http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/130.html
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「3月15日未明の菅前首相「東電本店訪問劇」の真相:“全面撤退阻止”ではなく、真逆の“一時退避要請”が目的の一つ」(http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/883.html)に多くのコメントをお寄せいただきありがとうございます。
いただいたコメントで提示された疑問に簡単ですが応えさえていただきます。
■ 03rK5F33UQ さんのコメント
コメント欄01.&14.の内容への回答です。
【引用】
「@ 4号機プールに外部から注水するために爆破するなら、4号機建屋の上部の破壊で事足りるのではないかと思うのですが、なぜ下の階の壁面も爆破したのでしょう?
A 下の階を爆破すれば、プールそのものが保持できなくなる可能性があるにもかかわらず、下の階も爆破したのはどういう理由からでしょう?
B 4号機プールの水温は3月14日の時点で83℃に上昇しており、燃料が溶融し始めていた可能性があったと思います。
東電も、のちにプールの水の検査によって「燃料は溶融していなかった」と言っていますが、15日未明の時点では溶融の可能性が高いと思っていたのではないでしょうか?
とすれば、4号機建屋内に水素が充満している可能性もあり、爆破によって引火して水素爆発を起こし、プールが破壊される恐れはなかったのでしょうか? 」
【回答】
[爆破範囲]
@とAは、4号機原子炉建屋の損壊が外から注水という爆破目的を超えるほど広い範囲に及んでいるのは?という質問と受け止めます。
まず、ある時点から見るも無惨な状態になった4号機の原子炉建屋も、15日時点では、爆発ではなく“火災”と発表されても違和感をもたれない程度の損傷状況でした。
15日に4号機原子炉建屋で起きた出来事が“火災”であるという見解は、2ヶ月後の5月中旬まで続いています。
4号機原子炉建屋に関して爆発説が流布され始めるのは、次に示す参議院予算委員会(5月13日)で行われた質疑応答の後くらいからです。
当時の海江田経産相は、爆発という言葉を使いながらも、4号機がああなった原因は“火災”以外なんがなんだかわからないと説明しています。
立ちあがれ日本の藤井孝男参議院議員が国会の質疑で語ったように、4号機原子炉建屋は、日が経過していくなかで見るも無惨な姿に変わってゆきました(5月13日参議院予算委員会の関連質疑内容を下方に引用)
外壁の脆弱性が高まったことや頻発した余震の影響もあると思いますが、このような経過からも複数回の爆破が行われたと推測しています。
4号機原子炉建屋とりわけ燃料プールは、現在なお心ある人たちが最大の脅威として危惧している対象です。
私自身は、大丈夫とは言い切れませんが、プール構造体の支持能力を含め建屋の下部構造は、見かけから想像されるほど傷んでいないのだろうと思っています。
信頼を得ていない政府や東電がどう言おうと、原発事故を当初から注意深くフォローしてきた人はそれをまともに受け容れることはできないだろうと思っていますが、4号機燃料プールの崩壊が引き起こす破局的大災厄は政府も強く認識していますから、建屋の構造力学的リスクは慎重に検討されているはずです。昨年7月には補強工事も行われています。
(今現在でも、4号機の燃料プールが瓦解すれば、政権がぶっ飛ぶというどうでもいい話ではなく、日本そのものが壊滅しかねない大災厄につながります)
4号機原子炉建屋の外壁は厚さ1.5mほどのコンクリート製ですから、開口部を設けるためには強力な爆薬を使う必要があります。
コメント欄11. でNkGYUYtCbIさんが「指向性爆薬」の情報が含まれる共同通信の記事を転載してくれていますが、そのような爆薬を使っていれば、見かけとは違い下層の構造体にはそれほど大きな損傷が生じていないと考えることができます。
肝心の4階まで外壁を壊した理由ですが、15日や16日の時点では、58メートルのアームを持つ生コン圧送機(“キリン”や“ゾウ”)がいつ到着するかははっきりとわからず(21日から運用開始)、しばらくのあいだ、消防車や屈折放水塔車(高さ22メートル)での放水に頼らなければならないという判断があったからではないかと考えています。
下方からぎりぎりの射程で上向きに放水を行う作業ですから、できるだけ多くの水を5階にある燃料プールに注ぎたいと思ったら、放水軌道に当たり邪魔になる可能性が高い4階部分の外壁を取り払うのは妥当な処置だと言えます。
