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フランスで起こった連続銃撃事件の不合理さと陰にある脱原発問題
事件経過を簡単にまとめてみる。以下はShootings in Toulouse and Montauban: What we know( http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17428860" target="_blank">http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17428860 )というBBCの記事から。
2月下旬 最初の犠牲者であるImad Ibn-Ziatenが自分のバイクを売ると言う広告をインターネット上に出す。このとき、Imad Ibn-Ziatenは自分の名前を出さず、単に兵士とだけ名乗っていた。
3月 6日 Toulouse というフランスの町で犯人が使ったスクーターが盗まれる。
3月11日 Toulouse で、Imad Ibn-Ziatenという30歳の兵士が頭部を撃たれて殺される。彼はバイクをインターネットで売りに出していて、そのことで犯人(狙撃犯)からe-mailをもらい、事件の数分前には電話を受けていたと言う。Imad Ibn-Ziatenは北アフリカ出身で、犯人も北アフリカ系であった。
3月15日 Montaubanと言うフランスの町のATMに並んでいた非武装のユニフォームを着た兵士3人が撃たれ、2名が死亡、1名が意識不明。このとき犯人は「中背で極めて太ってい」("of average height and quite fat")、顔に刺青か傷があった(a tattoo or scar on his face)とされている。この日に打たれた兵士3人も北アフリカ出身者であった。
3月19日 Toulouseにあるユダヤ人学校の教師とその息子2人(4歳と5歳)、および校長の娘(7歳)がやはり射殺される。娘は髪の毛を捕まれ頭を撃ち抜かれた。このときの犯人は「決然としていて、筋肉が鍛え上げられたスポーツマンタイプ」("determined, athletic and well-toned")とされている。上記の殺害事件3件すべてで使われた凶器はColt 45。また全ての犯行は昼間に行われている。
3月22日 Toulouseにある犯人の自宅アパートで警察と銃撃戦になり、犯人は、窓から飛び出たところを頭を狙撃されて死亡。
警察が自宅アパートを突き止めたのは、最初の犠牲者であるImad Ibn-Ziatenへのe-mailと盗まれたスクーターについていたGPS装置からだったと言う。スクーターについては犯人がToulouse市内のディーラーにGPS装置の取り外しについて問い合わせをし、それを怪しんだ店主が警察へ通報したとのこと。ただし、これがいつのことかは報道がない。
犯行動機としては、銃撃戦の際に警察に語ったこととして、イスラエルによって迫害されているパレスチナ住民への同情とフランス軍がアフガニスタンに駐留していること、及びフランス国内でのイスラム系住民のベール着用禁止があったと言う。
犯人について:氏名はMohammed Merah、23歳。アルジェリア系移民の子供でフランス国籍を持つフランス市民。職業は機械工で、スクーターが大好きだったと言う。軽犯罪で何回か警察に捕まったことがあり、今回のテロで事件を起こした後、自宅で立てこもっている間に警察にMohammed Merah自らが語ったとされることは、アルカイーダのメンバーであり、パキスタンとアフガニスタンを訪ねたことがあるとのこと。また、3月11日から19日のテロについて自らの犯行であると認めたと言う。
少なくとも今までに暴力事案で15回逮捕されている。最初の逮捕は2005年で、二回短期刑務所入りしている。この2月にも無免許運転が見つかり4月に裁判が開かれることになっていた。
2011年の8月中旬から約二ヶ月間パキスタンを訪ねたことがあり、2010年にも同国からアフガニスタンのカンダハルへ行くところをアフガニスタンの警察によって阻止されているとのこと。
3月22日の銃撃戦ではコルト45の他、Kalashnikov assault rifle, an Uzi machine-gunなどの火器を所持していたと言う。Uzi machine-gunについては http://en.wikipedia.org/wiki/Uzi" target="_blank">http://en.wikipedia.org/wiki/Uzi を参照のこと。
以上は、French shootings: Calls for probe into 'failures' http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17456541" target="_blank">http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17456541 より。
Toulouse school shootings: Who was behind the attacks? http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17440561" target="_blank">http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17440561 では子供がこういったテロで殺されたことは今までなかったとしている。
