04. 2012年3月17日 17:58:20
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幻死力村からまたひとり、新人がデブーしたずら。かわいがっておくれっぺw ↓ ***************************************************************************** 今こそ放射線問題を世界に向けて発信するとき (福島発!Dr.奥の「放射線問題」羅針盤【第6回】) この記事はビジネスパーソン向けの問題解決サイト「プレジデントオンライン」(http://president.jp/)からの転載です。 会津大学先端情報科学研究センター教授 奥 真也 2012年3月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp --------------------------------------------------------------------- ●危険じゃないのはわかるよ。でも… この原稿を書く直前、私は出張で米国にいました。その間、仕事仲間やタクシーの運転手など、多くの人から日本の“radiation problem”について質問を受けました。震災直後の昨年5月にフィンランドに行ったときも同じでした。また、私のほうからも、機会あるごとに放射線のこと、日本のことを聞いてみました。心から心配して声をかけてくれる人もいましたし、まったく関心がない人もいれば、日本を避けている人もいます。 30年来、家族ぐるみで親しくしている米国人の友人がいます。同じ放射線科医で年齢も近いので気が合います。彼はいわゆる日系3世。家族でハワイに移住した日本人というお母さんを持つ人です。日本が大好きで、これまでに何度も日本に来ています。ただし、メンタリティーは完全にアメリカ人。笑顔を満面に浮かべ、ユーモアを交えて丁寧に話しますが、言いたいことはしっかりと主張します。その彼が震災後こう言うのです。「日本には当分行かないから、会うならアメリカに来てね!」と。お嬢さんがいるということもあり、放射線の問題が解決しない日本には来たくないのでしょう。 もちろん、彼も放射線科医ですから、日本の状況はよくわかっています。私からも一所懸命に状況を説明しました。けれど、彼はまだ、「うーん、日本が危険じゃないのはわかるよ。でも旅行は楽しみにいくものだから、家族が少しでも不安に思うことがあったら、なかなかね……」と説得されてくれません。これからも私は「また日本においでよ!」と言い続けると思いますが、いつ彼の気持ちが変わってくれるのかはわかりません。 震災発生から間もない頃、日本在住の外国人エクゼクティブから放射線問題についての相談を何件か受けました。彼らの関心は一様に、「東京に住んでいてよいか」でした。当時はまだ事故の全容が不明だったので、私はこう答えました。「まずは少し距離を置いて、状況がわかってから判断したらよいと思います」。その後、秋以降に同じセッションを行ったときには、「東京のリスクはこの程度だから、東京に居る理由があるなら戻ってきてよいのではないか」と話しました。これを聞いて戻ってきた人もいれば、戻らない人もいます。 震災後、状況が少しずつ明らかになるにつれて程度は減ってきてはいるものの、このように日本は今も外国や外国人から不安視されているのです。 ●日本「差別」を許してはいけない 翻って国内に目を向けてみましょう。福島から遠く離れている全国の読者の皆さんは、意識のどこかで福島を特別視し、放射線の問題は自分とは関係ない地域に限られた話だと思っているかもしれません。その是非はともかく、福島県に生まれ育った子どもたちが、今後の進学や就職、そして結婚において差別を受けることがないように、我々は全力をもって当たらなければなりません。 こんなことは言うまでもないことで、差別など本来あってはいけないわけですし、差別することに正当な理由は微塵もありません。それでも、あえてここで差別という言葉に触れ、問題が起こらないことを慎重に見守っていかなければならないのだと思うのです。 日本国内で福島以外から福島を見る目と、世界から日本を見る目は、相似の関係にあります。視点を移すと、海外から日本全体が、そのような特別視をされてしまう危険性が十分にあるのです。 同様に、日本に生まれ育った子どもたちが、今後グローバルに活躍の場を広げていくなかで、進学・就職や結婚の差別を受けることがあってはなりません。「そんなこと、考えすぎじゃないの?」と読者の皆さんは笑い飛ばせるでしょうか。この意味においては、まさに日本人全員が当事者であり、誰にとっても他人ごとではありません。日本のこれからのために、皆が努力を積み重ねていかなければならないのです。 いわれのない差別が、間違っても、万が一にも起こらないためにもっとも重要なのは、「発信」です。日本がいかに安全かを感情的に謳う発信ではなく、日本が放射線の問題にいかに取り組み、これからどうするのか。そしてその結果、ロジカルにどう考えるべきなのかを機会があるごとに発信するのです。 日本が海外からどう見えているかは、今後の日本のグローバルな位置を考えるうえで大変重要です。「発信」は今こそ必要で、今が「旬」なのです。この時宜を逃してはいけません。震災後1年というのは、そういう節目であると私は思います。 ●「自分で考えた」意見を発信しよう もう少し具体的な話をしましょう。まず、誰もが放射線問題について正しい知識を持つことが重要です。放射線の物理的性質や健康への影響はもちろん、国際的なルールや日本の施策についても正確に知ってほしいと思います。この連載ではそのための情報を提供することに徹してきました。 そのうえで―これが一番大切だと思うのですが―、個人個人が自分の意見を持ってほしいと願います。自分自身で十分に考えたしっかりとした意見を持ち、外国人と接する中でその話題が出るごとに、意見を示し、議論をしてみてください。その過程で、相手の誤解や偏見を解くこともできますし、何よりも日本人が放射線問題に正面から取り組んでいることを示す価値は大きいと思います。 昔、医学部を出たばかりの研修医だった短い夏休み、湾岸戦争(1991年)勃発直前のオーストラリアの片田舎を旅行していました。パブで知り合った農夫が何気なく語り始めた湾岸戦争に対する意見に私は衝撃を受けました。深い造詣、そして、その戦争がオーストラリアの農業にどう関係すると思うか、滔々と語る彼に私は嫉妬しました。そして「で、君の意見はどうなの?」と水を向けられ、私は自分が湾岸戦争と日本の関係をとうてい述べられないことを恥じました。 それ以来少しずつではありますが、何においても自分の意見を持つことに努力をするようになりました。同じような経験をされた読者の方は多いのではないでしょうか。国際情勢や経済政策など、今までビジネスマンの皆さんが世界の仲間と雑談してきた話題と同じように、放射線問題もこれからは普通の話題の一つになっていくのだろうと思います。 オーストラリアの農夫と会話を交わした頃からおよそ四半世紀が経ったわけですが、今こそ、日本人ビジネスマンが日本の復興や放射線問題について海外に発信することの大切さを心に刻んでほしいと思います。 “The radiation problem must be long-lasting, but we have been tackling this problem. Actually, ...” 皆さんがこの問題を世界のあちこちで発信してくださることを切に願いつつ、本連載を締めくくりたいと思います。 【著者略歴】 1962年大阪府生まれ。府立北野高校、東京大学医学部医学科卒。東大病院放射線科に入局後、埼玉医大総合医療センター放射線科、東大病院22世紀医療センター准教授を経て、2009年から福島県の会津大学先端情報科学研究センター教授。医師、医学博士、放射線科専門医、経営学修士(MBA)。研究室のサイトでブログを執筆中。 http://caist.am/future/ ------------------------------------------------------------------------ ご覧になる環境により、文字化けを起こすことがあります。その際はHPより原稿をご覧いただけますのでご確認ください。 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp --------------------------------------------------------------------------- 配信・解除依頼は info@medg.jp までメールをお送りください。手続きに数日要することがありますので、ご了承ください。 今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。 MRIC by 医療ガバナンス学会 http://medg.jp ****************************************************************************
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