http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/174.html
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政府・東電は、4号機の危機一髪が“奇跡”や“偶然”で回避できたと語ることはあっても、“奇跡”や“偶然”が起きなった場合、どういう対応をとるつもりだったのかまったく説明していない。
テレビキー局や全国紙といった大手メディアも、神風が吹いたかのような「奇跡譚」を空々しく書くことはあっても、人智を超えた存在で制御できない神風ではなく、人智で主体的に実行できる対応策としてどのようなものを用意していたのか質そうとしない。
何はともあれ史上最大の災厄は回避できたのだからいいじゃないかで済まされるものではないはずだ。
済ませていいと言うのなら、日本は近代国家の体をなしていないと断じる。
史上最大の災厄を回避するために4号機の原子炉建屋を意図的に爆破したという考えを「陰謀論」といって批判する奇妙な人もいるが、その人に聞きたい。機器類プール&原子炉ウェルプールから水が流れ込む奇跡や偶然が起きなかったとき、日本政府は、東日本壊滅の危機が迫っているというのに、ただ手を拱き、おたおたおろおろ祈るだけで時を過ごしたとでも思っているのかと。
そんなみっともない政府ではなく、叡智を集め対策を考えていたはずと思うのなら、どんな対策が用意されていたのか質すべきである。
政府も、国民の生命と財産を守ることが使命だと思っているのなら、4号機燃料プールで進行していた危機にどのように臨んでいたのかきちんと説明しなければならない。
4号機燃料プールで進行していた危機は、福島県が壊滅的被害に襲われるというレベルで済むものではなく、天皇も住み、中央行政機構・国会・各国大使館(駐留米軍)さらには多くの有力企業の本社が存在する首都圏まで東日本全体が壊滅状況に陥るほどのレベルだったのである。
現在の政府がそこまであくどいとは思いたくないが、ある地方の一般国民が相当数死ぬ被害で済むのなら、対応策のリスクを勘案して、嵐が過ぎるのをただじっと待つという選択肢もある。
しかし、4号機の使用済み核燃料プールで進行していた危機は、そんな選択肢が浮上する余地をまったく許さないものである。
酷い言い方になるが、数万人の犠牲で危機を終わらせることができるのなら、政府がそれを選択する可能性さえあったとんでもないレベルの危機だったのである。
国民に責任を果たす政府だと自認するのなら、最低限、4号機燃料プールで進行していた危機にどういう対応策を用意していたのかきちんと説明する義務がある。
いや、何も考えていなかったというのなら、水俣病やエイズを超える不作為による殺人未遂で、菅前首相・枝野前官房長官・海江田経産大臣など当時の関係閣僚は告発されなければならない。
このような考えから、4号機原子炉建屋の緊急避難的爆破説を「陰謀論」というより、チェルノブイリを凌駕する大災厄が時々刻々迫るなかで、日本政府は、ただ奇跡だけを期待し、手を拱いたままだったと言う方がよっぽど「陰謀論」に近いと思っている。
以下は、「3月15日未明の菅前首相「東電本店訪問劇」の真相:“全面撤退阻止”ではなく、真逆の“一時退避要請”が目的の一つ」(http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/883.html)に寄せていただいたコメントへの回答の続きである。
■ 07. Qu2boSy4yMさん
Qu2boSy4yMさんは、「陰謀論」がよっぽどお嫌いのようだが、4号機原子炉建屋損壊問題に関する具体的な説明はされていない。
私の説への疑義はいくつか書かれているので、それに応えたい。
【引用】
「去年の3/15あたり、東電が4号機の危機を認識し、燃料プールに放水するために外壁爆破を決断したとしてもそれを菅総理との陰謀裏に実行する理由は皆無。もし外壁爆破の必要があったなら、吉田所長は堂々と爆破必要な理由を世界に開示し、屋上なりに穴を開ければ済むこと。まさに、>>01氏の@で述べられている普通の疑問だ。それにあっしら氏は今までまったく答えてこなかった。」