ここからはこの事件の不自然さについてだ。
1.動機と犯行、及び人物像があまりにも一致しない。パレスチナ問題に関心がある人々は多い。しかし、ユダヤ人を殺すことによって問題が解決すると考えている人々は多分ほとんどいない。ましてやパレスチナ問題に直接的な関係のないフランスでユダヤ人の幼い子供を殺すことは却って反感を買い、パレスチナ問題解決には障害になることはほとんど常識と言っていい。フランス軍兵士も全員が白人ではなく北アフリカ出身者であり、犯人とほぼ同じ人種だ。顔を見れば北アフリカ出身と分かる訳で、昼間犯行が行われたことから見て不自然。犯人とされるMerahは何回かパキスタンへの渡航歴があるとされるが、思想的な背景を持っていた形跡はない。ナイトクラブなどへ出入りしていたとされ、勤め先についての報道がないことからきちんと就職していた可能性も少ない。そもそも15歳のときから15回以上逮捕されているし、現在も無免許で裁判を受ける身であった。2010年から2011年にパキスタンへ渡航しているがその費用をどうしたのかも不明なままだ。
2.アルカイーダの一部組織から犯行声明が出されていると言うが、アルカイーダ全体がまとまった組織を持っているわけではなく、誰でもがアルカイーダを名乗ることが出来る。いわば実体のない、架空の組織とさえ言っていいのがアルカイーダだ。911のアメリカ同時テロを契機に西側諸国の敵として描き出されたのがアルカイーダであり、すでに10年以上の歴史があるにもかかわらず、統一組織を作ると言う動きはない。もし、彼らが本当にアメリカの資本主義に対抗するための組織ならパレスチナ解放機構のような統一機関が作られているはずだ。
3.武器としてマシンガンが使われているが、これは一般人には入手がほぼ不可能であり、単にパキスタンに渡航歴があるだけの若者が入手できるものではない。
4.目撃で犯人の特徴とされているものが2回目のテロと最後のテロとでは食い違っている。また、最初のテロでは被害者の頭部を一発で撃ち抜いたとされるがコルト45は大型のピストルであり、発射時の反動が大きく、よほど扱いになれたものでないと至近距離からの発射であっても的に命中させることが出来ない。45口径とは両手でしっかりと保持して使うものであり、兵士を至近距離から狙えば相手に気づかれて逃げられてしまうはずだ。最後のテロでも少女の髪の毛を片手でつかみ頭部を撃ち抜いたとされるが、たとえ徒歩での犯行としてもなかなか出来ないことのはずだ。
5.パレスチナはある意味イスラエルと経済的な基盤を共有している。毎日パレスチナからイスラエルへ出稼ぎに行くパレスチナ人は多い。もし、テロによってユダヤ人を殺すことがパレスチナ問題の解決に結びつくと現地のゲリラ組織などが思っているとしたら、パレスチナやイスラエル国内で同様のテロが頻発しているはずだ。
結論として、この一連のテロはフランス大統領選挙がらみの作られた事件だと見るべきだと思う。GPS装置がついているスクーターをわざわざ使っているが、まるで自分で居所を警察に知らせるようなものだ。GPSがついていないスクーターもあったはずだ。更に、このスクーターが全てのテロで使われたわけではない様子で、なぜ警察がこのスクーターが犯人のものだと断定できたのかは疑問だ。犯行時の防犯カメラ映像があるわけではなく、その前後の映像があるだけだ。
もし、覚悟の犯行であり、捕まることを予期していたのなら、何もわざわざ銃撃戦をしないでおとなしく降伏し、裁判でパレスチナでのイスラエルの蛮行やフランス軍のアフガニスタンでの犯行をを述べたり、フランス国内でのイスラム系の人々へのベール着用禁止の不合理さを言い立てればいいことだ。自宅の窓からマシンガンを構えて銃撃をしながら飛び出し、包囲している警察の狙撃部隊によって頭部を撃ち抜かれて死ぬ必要はない。そもそも犯人がマシンガンを連射しながら飛び出してくるとき一発で頭部を撃ち抜くのはある程度難しいはずだし、犯人が防弾チョッキを着ていたということを事前に警察が知っていたとは思えない。普通なら足などを狙って撃ち、行動を止めて生け捕りにする。子供たちが殺されて3日後に犯人射殺と言う形で解決したのは警察及びそれを指揮する最終的な責任者である現職大統領に有利なことだ。子供が3人も射殺されたことによる社会不安が高まったところで、事件の背景はともかく犯人を射殺し事件解決に持ち込んだわけで、事件の背景が未解明で終わったことに対する非難よりも速やかに事件解決をしたことの功績が意識されるからだ。
現職のフランス大統領であるサルコジは長年移民問題には非常に厳しい見方をしてきた。わざわざ移民を蔑視する発言をして移民の人たちをけしかけたりしている。今回のフランス大統領選挙はフランスの脱原発が大きな争点であり、サルコジは原発維持を唱えてきている。しかし、フランス国内での原発建設はほぼ行き詰っていて、近隣諸国からの脱原発を求める圧力も大きなものになっているはずだ。今回の一連のテロは移民問題をクローズアップさせることによって大統領選をサルコジに有利にし、脱原発の動きを止めることが目的であったととることが合理的だと思う。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から連番号を付しています。<<1045>>
TC:37523, BC:151884, PC:?, Mc:?
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