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第4節 チェルノブイリ大惨事の影響で加速する老化
老化の加速化は、電離放射線による被曝がもたらす、よく知られた影響の一つである。この現象は、チェルノブイリ由来の放射性核種に汚染されたすべての人びとにおいて、程度の差こそあれ、はっきりと見てとれる。
1. ベラルーシの、チェルノブイリの放射性降下物によって重度に汚染された地域ではどこでも、そこに住む子どもは老人に特徴的な疾病群の徴候を示している(Nesterenko, 1996; and many others)。
2. ベラルーシの汚染地域の子どもは、消化管の上皮に老化に特有の変化を生じている( Nesterenko, 1996; Bebeshko et al., 2006)。
3. ベラルーシにおいて、1991年以降1996年までに早発性の脱毛症と診断されて入院した69人の子どもおよび十代の少年少女のうち、70%は重度汚染地域の出身だった(Morozevich et al., 1997) 。
4.放射能汚染地域の子どもの歯とあごの発達が、比較的汚染されていない地域の子どもに比べ、実年齢に見合っていないのは,早期老化の特徴を示すものである(Arabskaya, Smirnov et al., 2006)。
5. ウクライナにおける放射能汚染地域の住民の生物学的な年齢は、実年齢よりも7歳から9歳上だった(Mezhzherin, 1996)。同様の現象はロシアでも見られた(Malygin et al., 1998) 。
6. セシウム137による汚染が1平方メートルあたり55万5,000ベクレルを超える地域に住む、中年に分類される男女が、ベラルーシの平均的一般人より8歳若い年齢で心臓発作で死亡した( Antypova and Babichevskaya, 2001)。
7. ウクライナの放射線で重度に汚染された地域の住民に、調節機能の異常その他、老化による眼の変化が現れた(Fedirko , 1999; Fedirko and Kadochnykova, 2007)。
8. 老化の早まりはリクビダートル(事故処理作業員)に見られる典型的な特徴であり、その多くは平均的な一般集団より10年から15年早く疾患を発症した。老化の特徴から算定されたリクビダートルの生物学的な年齢は、実年齢よりも5歳から15歳上である(Gadasyna, 1994; Romanenko et al., 1995; Tron’ko et al., 1995; Ushakov et al., 1997)。
9. チェルノブイリの放射線によって、眼に早発性の老化が引き起こされた(Fedirko and Kadochnykova, 2007)。
10. リクビダートルの早期老化の特徴として以下のものがあげられる(Antypova et al., 1997a,b; Zhavoronkova et al., 2003; Kholodova and Zubovsky, 2002; Zubovsky and Malova, 2002; Vartanyan et al., 2002; Krasylenko and Eler Ayad, 2002; Kirke, 2002; Stepanenko, 2003; Kharchenko et al., 1998, 2004; Druzhynyna, 2004; Fedirko et al., 2004; Oradovskaya et al., 2006; Teplyakova et al.,2007; Fedirko, Kadoshnikova, 2006; Kholodova, Shirokova, 2008 )。
・老人性の多重疾患や、老齢でも中高年でもない年齢層における身体の異常(リクビダートルは一人あたり10件以上の病気を診断されており、同年代の標準の数倍)。
・さまざまな臓器および組織における、老人退行性ならびに栄養欠乏による変化(骨粗しょう症、胆のう炎、胆のう膵臓炎(訳注1)、脂肪肝、肝硬変、関節や筋肉の疾患)。
・脳内を含む血管における老化の早まり(その結果として40歳前後で始まる老人性の脳障害)。
・早発性の水晶体硬化、網膜血管の障害、老人性白内障、早発性老眼、網膜血管のアテローム性動脈硬化症など眼の異常。
・老人に特徴的な高次の精神機能障害
・30歳未満のリクビダートルにおける老人性二型糖尿病(訳注2)の発症
・老人性の抗酸化機能の低下
・聴覚および前庭(訳注3)器官における老人性の障害。
11. リクビダートルの生物学的時間が加速している証拠は、血圧の体内概日リズム(訳注4)が短縮していることで示される( Talalaeva , 2002)。
12. リクビダートルの早期老化においては、生物学的老化の典型的な進展である免疫系の一般的活性化が現れる。これは、赤血球の還元型グルタチオン濃度の低下と、酸化型グルタチオンの増加、タンパク質のカルボニル基の割合の上昇を伴うものである(Altukhova et al., 2007)。
13. 事実上すべてのリクビダートルにおける老化の早まりを示す所見として、アテローム性動脈硬化をもたらす血管壁の変異がある。変異は腸管を含む上皮組織にも認められる(Tlepshukov et al. , 1998)。
14. 5年間隔で検査したところ、生物学的変異および心肺の変異で示される老齢の加速が(生理学的な変化については11年間で)、男性リクビダートルの 81%と女性リクビダートルの77%において見出された(検査対象は306人)。45歳未満のリクビダートルは、より影響を受けやすかった。炉心溶融(メルトダウン)直後の4ヵ月間にチェルノブイリ大惨事の現場で働いたリクビダートルの生物学的な年齢は、それ以降に従事した者たちの生物学的な年齢を上回る(Polyukhov et al. , 2000)。
15. リクビダートルの臓器において加齢変化に加速が生じることを、放射線誘発性の早期老化症候群と定義することが提唱されている ( Polyukhov et al. , 2000; Bebeshko et al. , 2006)。
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チェルノブイリ大惨事によってもたらされた放射線による老化の影響は、すでに数十万人に及んでいる。そして将来も、この問題は数百万人の人びとに関わってくるだろう。
<訳注>
1.胆のう膵臓炎:胆のう炎と膵臓炎の合併症
2.二型糖尿病:二つある糖尿病の型の一つで、インスリン非依存型と言われ、インスリン分泌が低下することで血糖が増加する糖尿病。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多い。糖尿病のほとんどはこの二型糖尿病である。
3.前庭:内耳の一部。平衡感覚をつかさどる。炎症など前庭神経の働きに異常が生じると、めまいが起こる。
4.概日リズム:睡眠、摂食、ホルモン分泌、血圧などが約24時間周期で変動すること。
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http://chernobyl25.blogspot.de/2012/03 よりの転載。
緊急を要する情報なので、ここに転載した。
放射能のせいかなと思って体調不良を医者に訴えたら、老化のせいだ、といわれたという阿修羅参加者がいた。阿修羅のコメント欄にそう書いてあった。
いずれにせよ、今の日本の医者のレベルで原子炉事故で生じるあらゆる体調の変化を理解することはとうてい不可能であると思われる。
今の医者は、低線量被曝の危険さとか、チェルノブイリ原子炉後に出たさまざまな症状についてあまりにも無知な人が多い。
医者はぜひヤブロコフの本を読んでほしい。
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