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辛坊治郎氏が「六ケ所村核燃料再処理センター」を見学
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120323-00000002-sasahi-soci
週刊朝日 2012年3月30日号
ニュースキャスターの辛坊治郎氏が、青森県六ケ所村を訪ねた。日本中で排出される使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、残余の核分裂生成物をガラスに溶かし込んで固める工場「日本原燃 六ケ所村核燃料再処理センター」だ。辛坊氏がレポートする。
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施設内で目を引くのは、50メートルプールにコンクリートを流し込んだような巨大な長方形の物体が整然と並ぶ姿だ。これは日本中の核関連施設から廃棄される低レベル廃棄物をコンクリートで固めたものだ。低レベル廃棄物とは、日常的に核物質に触れるわけではないが、近くに存在する放射性物質の影響を受けるなどして、微量だが放射線を出す性質を持つようになった原発配管部分などを指す。原発稼働に伴って発生するこれらの物質を日本で唯一、受け入れているのが、この六ケ所村の再処理センターなのだ。地元と結んだ契約上の年限は300年だが、300年後に、この巨大なコンクリートの塊を他の場所に移せるとは到底思えず、必然的に、我々の時間軸の中ではここが日本の低レベル廃棄物の最終処分地となる。
そしてもう一つここに存在する重要な施設、それが、ウラン濃縮工場だ。日本の原発で1年間に消費されるウラン燃料は、原子炉1基あたり25トン、54基ある原発が定期運転を開始すると年間約1千トンにも上る。ウランを濃縮する権利を国際条約上合法的に持っている非核保有国は日本しかない。現在六ケ所村では、旧型の濃縮装置を、最新式の高性能装置に転換する作業が行われているのだが、これが終わると、核燃料を完全に国内生産できるようになる。
大量のウランを安定的に、臨界を起こさせずに濃縮する方法は世界的に公開されておらず、日本も一から技術を開発した。この分野の研究者は、一切の論文の発表が許されず、特許が申請されることもなく、施設の大きさ、システム、遠心分離器の速度・能力等すべてが秘密のベールの中にある。国際条約で、この施設の中で許されるウラン235の濃縮度は20%未満で、ここまでを「低濃縮ウラン」と呼び、もし、この濃度を超えて濃縮を行うと、極端な話、イランが今直面しているように、アメリカの空爆による施設破壊を覚悟しなくてはならなくなる。
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辛坊治郎氏 「六ケ所村を見れば原発をどうすべきかがわかる」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120323-00000005-sasahi-soci
週刊朝日 2012年3月30日号
日本のエネルギー政策の「聖地」となっている青森県六ケ所村。ニュースキャスターの辛坊治郎氏がこの地を訪ね、日本の原発問題の真実をレポートする。そして、「我々は原発をどうすべきか?」と疑問を投げかける。
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「核燃料再処理工場」が本当に動き出せば、毎年日本の原発が生み出す約1千トンの使用済み核燃料のうち8割を処理することができて、そこから新たな核燃料を作り出し、残りを、少なくとも使用済み核燃料そのもので保管するよりは安全なガラス固化体に作り替えることができる。
しかし、これでいよいよ問題解決!とは、残念ながらいきそうにない。
皆さんには素朴な疑問が一つ浮かび上がるはずだ。それは、最終的に核燃料から分離された、高線量の核廃棄物であるガラス固化体はどこへ行くのか?という疑問だろう。
実はここに日本の原子力政策の最大の問題点が隠れているのだが、今この原稿を書いている時点で、これに答えを出せる人はどこにもいない。おそらく10年後の今日でもいないだろう。青森県との契約で、今後50年間、ガラス固化体はこの地に保管されることが決まっているが、「永遠」にこの地に留まる低レベル放射性廃棄物と違って、地元はあくまでも最終処分地にならないことを条件に、この施設を受け入れた。
このガラス固化体は、防護装置なしに近づくと即死する。
去年から今年にかけて、核燃料の最終処分に関して、いくつかの注目すべき報道がなされた。ロシア政府が、使用済み核燃料の最終処分地として日本政府に名乗りを上げていた話、日米政府が秘密裏にモンゴルに最終処分場を造る計画を持っていた話、さらに使用済み核燃料を再処理せずにそのまま埋める方が、再処理よりもはるかに安い値段で処理が可能だという話。
また、原発の敷地内にある使用済み核燃料一時保管プールは、国内の原発が再稼働すれば遠からず満杯になる一方、その核燃料を処理する工場は稼働しておらず、さらに将来的に累計18兆円の巨費を投じてガラス固化体を作り出しても、それを運んでゆく場所がない現実。
さぁ、これらの事実を知って皆さんは原発をどうすべきだとお思いだろうか?
今回は結論を述べない。一つひとつの事実の先に、自ずと結論は見えてくるのだと思う。
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