※ 5月13日の参議院予算委員会:藤井参議院議員と海江田経産大臣の質疑応答内容
藤井参議院議員は、「4号機は知らぬ間に損傷がひどく、爆発火災を繰り返す。・・・16日は海側の壁がほとんどなくなり・・・・18日にはほとんど屋根がなくなり・・・」(趣旨)と質問。応答した海江田経産大臣は「4号機で爆発が最初に起きたとき燃料プールがかなりいたんだのではないかと思っていたが、無人飛行機や無人ヘリを飛ばしたら、プールに水があり、水が比較的きれいだったし、かなり燃料棒の上まで水があり、水の線量も高くなかった。ほんとうに包み隠さずのお話ですが、理由がわからないのです。ただ一つ考えられるのは、建屋の上の方にはプロパンガスとかディーゼル油が若干貯蔵されており、黒い煙が上がりましたので、それら油類が燃えたのではないかと推測されている」と説明。
[15日時点燃料プールの状態]
「4号機プールの水温は3月14日の時点で83℃に上昇しており、燃料が溶融し始めていた可能性があった」というご指摘ですが、大気圧で沸騰が始まる100℃になっても、燃料棒のジルコニウム被覆管が酸化や溶融を始めることはありません。ジルコニウム被覆管は、800℃を超えたあたりで酸化が始まり、大量の水素を発生させながら温度を上昇させていきます。
ですから、「4号機建屋内に水素が充満している可能性もあり、爆破によって引火して水素爆発を起こし、プールが破壊される恐れはなかった」と言えます。
ジルコニウム被覆管の酸化が始まっていれば、1号機のメルダウンでわかるように、4号機使用済み燃料プール内の燃料棒がメルトダウンに至るまで数時間しかありません。ほとんどの水素はこの時間帯に発生します。
ジルコニウム被覆管が酸化しなくとも、放射線の影響でも水が分解され水素が発生しますが、狭い空間に滞留しない限り爆発につながることはない量(濃度)です。
放射線分解が爆発につながる程の水素を発生させるのなら、使用済み燃料プールを建屋内に設置すること自体が“無謀”ということになります。
続いて14.に書かれた内容に回答します。
【引用】
「国民に何も知らせないままに4号機プールを爆破するということは、非常にリスクの高い決断です。
当然、失敗の可能性もあるのです。
爆破によってプールが破壊されてしまえば最悪の事態に陥ります。
急性放射線障害によって、数えきれない死者が出るのです。
「なぜ、国民に何も伝えずに爆破したのか?」
「爆破するにしても、リスクを公表して、適切な処置を講じた上で爆破すべきだった」
という強烈な非難にさらされるでしょう。
政治生命が終わる程度では収まらず、重罪で逮捕される可能性が高いのです。
まさに一巻の終わり、空き管の終わりです。
管直人はもちろんのこと、今の日本にそんな度胸のある政治家が存在していると、あっしらさんは思っているということですね?
私には到底そうは思えません。
しかし4号機の爆発に関して、政府も東電も何か重大なことを隠しているようには思います。」
【回答】
03rK5F33UQさんが言われていることは至極まっとうな話で、私も政府はそうあるべきだと思っています。
そして、今の時点でもいいから、4号機の原子炉建屋があのような姿になった経緯をきちんと説明すべきだと思っています。
しかし、日本政府は、SPEEDIデータの秘匿、メルトダウンの隠蔽、被曝や汚染食材に対する「直ちに健康への被害はない」コメントなどでわかるように、放射能被曝を連想させるような情報はできるだけ国民に知らせないというスタンスで臨んでいます。
原発自体もそうですが、原発事故に係わる情報は、リスク要素や不安要素が高ければ高いほど秘匿するというのが、日本政府の一貫した態度です。
ほとぼりが冷めたあとで、実は○○があったと小出しで説明するのが政府の常套手段です。それさえ、公表される範囲は限定的です。
4号機燃料プールで進行している危機の内容を説明し、その打開策として爆破が必要と語ることは、「何かができるわけではない一般国民に対し、ただいたずらに不安を煽るだけになる。それと同時に、原発に対する危険視や不信を増幅させ、反原発意識を高めてしまう。だったら、火災など別の説明でごまかすことにして、秘密裏に爆破したほうがスムーズにことは運ぶ」と考えるのが官僚機構や政治家の通弊だと思っています。
1号機・3号機の水素爆発で怯えと不安が募っている状況のなかで意図的な爆破をするのですから、“東日本へたすれば日本全域が放射能で汚染され尽くしてしまう事態をなんとしても回避するため”というとんでもなく恐ろしい内容を説明しなければ納得は得られないでしょう。
原発は停電しただけで日本を壊滅させかねないという事実を政府が語れば、反原発気運は一気に高まるはずです。