「もし、あれほど大規模に4号機を東電が爆破したとすると、そのための見えない準備工作も大変なものだったことになる。第一、爆薬を東電はどうやって用意し、4号機に配置したのか。しかも燃料プールの階の下側にまで。これも本質的なことだがあっしら氏は返答不能だ。 」
【回答】
Qu2boSy4yMさんは、失礼ながら、日本語の読解力に欠けるのか、真摯に読もうとされていないのか、自説の根幹をまったく理解されないまま反論しているように思える。
「吉田所長は堂々と爆破必要な理由を世界に開示し」とか、「第一、爆薬を東電はどうやって用意し、4号機に配置したのか。しかも燃料プールの階の下側にまで。これも本質的なことだがあっしら氏は返答不能だ 」といった反論をされているからである。
コメントをいただいたスレッドでも関連投稿リストを添付したが、最初の4号機建屋爆破説投稿時から、4号機建屋の爆破は、東電ごときのタームではなく、日本政府と米国連邦政府の協議を通じて計画され、爆薬も在日米軍が準備し、自衛隊との共同作戦として実行したものと推測している。
昨日投稿したコメントへの回答でも説明したが、吉田所長どころか、菅前首相でさえ“堂々と爆破が必要な理由を世界に開示”することができないワケは、SPEEDIデータやメルトダウン認知でさえきちんと開示しないことでわかる、原発や放射能に対する政府の情報管理態度を考えればそれほど不思議なことではないだろう。
「屋上なりに穴を開ければ済むこと」というのは貴重な意見である。
政府・東電は、4号機の原子炉建屋は“水素爆発”で損壊したと主張している。なかには、燃料プールから発生する水素で爆発したのかと思ったと発言しているひとさえいる。
屋上に穴を開ける対策は、水素爆発を回避する目的にこそ有効なものである。
4号機建屋でほんとうに水素爆発が起きたのなら、天井に穴を開けていれば回避できたはずである。
1号機はともかく、水素爆発した3号機も含めてすべての原子炉建屋の天井に穴を開ける対策を採らなければならなかったと思っている。
結局のところ、天井に穴を開けた原子炉は5号機だけだったと記憶している。
1号機で水素爆発が起きた事態を踏まえながら、2〜4号機の天井に穴を開けなかった(開けられなかった)理由も、きちんと説明されなければならないと思っている。
しかし、燃料プールに注水する手段として「屋上なりに穴を開ければ済む」との判断は、当時の状況ではそれほど合目的的なものとは言えない。
昨日のコメント欄への回答で書いたように、“奇跡”が起きなければ21日にはプールの水が枯渇してメルトダウンが始まるという状況下、“キリン”や“ゾウ”がいつ到着するかも明確でなく、1台の屈折放水塔車(高さ22メートル)しか有力な放水手段が確保できていない時期に行う作戦である。
放水が届くかどうかさえわからない“天井の穴”に「日本の運命」を託すことはできないはずだ。
※ 2号機問題
【引用】
「自分の(あっしら氏の幻想よりは確かな(笑))推測に過ぎないが、2号機の圧力抑制室は破裂してしていない可能性がある。
これには自分なりには3つの理由がある。3号機の爆発後、3/14夜にすでに2号機燃料棒すべて露出、メルトダウンの可能性が報じられていた」
「そういう時に3/14夜半から3/15未明にかけて、つまり2号機圧力抑制室が爆発したとされる朝よりずっと以前に、大量の放射性物質の放出が始まり、観測されていること。(詳しくは各自ググられたし。Wiki http://p.tl/2cLo などをまず参照)これは2号機格納容器の釜の蓋が開いた可能性で説明できる。 」
【回答】
「2号機の“爆発”は「計器故障」とうそぶく東電:2号機のS/C損壊まで否定する腐敗臭漂う東電中間報告書」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/836.html)で紹介したように、東電も2号機の圧力抑制室損壊を否定しているので、確認できるデータを基礎に大いに議論すればいいと思っている。
