http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/147.html
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投稿者msehi関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/
ドイツでは昨年の脱原発への決断を受けて、本格的な核のゴミの最終処分場の探索が始まっていることを、2月10日のシュピーゲル・オンラインは伝えている(注1)。
これに対して日本では、核のゴミを国民の分かち合いで処理する大本営プロジェクトが開始されようとしている。
(注2)ドイツ:アッセ核廃棄物貯蔵所に浸水:二進も三進もいかない核のゴミ
(注3)ドイツの地層は日本の浸透性の地層とは全く異なり、1メートルも掘れば、粘土層に突き当たる。道路に凍結防止の塩カルが散布されることで数キロ離れた多くの森が枯れたことから、ドイツの市街地では塩カルの散布が禁止され、小さな小石がばら撒かれている。また浸透性のないことを利用してバイエルン州の畑では到る所に溜池がつくられ、ドイツ料理に欠かせない鯉が養殖されている。
(注4)放射性廃棄物:瑞浪超深地層研究所/ゴアレーベン
(注5)原発最終処分場「オンカロ」フィルムはプロパガンダなのか
そこでは、ゴアレーベンを含めてあらゆる可能な候補地の探索を最初からスタートさせ、「市民は知るだけでなく、関与することが基本的なことである」と、連邦環境大臣ノルベルト・レェトゲンは述べている。
ゴアレーベンについては、過去数十年の検証を通して2000年に凍結されたことから除外されるべきという意見も強いが、探索に市民関与を約束していることは大きな前進である。
何故ならドイツで市民関与を認めることは、すべての情報がドイツ国民にガラス張りに開かれることであり、住民に少しでも危険のある場所に最終処分場が建設されないことを意味しているからだ。
ドイツでこのような理想的なやり方で最終処分場探索がスタートすることは、脱原発を願うものにとって心強いだけでなく、原発推進側の進める全く信用のできない最終処分場建設を検証し、警鐘を与えるものである。
しかもドイツでは、最早原発ロビイストの巻き返しは不可能となり、脱原発が覆すことができない事実として確定したと言っても過言ではない。
それはドイツで2011年に脱原発を実現させた原動力として、2000年に開始された風力発電などの再生可能エネルギー産業が地域の要となるほどに成長していたからである。
実際メルケル政権の首脳陣が「原発はドイツのエネルギー転換のために架け橋として必要である」と主張して、2010年に12年間の原発運転期間延長法案を決議した際激しく反対したのは、地域の風力発電などの再生可能エネルギー産業だけでなく、風力発電を補う都市の天然ガスタービンによる熱併給発電産業であった。
何故なら原発運転期間延長で、シュットガルトなどの天然ガスタービンによる熱併給発電の大形プロジェクトが白紙に戻されたからである。
そして現在のドイツでは、脱原発宣言後この一年ですべての州で再生可能エネルギーの大形プロジェクトが開始されており、最早その流れは変えることはできない。
それ故に、核のゴミ処理では国民利益が優先されて、理想的なやり方で最終処分場の探索がなされるといえよう。
しかし最終処分場の探索は、これまでの検証と住民に少しでも危険性をかけないことを前提条件とするならば不可能に近い。
最も安全であると言われたゴアレーベン岩塩層も、1982年からのボーリング調査で天然ガスが噴出し、ボーリングによって浅い地下水層の地下水を840メートルの地下岩塩層に導くなど様々な問題点が生じた。
そして2000年のゴアレーベン凍結宣言では12000の書類が検証され、、「ゴアレーベンのような岩塩層が地下水と接触している場所では、数百年も経ない間に高温の核廃棄物容器が岩塩層を溶かし、地下水を汚染する危険性が高い」と多くの専門家が指摘して実施されたのであった。
また先週3月12日ZDFが、ドラム缶回収のためレェトゲン環境大臣の視察を報道したニーダーザクセン州の岩塩層アッセ核廃棄物貯蔵場では(注2)、カールスルーエ原子力研究所の1960年代から1978年までの研究目的低中レベルの核廃棄物などの12万6000のドラム缶が岩塩層地下750メートルほどに放り込まれ、地下水を一部汚染し、早急の回収が求められている。
既に岩塩層坑道近くには以前から毎日1万2000リットルの地下水が発生しており、10年以内に坑道が崩壊する危険性があるという専門家の指摘を受けて、連邦放射線防護兆庁(Bfs)は2010年1月にドラム缶の回収を決定していた。
(Bfs Pressmitteilungen 15.01.2010)
しかもアッセ周辺では、2002年から2009年の白血病及び甲状腺癌の発生率が急上昇している。(ZDF Nachrichtung 04.12.2010)
これらのドイツの地下深層は日本の地下深層とは異なり、全くと言ってよいほど地震もなく、粘土層に覆われており(注3)、これらの岩塩層は数億年変化することなく安定に保存されてきた。
しかしボーリングによって坑道から多量の地下水が生じ、既に汚染が現実の問題となっている。
それは、もう一つの東ドイツ原発の核廃棄物処分場として使用されてきたザクセンアンハルト州のモアスレーベン岩塩坑でも同じであり、アッセでは最大数兆円の費用が掛かる回収を余儀なくされており、核のゴミの地下深層処分自体が地下水汚染なくして不可能と言っても過言でない。
したがって市民の関与する最終処分場探索が数十年なされた後は、最終的に核廃棄物を閉鎖された原発施設で何百年、何千年、何万年と地上保管される公算は高い。
