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昨年、3月11日の大震災の後、いつものことだが、報道が重なるにしたがって災害規模の深刻さが急加速的に衝撃を与えていた。そこへ新たに未知の原子力事故が加わって、目を皿のようにしてテレビ報道にくぎ付けになっていた。
東日本を襲った未曾有の大震災と津波被害は東北太平洋沿岸部を壊滅状態にした。そこへ降って沸いた福島第一原発の原子力災害であった。咄嗟にこれは、オウム真理教の地下鉄サリン事件とは比較にならない規模と深刻度を有した事故だから、テレビは現場にかじりついて毎日昼夜を通して中継し、刻一刻事故状況を知らせてくれるものとばかり思っていた。
ところが、枝野官房長官(当時)も、東電筋も深刻さを故意に矮小化して、すぐにでも収束できるかのような雰囲気づくりに姑息にも拘泥した。テレビは民放各局、NHKも含め、一週間くらい経ってから、まるで申し合わせたようにぴったりと原発報道を止めてしまった。時々、報道するのは東日本大震災の被災状況を少しだけ報道するのみであった。
その報道も、極力津波襲来の恐ろしい様子は報道せず、被災地の人々が如何に耐え、如何に頑張っているかという情緒的なものに特化し、正確な被災状況を知らせていなかったと記憶している。津波被害の深刻さを伝えるには津波襲来そのものを映像的に報道することが一番肝要であるが、テレビはこの報道精神を捨ててしまっていた。まるで人々に見せてはならない映像であるかのようにこれを自粛した。
津波の恐ろしい侵襲状況は、ほとんどネットの動画で見ることができたが、テレビは初期に少しその映像を出しただけで、あとはお涙ちょうだいの現地ヒューマニズムばかりを流していた。これを見ていて一番腹立たしかったのは、もう日本のテレビは報道公器として完全に終わったという感慨であった。
その上、テレビやラジオがクロスオーナーシップで固められ、既得権益勢力にマイナスになることは絶対に流さないという事実を嫌というほど見せつけられた。東電が如何にテレビ局や大新聞に対してスポンサー料を払っているか、そのせいでテレビ、新聞、ラジオなどの既存マスメディアは、福島第一原発報道をこれでもかと自粛したことは記憶に新しい。
それは最近方向転換の兆しが見える朝日テレビ系でも全く同様だった。決定的にマスコミや既得権益勢力の国民無視の体質が露骨に顕れたのが、福島第一事故の報道を各テレビ局がいっせいに自粛して、民放各局はお笑い番組等の愚民化番組を四六時中流したことだった。国民を愚弄するにもほどがあると思った。フクイチ事故に対する国民の感覚を麻痺させ、気を逸らす方向に誘導したのである。NHKもフクイチや東日本災害とは無関係な当たり障りのない放送ばかりやっていた覚えがある。
この当時、神州の泉に限らず、フクイチ事故のリアルタイムにおける現場状況は、ほとんどネットで、それもABC、 ABC News 、 CBS 、 NBC 、 CNN 、 Fox News 、 BBC などの海外メディアから断片的に得ていたのではないだろうか。この当時、日本のマスメディアや官邸が、フクイチ事故の正確な状況を隠蔽ないしは矮小化している事実に対し、強い疑念が湧いたが、この情報統制の裏には外国資本の侵襲や適性国家の侵略に対して国家防衛的な深謀遠慮があるのかもしれないと思う面もあった。
枝野幸男元官房長官は、菅直人前首相とともに「ただちに心配はない」と繰り返して、フクイチ事故の評価を物理的にも被曝的にも狭小化して発表したが、その裏には日本市場を急襲するであろうハゲタカ外資への予防措置があったのかと思っていた。その文脈で、事故初期におけるアメリカの援助を正面切って断っていたのかという思いもあった。
だが、その思いはほどなくして全く見当外れであったことを思い知らされる。菅政権は東日本大震災の復興に何ら有効な対策も講じないばかりか、復興構想会議を設置し、漁業における企業形態での参入を盛り込み、これを積極的に推し進める宮城県村井嘉浩知事を使って、災害地に外資導入の道を造った。