私自身は、福島第1原発正門付近の放射線量の変動(15日朝に初めて10mSv/hを超え12mSv/hがピーク:14日夜から15日未明にかけては3mSv/hが最大値)、高崎のCTBT観測所や東京世田谷の東京都産業局大気観測所の大気中放射性物質検出値の変動状況から、15日明け方に2号機の圧力抑制室が損壊し、福島第1原発事故で最大の放射能噴出が起きたと考えている。
「3/14夜にすでに2号機燃料棒すべて露出、メルトダウンの可能性が報じられていた」は知っているが、私も、14日昼頃にRCICが停止し原子炉に注水もできなかったことから、夕方ころにはメルトダウンが始まったと考えている。その後、原子炉の圧力が低下したことから海水の注水も始まっている。さらに、20時過ぎになると格納容器の圧力が急上昇したためベントを行い(これが14日夜の3mSv/hの要因だと推定)、原子炉についても、圧力を下げるため主蒸気逃がし弁操作を繰り返している。
※ 放射性物質飛散に関する参照投稿紹介
「「3月20日3号機格納容器内爆発」説を読む[その1]“鮮度がいい”放射性物質の漏出・飛散に関する検証」
http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/600.html
「「3月20日3号機格納容器内爆発」説を読む[その2]」
http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/646.html
【引用】
「・3/15朝の爆発の地震動は東電の現地の地震計では1回しか観測されていないとされること。もし2号機で破裂があったのなら、それなりの振動がそれなりの時刻に記録されていなければおかしい。この時刻頃、4号機が悲惨な爆発をしていることは確かなのだから、2号機で破裂はなかった可能性があるわけだ。」
【回答】
2号機圧力抑制室の損壊は高温高圧の蒸気によるものだと考えているが、それでも、仮設地震計になんらかの痕跡を残しているだろうと考えている。
おかしな言い方で恐縮だが、東電は、もともと15日に4号機原子炉建屋で起きたことは“火災”だと発表し、2号機の圧力抑制室は壊れた可能性があると言っていたのだから、爆発は1回だけで、4号機で爆発が起きているから、2号機で大きな音は発生していないという説明は、後出しじゃんけんであり、牽強付会以外のなにものでない。
前述の「2号機の“爆発”は「計器故障」とうそぶく東電:2号機のS/C損壊まで否定する腐敗臭漂う東電中間報告書」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/836.html)で疑義を呈しているので参照していただきたい。
【引用】
「2号機の圧力抑制室の圧力は確かに3/15朝六時頃、爆発音があった後急激に低下していると東電は発表しているが、ほぼ同じ頃あった4号機の爆発音と合わせて「2度の爆音があった」とは金輪際言っていないし、どのマスコミも言っていない、現場作業員の誰も証言していない。」
【回答】
これも、2号機の“爆発”は「計器故障」とうそぶく東電:2号機のS/C損壊まで否定する腐敗臭漂う東電中間報告書」(http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/836.html)を参照していただきたい。
そこでも書いたが、原子炉水位が低下し炉心溶融まで始まるという危機的な状態に陥った2号機には夜を徹して対策チームが対応にあたっていた。
2号機の圧力抑制室が壊れた可能性が発表されたのは、2号機圧力抑制室の急激な圧力低下(大気圧)と、2号機原子炉建屋の地下で大きな異音を聞いたという作業者の証言をベースにしたものである。
4号機で爆発が起きたのは4階か5階と言われている。2号機で何かが壊れたような“大きな異音”がしたのは地下である。
「2度の爆音があった」かどうかはともかく、2号機で事故対応に当たっていた人たちが、4号機建屋の4、5階で起きた爆発音と自分がいる2号機建屋の地下で起きた“大きな異音”の違いがわからないはずはないと思っている。
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