しかしそれも市民が関与するドイツでは、ホロコーストの過去の過ちを積極的に世界に公表しているように、戒めとしてポジティブに生かして行くこと自体重要であり、相応しい気がする。
それは、日テレの「NEWS・ZERO」が報道した瑞浪超深地層研究所のフィルムを見れば一目瞭然である(注4)。
地下300メートルの1日200トンの地下水が湧き出る100メートルの坑道で、レポーターを案内した日本原子力研究開発機構の杉原弘造博士は、「非常に長い期間ですと、いずれはそういう(核のゴミが地下水に溶け出す)時期がやってくるという前提の中で考えているということですね」と述べていた。
また原子力安全協会の栃山修研究所長(元東北大教授)は、まるでリスクを今頃になってなし崩し的に国民に容認させ、核のゴミ汚染の分かち合いを求める大本営の代弁者であるかのように、次のように述べていた。
「絶対安全とは言えないわけですよ。これは常にね、科学者はある意味で社会が出してきた廃棄物を技術としてどれだけ安全にやれるかどうかをということを一生懸命調べている。(地層処分を)それならやりましょうと言うか、やめましょうと言うかは、それは国民がみんなで決めないといけない話になってきますね」
これらの言葉は正論であるが、原子力村の御用学者の言葉として発せられる時、まったく異なった重みを持ち、結果として大本営を代弁することに成りかねないのである。
すなわち彼らは、ドイツのアッセなどで核廃棄物のドラム缶が地下水との接触で数十年でボロボロに腐食し、一部地下水を汚染していることを当然認識しており、地下水汚染を前提として地層処分を推し進めることは、結果的に将来世代に足尾鉱毒被害の如き放射線汚染被害の容認を求めていることに等しい。
このようなことは、ドイツでなくても民主的国家では許されないことである。
しかしフィンランドやスエーデンのようなかつての理想的民主国家でも(現在は新自由主義に支配されている)、スイスの新聞が『オンカロ10万年の危機(IntoEternity)』をプロパガンダフィルムと指摘するように(注5)、現在の目先の利益のために原発が推進され、人類の未来が担保されているのである。
(注1)SPIEGEL ONLINE 2012.2.10
Endlagersuche最終処分場探索
Bürger sollen stärker mitreden市民はより強く関与すべき
http://www.spiegel.de/wissenschaft/technik/0,1518,814429,00.html
下に翻訳して掲載。
動画http://www.youtube.com/watch?v=-3Ur6FxmVKo
しかしこの粘土層もボーリングによって効力を失い、数億年保たれてきた岩塩層に地下水を侵入させた。地表を覆う粘土層も森などでは、長年樹木によって浸透性の土壌に変えられて来たことで、80年代においては農薬や化学肥料で汚染された地下水が湧き出してきていた。
動画http://www.youtube.com/watch?v=USGT1lStJCg&feature=related
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/230.html
『オンカロ10万年の危機(IntoEternity)』は現在下記で見ることが可能。
http://v.youku.com/v_show/id_XMzI5NTg4MDMy.html
注1の翻訳
Bürger sollen stärker mitreden
市民はより強く関与すべきである。
Kommt endlich Bewegung in die Suche nach einem Atommüll-Endlager? Nach einem Treffen von Bund und Ländern gibt sich Umweltminister Norbert Röttgen (CDU) optimistisch. Die Bürger sollen intensiver beteiligt werden. Doch der Streit um Gorleben kocht weiter.
最終的に原子力廃棄物の最終処分場の探索の動きが到来するのか。連邦と州の会談の後で、連邦環境大臣ノルベルト・レェトゲン(キリスト教民主同盟)は楽観的である。市民はより強く関与すべきである。しかしながらゴアレーベンの争いは再び煮えたってきている。
Berlin - Die Bürger sollen bei der neuen Suche nach einem Endlager für hoch radioaktiven Atommüll aktive Mitspracherechte bekommen. "Es ist elementar, die Bürger zu beteiligen, nicht nur zu informieren", sagte Bundesumweltminister Norbert Röttgen (CDU) am Donnerstag nach Gesprächen mit Vertretern der 16 Bundesländer in Berlin. Entsprechende Passagen zur Bürgerbeteiligung sollen in ersten Entwürfen für ein Endlagersuchgesetz noch einmal grundlegend überarbeitet werden. Die Grünen hatten eine stärkere Einbindung der Bürger angemahnt.
