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経済産業省の総合資源エネルギー調査会で、各委員が今後の原発比率を提案したという記事が日経新聞に掲載されている。
現在の総合資源エネルギー調査会は、昨年秋の鉢呂前経産相辞任騒動後に委員が選定され、政府に初めて選ばれた脱原発派は22名中4〜5名とされている。
そのような構成でも、2030年における原発比率をゼロにする委員が6名(6/22)だったという。
世論動向に従えば、脱原発的思考の委員が6名しか存在しない構成そのものが歪で異様なのである。これまで意味ある“有識者”して認めなかった脱原発派から4〜5名の委員を選定することで、“中立性”のカムフラージュを施し、世論に対する気遣いを見せたに過ぎない。
それはともかく、記事で紹介されている原発推進派の論拠には驚かされた。
屁理屈を覚えたての小学生でも言わないであろうと思われるトンチンカンな理屈を持ち出している委員が三井物産会長という職責の人であることに愕然とし、そのような思考と言動をするような人物を委員に選定した枝野経産相の見識を疑う。
日経新聞の記事によると、10年度発電実績と同規模の25%を提案した槍田三井物産会長は、その論拠として、「東日本大震災でも女川原発などでは福島第1原発のような事故にはなっていない」と主張したそうだ。
女川原発が震災当日火災(事故)を起こし危機的状況に陥ったことはおくとして、とてつもない量の放射性物質をまき散らしたことで数千万人が被曝し、10万人を超える人が過酷な避難生活を強いられ、深刻な健康不安に怯えている人が百万人単位におよび、人も住めず営農もできない汚染地が広がっている現実を生み出した未曾有の過酷事故を棚上げし、過酷事故は起きなった原発施設を持ち出して“良”とする理屈は、「タメにする論」であってもレベルがあまりに酷すぎる。
未曾有の災厄を引き起こした事故を等閑視し、過酷事故が起きなかった例をこれ見よがしに強調するような“神経”がなければ大企業の経営はできないと言われればそれまでだが、腐敗臭が漂ってくる言動である。
槍田三井物産会長の論は、当否はともかく、福島第1もなんとか持ちこたえたときにのみ、「あの東日本大震災でも、女川原発、福島第1・2原発など、どこの原発も過酷事故にならなかった」から10年度の発電実績を維持すべきという論拠にかろうじてなりえるのだ。
槍田三井物産会長の論を敷衍すれば、日本中の原発がすべて瓦解(過酷事故)しないかぎり、原発維持で突き進むことになる。
原子炉の基数は54だが、原発施設は「もんじゅ」を含めると全国に18ヶ所ある。
槍田三井物産会長の論を借りると、1ヶ所を除き他のすべて17ヶ所の原発が壊滅的事故を起こしても、「ただ一つ鹿児島の川内原発は、他の17ヶ所の原発のような事故にはなっていない」から原発の発電実績を維持すべきということになる。
以前から言っているが、原発維持派は、小学生でも噴き出すような論拠や“徹底的な安全策”という精神論ではなく、「福島第1原発の事故で生じた大災厄は、今後も日本国民が甘受すべきリスクである」と正面から堂々と主張する他ないのである。
それが国民の多数派に受け容れられて初めて、再稼働の問題も現実性のあるテーマになる。
槍田三井物産会長は、総合資源エネルギー調査会の委員という任は重すぎると判断できるので、お辞めになることをお奨めする。
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総合資源エネ調、原発発電比率の意見分かれる
経済産業省は14日に総合資源エネルギー調査会を開き、各委員が2030年における電源別発電構成の組み合わせ案を示した。原子力発電の比率については委員間で0〜35%まで意見が分かれた。同委は4月中に各委員の案を類型化した電源別構成案をまとめ、政府のエネルギー・環境会議に提示する。
この日の会合では阿南久・全国消費者団体連絡会事務局長ら6人の委員が2030年時点で原子力発電の割合を0%と提示した。一方で槍田松瑩・三井物産会長は「東日本大震災でも女川原発などでは福島第1原発のような事故にはなっていない」と主張。2010年度発電実績と同規模の25%を提案した。
[日経新聞3月15日朝刊P.5]
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