これを受け継いだ野田政権は2011年10月28日、東日本の被災地全体を「復興特区」に認定し、被災地の農地や漁業権、住宅などを、外資を含む大資本に開放し、政府規制のない弱肉強食の市場原理エリアに変えつつある。これは、新自由主義の教祖であるミルトン・フリードマンが言った〈真の改革は、危機的状況下でのみ実施される〉の典型的な復興形態であり、ナオミ・クライン女史が指摘したショックドクトリンそのものである。
これによって、日本の政府や東電が、初期にフクイチ事故を犯罪的な過小評価に導いた理由が、既得権益グループと外国資本による「国民洗脳プログラム」に基づいていたことがよく分かる。大事故や大災害が起きた時、国民に真相を知らせないで自分たちに都合の良い状況を無理やり作り、復興という名目で利権を貪るという基本姿勢である。
従って、菅政権や野田政権を支えた政官財には、基本的に日本がどうなってもいいという国賊メンタリティに囲繞されていることが証明された形となってしまった。昨年、原発事故直後にその真相を最も的確に伝えていたのはABC、CBS 、NBC 、CNN 、BBCなどの海外メディアであった。もちろん、彼らがすべて冷静に客観的に報道したわけではない。
かなり誇張した表現や無理やり危機感を煽る対岸の火事的な部分もあったことは鼻に着いたが、それでも国内メディアの犯罪的な矮小化報道に比べると、伝えるべき要素はきちんと伝えていたことは確かである。この海外メディアのニュース報道が阿修羅などを介して連日ネットに広がっていた。そのお蔭でマスメディアに匙を投げていた多くのネットユーザーは、フクイチの正確な情報について検討できる材料を得たことになる。
ところが、政府筋はこの動きがまことに都合が悪かったらしく、海外メディア由来のフクイチ情報を統制しようと躍起になった。総務省は2011年(平成23年)4月、「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請」という言論弾圧を行っている。
電気通信事業者関係団体に対し、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、各団体所属の電気通信事業者等が表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じることを命令した。これは事実上、プロバイダーの判断で風評に相当する記事は削除せよという典型的な言論統制であり、その目的は、ネットを行き交う海外メディア由来のフクイチ情報を封印することにあった。
日本政府が頭を悩ました、その有益な情報発信を主にしていたのは、アーニー・ガンダーセン(Arnie Gundersen) という、エネルギー・コンサルティング会社フェアウィンズ・アソシエーツのチーフ・エンジニアで原子力撤廃論者であり、もう一人は「欧州放射線リスク委員会」のクリストファー・バズビー(Christopher Busby)博士であった。彼ら両名のフクイチに対する見解を、海外ニュースや動画で見て、真のフクイチ状況を考え直したネットユーザーは多かったはずである。
特にガンダーセン氏は、3号機が核爆発であった可能性をいち早く指摘しており、フクイチ4号機は広瀬隆氏との対談で「4号機の核燃料プールは、今も日本列島を物理的に分断するほどの力を持っています。震災時、このプールには炉心数個分もの使用済み核燃料が入っていたのです。大気圏内で行われた過去の核実験で放出された総量に匹敵するほどの、放射性セシウムが眠っています。」(週刊朝日 2012年3月16日号)と、現在も極めて逼迫した危機状況にあることを訴えている。
瓦礫処理などのショックドクトリンに乗じた利権漁り行為に奔走するよりも、先んじてやるべきことは、国力を上げてフクイチ4号機の使用済み燃料プールの補強対策と、可及的速やかに内部の燃料を安定的な場所へ移動させることに最大限の傾注をするべきであろう。利権を漁っても、日本列島全体や北半球が壊滅的な汚染を蒙ったら、それこそ文明世界はネビル・シュートの終末世界小説「渚にて」の状況が現実になるのである。欲ボケした連中は、金に目がくらんで自らが置かれている極度に危機的な状況を認識し得ないでいるのだ。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2012/03/post-3754.html
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