ベルリン発・・・市民は高濃度放射能原子力廃棄物の最終処分場の探索で積極的な発言権を獲得すべきである。「市民は知るだけでなく、関与することは基本的なことである」と、連邦環境大臣はベルリンでの16州の代表との会談後述べた。
市民関与の適切な一節が、最終処分場探索法の最初の草案にもう一度抜本的に加筆されるべきである。緑の党は市民のより強い関与を求めた。
Ein neu zu schaffendes Bundesinstitut soll unter anderem die Standortsuche begleiten, wissenschaftlich bewerten und auch die Bürgerbeteiligung organisieren. Dieses Institut ist allerdings umstritten. Die rheinland-pfälzische Wirtschafts- und Umweltministerin Eveline Lemke (Grüne) verwies darauf, dass die Frage auch juristische Fragen aufwerfe. Details müssten noch geregelt werden. Dass eine Ethikkommission den Prozess überwachen soll, ist dagegen wenig umstritten.
新しく創られるべき連邦研究所はなかんずく候補地探索に関与し、科学的に評価し、市民関与を組織すべきである。このような研究所はもちろん異論の余地がある。ラインランド・ファルツ州の経済大臣と環境大臣を兼任するエベリン・レムケ女史(緑の党)は、法律的な疑問が呈されることを指摘した。要細はさらに整えられなければならない。倫理委員会がそのプロセスをチェックすべきことは、ほとんど異論の余地はない。
Röttgen zeigte sich nach dem Treffen zufrieden. Es gebe "nach jahrzehntelanger Sprachlosigkeit" nun die "historische Chance für die bestmögliche Tiefenlagerung" von Atommüll, sagte er. Der Salzstock im niedersächsischen Gorleben stand nicht auf der Tagesordnung. Alle möglichen Standorte "unter Einschluss Gorlebens" sollten gleichbehandelt werden, sagte Röttgen aber. Es werde keinen politischen Vorabausschluss geben.
レェトゲンは会談の後満足を示した。数十年の長い暗黙の後で原子力最終処分場の最適な深層場所への好機となるだろう、と彼は述べた。ニーダーザクセン州のゴアレーベンの岩塩層は議題になっていなかった。ゴアレーベンを含めてすべての可能な場所が等しく扱われるべきであると、レェトゲンは言った。
Weiter Streit um Gorleben ゴアレーベンでのさらなる衝突
Umweltschützer forderten ein sofortiges Aus für Gorleben. "Dies ist geologisch erforderlich, politisch notwendig und rechtlich machbar", sagte Greenpeace-Atomexperte Tobias Riedl. Auch der Atomexperte des Bunds für Umwelt und Naturschutz Deutschland (BUND) bezeichnete den Entwurf Röttgens ebenfalls als untauglich: "Von einem echten Neustart bei der Endlagersuche kann nur die Rede sein, wenn Gorleben tatsächlich aufgegeben wird."
環境保護者たちはただちのゴアレーベンからの撤退を要求している。「撤退は地質学的に必要であり、政治的に緊急性を要することであり、法律的に可能である」と、グリンピースの原子力専門家トビアス・リードルは述べている。同様にドイツ環境自然団体BUNDの原子力専門家は、レェトゲンの草案をまさに不適当なものとして次のように指摘している。
「ゴアレーベンが事実上断念される場合のみ、演説は最終処分場探索の本当の新しいスタートに就ける」
Die Ministerin Lemke sagte, über den Umgang Gorleben werde in einem eigenen Beratungsprozess weiter entschieden. Zudem sei die Begleitung des Suchprozesses durch eine Ethikkommission ein wichtiges Anliegen. Niedersachsens Umweltminister Stefan Birkner (FDP) meinte, es sei klar, dass sich auch der Standort Gorleben in allen Phasen und nach allen festgelegten Kriterien mit anderen Standorten messen müsse.
大臣レムケ女史は、「ゴアレーベンの扱いでは特別の説明プロセスが必要であり、そのために倫理委員会の探索プロセスへの関与が最も重要である」と述べている。
ニーダーザクセン州の環境大臣ステファン・ビルクナー(FDP)は、「ゴアレーベンはすべての局面で、そして他の場所とのすべての確定している基準に従って測らねばならない」と思っている。
Die SPD-Energiepolitiker Matthias Miersch und Ute Vogt nannten auch die bisherigen Entwürfe Röttgens inakzeptabel. "Die vorgelegte Fassung des Gesetzentwurfs beinhaltet weiterhin die Option, Gorleben bis auf die letzte Phase des Standortvergleichs als gesetzten Kandidaten zu betrachten und damit von der Prüfung auf Ausschlusskriterien zu befreien", kritisierten die beiden Bundestagsabgeordneten in Berlin
SPD(社会民主党)のエネルギー政治家マチアス・ミルシュとウテ・フォーグトはこれまでんのレェトゲンの草案を受け入れられないものと見なしている。「提出された草案の表現は、ゴアレーベンが候補地比較の最終段階におけるまで設定された候補地として見なされ、それでもって除外基準のテストから取り除かれるオプションがある」と、ベルリンの2人の連邦議員は批判した。
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