「今の日本にそんな度胸のある政治家が存在していると、あっしらさんは思っているということですね?」と問いには、原発事故に起因して“東日本へたをすれば日本全域が放射能で汚染され壊滅的状況になってしまう事態をなんとしても回避するため爆破に踏み切る”という説明ができる政治家を見つけるほうが難しいと思っていると答えさせていただきます。
「政治生命が終わる程度では収まらず、重罪で逮捕される可能性が高い」というご指摘ですが、福島第1原発でとんでもない放射能噴出事故を起こしても、現時点で誰も逮捕されていないのですから、爆破の失敗であらぬ事故を引き起こしたとしても、政治生命が終わることはあっても逮捕されることはないと予測します。
プールの仕切り壁を壊し外壁に開口部をつくるための爆破は、致命的な失敗で終わる確率はとても低いと思っていますが、仮に致命的な失敗に至っても、火災説や自然爆破説で押し通す可能性が高いのではないでしょうか。
二進も三進もいかなくなれば、なぜ爆破しなければならなかったのか少しずつ説明するかもしれませんね。
■ 09. taked4700さんのコメント
【引用】
「1.なぜ菅首相が東電へ行く必要があったか。
2.それを東電の全員撤退要請に絡んだものとする必要性があったか。」
【回答】
「菅首相が東電へ行く必要」は、二つほど考えられます。
一つは、爆破作業の準備も整いこれから爆破を実行する段階になったので、電話ではなく東電幹部に面と向かって説明し、軍事部門による爆破作業ができるだけ人目に触れないよう作業者を退避させてもらうためです。
もう一つは、福島第1原発事故で最大の危機をしのげるかどうかの瀬戸際作戦の敢行ですから、福島第1原発と映像を含む通信リンケージが充実している東電本店でことの顛末を見届けたかったからというものです。
東電が総員退去を申し出たからそれを阻止するという公表された目的でも、ことさら東電本店に出向く必要はなく、社長や会長を呼びつけるなり、電話でどやしつけるなどすれば済む話です。
「東電の全員撤退要請に絡んだものとする必要性」は、格別なものがあるとは思っていません。
福島第1の現場から作業者を一時的に退避させる目的から思いついた話で、言葉では具体的に説明したくない事故の深刻さを国民に喚起する効果や、菅前首相の毅然とした指導力を見せつける狙いもあったのだろうと推測しています。
■ 10. 恵也さんのコメント
【引用】
「あの時期は原発は全電源喪失してるので、計測器もほとんど表示されず4号機の
燃料プール温度さえ信頼性はゼロだろう。
温度が83度なんて、誰が真っ暗な中で電源もなしにどうやって測ったのか不明。
温度計でも持ってプールに突っ込んだのかな。
爆発する前に、内部に入れたものかな??? 」
【回答】
全電源喪失に陥った福島第1原発が何より必要としたのはプラントのモニタリングです。
それゆえ、限られた数の非常用バッテリーは何はさておき計測監視装置につながれました。3月11日夜までには、中央制御室の計測機器類に非常用バッテリーがつながっています。
むろん、水位計のように、それ自体が機能不全に陥っているものもあり、通常のような監視ができるわけではありません。
それなりにモニタリングができる状況であったのに、政府・東電は、都合が悪いデータを隠蔽する言い訳に使えることもあってなのか、計測機器がいつの時点でどの程度回復したかという説明をほとんど行っていません。
「4号機の燃料プール温度さえ信頼性はゼロだろう」とか「温度が83度なんて、誰が真っ暗な中で電源もなしにどうやって測ったのか不明」という表現には驚かされます。
4号機の燃料プールフロアには、爆発後の3月15日や16日の時点でも、“火災”が鎮火したかどうか確認するために人が立ち入っています。(どういう活動だったのかは別として、米軍により“消火活動”も行われています)
仮に、4号機燃料プールの温度計測が自動でできないとしても、ヘッドランプや携帯照明を装備し、念のため防護服を着た人が、長い紐にくくりつけた温度計をもって入り、燃料プールに浸ければ水温を計ることができます。
【引用】
「むしろ注水は、運転中の1,2,3号機に必要なのであって休止中の4号機は
死角になっていてほとんど注意しなかったでしょう。 」
【回答】
東電もだと思っていますが、日本政府や米国当局者は、小賢しく悪辣ではあっても、それほど愚かではありません。
NHKの原発事故関連の番組が4号機で“火災”が起きる15日まで使用済み核燃料プールの存在をひた隠しにしていたこと(図解でも燃料プールはネグられていた)で逆によくわかるように、むき出しで遮蔽性が乏しい状態で保管されている使用済み核燃料の存在が、福島第1原発事故で当初から最大の“危機管理”テーマだったのです。
地震発生時まで発電に使われていた核燃料は、メルトスルーで破れてしまいましたが、ともかく臨界から脱し原子炉や格納容器という遮蔽性のある構造物のなかに収まっています。
