
このような構図は、ドイツを先頭にオーストリー、スイス、イタリヤ、ベルギーが脱原発を選択するなかで、逆に原発推進へと転換したスウェーデンやフィンランドでも同じである。
特にフィンランドでは、2011年10月に中西部のハンヒキビ半島の自治体ビュハヨキに福島原発事故後世界で初めて原発の新設を決定した。
このような背景には、日本同様に地域の過疎化が進む苦しい状況が見えてくる。
ビュハヨキ村の人口は3500人ほどであり、失業率は15パーセントを超えており、原発を誘致すれば雇用が解決するだけでなく、企業の支払う税金で苦しい村の収入が倍増するからである。
日本と同様にフィンランドでは困窮する地方自治体が多く、原発誘致に名乗りを上げる地方自治体は40にも上っている(注2)
この本当の理由は、2000年以降EUのリスボン戦略採択で北欧にも急速に新自由主義が伸展し、ルールなき弱肉強食の競争が激化したことに他ならない。
ドイツではフィンランドを象徴するノキアが、血も涙もない企業として非難の的になっている。
何故ならドイツに進出したノキアは、2007年に72億ユーロ(当時の為替で1兆円)という創設以来の記録的利益を出したにもかかわらず、2008年に工場をドイツからルーマニアに移転したからである(注3)。
その理由は、ルーマニアの賃金がドイツの10分の1であるように、さらなる競争力の強化が目的であった。
それはドイツの3200人のノキア従業員にも寝耳に水であり、恩を仇で返すようなノキアの仕打にドイツ国民は激怒し、ドイツ各地でノキアの携帯が破棄された。
そうしたフィンランドの新自由主義の弱肉強食の競争が激化するなかで、フィンランドの原発が推進され、人口6000人のユーラヨキ村に世界の原発ルネッサンスを推進する最終処分場オンカロが、地下水が湧き出しているにもかかわらず、「10万年の安全」の象徴として建設されるのである。
またスウェーデンは、1979年のスリーマイル島事故を受けて2010年までに12基の原発の全廃を約束したが、2000年以降新自由主義に支配されるなかで10基の原発運転期間を延長するだけでなく、2010年には老朽化した原子炉の新設を決議した。
スウェーデン政府は、原発が再生可能エネルギーへの転換への架け橋として必要であるという答弁で、エネルギー政策の転換ではないとしている。
しかし実際の現場では、原発が再生可能エネルギー開発の障害となっており、これらの政策がEUブリュセルの原発ロビイストによって主導されてきたことから、ドイツのメディアは決議を「スウェーデンの脱原発からの転換」という見出しで報道していた(注4)。
このような報道はスウェーデンの巨大電力会社バッテンフォールが2002年にクルメール原発を所有するハンブルグ電力会社を買収し、ドイツの電力市場を支配する四大巨大企業として君臨し、安全性よりも収益を最優先して原発運転期間延長を画策してきたからであった。
しかもクルメール原発は2007年に変圧器火災を起こし、危うく炉心溶融の危機を免れたが、その際バッテンフォール社の嘘、隠蔽体質がドイツ市民に激しく非難された(注5)。
2011年の脱原発決議で停止されていたクルメール原発は、そのまま廃棄が決定されたが、スウェーデンではバッテンフォール資本下のSKB社がストックホルムから120キロの過疎地域エストハンマル自治体のフォルスマルク地区に最終処分場建設を決定した。
建設予定地岩盤の500メートル下の坑道では地下水が湧き出しており、専門家は銅製キャスターの銅が地下水に溶けることから、腐食がSKB社の見積もりよりも1000倍から10000倍早く進行することを実験で実証し、警告している(注6)。
このようにスウェーデンやフィンランドは、多くの専門家が疑問を呈する中で最終処分場を強行しようとしており、今やEU原発ロビイストのシンボルであるだけでなく、世界の原発ルネッサンスのシンボルとなっている。
そこでは、たとえ将来に破局が待っていようと、産業から地域に至るまで現在の利益だけが求めららている。
そのように構築された新自由主義に、かつての理想、平和を希求する北欧の良心を期待しても無駄である。

(注1)NHKスペシャル 調査報告 原発マネー 3月8日
動画http://v.youku.com/v_show/id_XMzYzNDUxODQw.html

(注2)WNN world nuclea news 05.10.2011
http://translate.google.com/translate?hl=de&langpair=en%7Cde&u=http://www.world-nuclear-news.org/NN-Site_selected_for_new_Finnish_plant-0510114.html

(注3)Süddeutsche.de 18.01.2008
http://www.sueddeutsche.de/wirtschaft/nokia-boykott-krokodilstraenen-im-schnaeppchenland-1.280912

(注4)WELT ONLINE 18.06.2010
http://www.welt.de/die-welt/wirtschaft/article8095847/Schweden-verabschiedet-sich-vom-Atomausstieg.html

(注5)Hamburger Morgenpost 05.07.2009
http://www.mopo.de/news/stoerfall-im-akw-kruemmel-sorgt-in-hamburg-fuer-chaos-immer-mehr-fordern-abschalten-fuer-immer-,5066732,5289778.html
(注6)ZEIT ONLINE 03.05.2011
http://www.zeit.de/wissen/umwelt/2011-05/atommuell-endlager-skandinavien
国際的研究グループは学術雑誌「Catalysis・Letter」の中で、地下水に酸性物質がなくても銅が溶け出すことを実証している。
ストックホルムの王立工科大学のマテリアル研究者ペーター・ザケロス(Peter・Szakálos)は、銅キャスターの腐食はSKB社の安全性分析より1000倍から10000倍早く進行することを実験室で実証できるとし、腐食は放射線による高温のため初期段階で促進され、放射能が地下水を汚染することを警告している。  

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コメント
 
01. 2012年3月26日 13:07:30 : ZpvWQL4P9V
北欧も原発マフィアが必死なんだろうな…。
福祉国が…幻滅だ。

02. msehi 2012年3月26日 15:59:32 : MaTW.8vfzXWdQ : CxL4Lyrs2A
投稿者msehi

本当に幻滅です。
但し福祉に関しては、税金及び社会保障費を70パーセント近く徴収していることもあって、現在も高い水準と言えるでしょう。
しかし看護婦などが高額優遇されることから、多くのドイツの有能な看護婦が特にスウェーデンへ出て行くことから、ドイツ市民は激怒しています。
もっとも北欧をそうさせたのは、ドイツの労働政権が自国労働者も犠牲にして、EUの理念に反する競争原理を最優先するリスボン戦略を2000年から実施したことに付きます。
ドイツが敢えて新自由主義を選択する中で原発ロビイストに打ち勝てたのは、1998年からの脱原発政策で、地域分散型の産業が各州で開花してきたからだとも言えるでしょう。
すなわち風力発電基の2万点ほどの部品や太陽光パネルなどが地域でつくられ、生産された電力も地域で消費されることから好循環を生み出しています。
そうした意味でも、まず脱原発の選択が重要だと思います。


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