放射性物質の外部への拡散という観点で言えば、遮蔽性がより高い原子炉内の核燃料より、建屋しか遮蔽物がない燃料プール内の核燃料のほうがずっと危険なのです。
1から3号機のメルトダウンを政府・東電が認知した時期が問題になりましたが、核燃料プールの危機を認知した時期が問題視されていないことで、恵也さんもそのような認識を持たれたのではと勝手ながら推測しています。
とりわけ、4号機の燃料プールには10万本を超える核燃料棒が保管され、崩壊熱量も大きく、そのメルトダウンをどうやって防ぐかという課題は事故後すぐさま俎上にのぼったはずです。
(共用プールにはもっと多い6375体(核燃料棒ベースで55万本ほど)が保管されている。燃料プールで2、3年保管された後に移されているので、崩壊熱はそれほど大きくないが、水が枯渇した状態が続けばメルトダウンにつながる)
なお、1,2,3号機は運転中ではなく、緊急停止で止まった状態です。
稼働中の原子炉も、スクラムがうまくいけば、継続的冷却と崩壊熱によるメルトダウンが問題になるということから、原子炉内の核燃料と燃料プール内の核燃料は同じ危機管理条件になるのです。
当時の4号機燃料プールの崩壊熱は、3号機の燃料プールの10倍レベルで、1000m3(トン)の水が数日で沸騰状態になり、10日間ほどで完全に蒸発してしまうほどの大きさでした。
3月15日に燃料プールに水が“偶然”1000トン流れ込んだとしても、追加の注水がなければ、25日にはメルトダウンが起きることになります。
【引用】
「爆発した後で何で爆発したのか、まったく意味がわからず原因を探求してそれでも
断定出来ず、使用済み核燃料の莫大な量に震え上がってた事だろう。
この時期は爆破どころか、成り行きに任せて情報収集だけだ。
たしかアメリカの第七艦隊でさえ、放射能が平常値の50倍くらいになって救出
作戦を中止して逃げ出したはず。
アメリカ軍でさえ逃げ出すような時に、爆破するようなことは無理。
殿様商売の東電に、アメリカ軍以上の組織があるはずがない。」
【回答】
4号機原子炉建屋は、15日も16日も、爆発ではなく“火災”が起きたと発表されています。
“火災”については、消火活動も行われ、火災が鎮火したかどうか東電社員が確認もしています。
ですから、15日や16日の時点で、燃料プールの水がどうなっているか確認されているのです。自衛隊のヘリコプターを飛ばして確認するまでもなく、当然のように、機器類プールから流れ込んだ水を確認しています。
「アメリカ軍でさえ逃げ出すような時」と書かれていますが、4号機原子炉建屋で起きた“火災”に対し、米軍が鎮火活動にあたっています。
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※ 読売新聞記事
米軍が福島第一原発4号機の消火活動、鎮火
東京電力は15日、火災が起きた福島第一原子力発電所の4号機の消火活動に、米軍があたっていると発表した。
火災はその後、鎮火したとみられている。
(2011年3月15日13時15分 読売新聞)
(http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866921/news/20110315-OYT1T00453.htm)
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「殿様商売の東電に、アメリカ軍以上の組織があるはずがない」というご指摘ですが、爆破を詳細に計画し実行したのは、東電ではなく、米軍と自衛隊だと今回に限らず前々から書いています。
16.でも、「実行するための組織なら軍やCIAのような組織でなければいけない。 東京電力というお殿様組織に、こんな乱暴な爆破なんて実行は出来ません。こいつらが得意とするのは政治家を動かして、自分らに都合のいい法律を作ったりマスコミ操作や検察庁操作であり、爆破なんて行動じゃない」と書かれていますが、東電が4号機建屋を爆破したと主張しているものを読んだことはありません。
米国連邦政府が4号機の燃料プールは始末に負えない(メルトダウンに至る)と判断したら、首都圏や三沢に駐留する部隊にとどまらず沖縄駐留の部隊まで、日本から総員撤退が命じられるほどの危機だったのです。
※ 07. Qu2boSy4yMさんの疑義に対する回答は、03. : UWMb43k1dwさんが紹介してくれ、新規スレッドも立っているカレイドスコープの「4号機の奇跡」に対する論評とともに行いたいと考えています。
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