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震災瓦礫についての問題
震災瓦礫についていろいろな意見がある。まずそれを整理し、何が問題かを考えてみよう。
1.震災瓦礫は復興の妨げになっている。
これについては、市街地ではないところにまとめてあるので復興とは関係ないという意見がある。多分ほとんどの被災地では復興が必要な市街地には震災瓦礫を積み上げたりはしていないはずで、復興の妨げになるような市街地に積み上げてあるのなら、少なくともどこの市町村がそうなっているという説明が必要だと思う。環境省の広域処理についてのページのたとえば気仙沼ブロックの現状写真http://kouikishori.env.go.jp/conditions/ph/lb_kesennuma01.jpgを見ても、復興の妨げになる場所とは思えない。
2.福島の瓦礫ではなく、宮城と岩手の瓦礫を全国の自治体で処理することをお願いする。
このこともあいまいだ。福島県内の瓦礫も含んで被災地以外の自治体で処理すると言う話もある。ただし、環境省の広域処理のページのQ&Aの「広域処理の対象は?」に「岩手県と宮城県の沿岸部の安全性が確認されたものに限ります」http://kouikishori.env.go.jp/faq/#anch02 とある。だから一応福島のものは含まれないのだろう。しかし、現実には福島県から県外へ運び出しがほぼ黙認状態で行われているという話がある。だから、この問題はあくまでそれぞれの瓦礫の放射能レベルをどう検証するか、という問題になるのだと思う。
3.瓦礫の放射能レベルはどう測るのか。
これがよくわからない。そもそも大量に積み上げられているからその状態で測ってもあまり意味がない。だから、被災地からトラックで積み出すときにトラックの荷台で測るという話がある。しかし、それでもかなり大雑把だし、そもそもガンマ線しか測れない。ほとんどのサーべィメーターは観測窓の近く数センチから数十センチのところから発生するガンマ線を計測するようになっているはずで、トラックの荷台全体の放射線量を測る携帯用のサーベィメーターなどはないと思う。だから、結局、安全に焼却処理できるのかという問題に行き着くのだと思う。
4.安全に焼却処理できるのか。
環境省の「災害廃棄物の広域処理」http://www.env.go.jp/jishin/attach/waste_koiki_mat20120202.pdf というパンフレットの21ページにバグフィルターというものでの処理することが述べられている。つまり、高温で焼却するとセシウムなどが気化してガス状になる。それがバグフィルターのところにくるまでに200度程度まで冷やされるのでガスから液体状態になったりして他の粉塵に吸着し、それがバグフィルターで集塵されるというのだ。確かに、水を沸騰させてもそれが冷えれば水滴となって壁などに付く。でもだからと言って空中に水分がなくなるわけではない。沸点100度の水でも気温が10度の空中には水分子がかなりの数存在しえる。いわゆる湿度というもので湿度100%とか言うのはかなり水分子が飽和濃度でその空間に存在することを示しているわけだ。これと同じで、200度程度に冷やされてもその温度での飽和濃度でセシウムなどの分子が気体中にはあることになる。多分気体状のセシウム化合物を吸着する粉塵もあるのだろうが、それがどの程度なのかはわからない。同じ資料の22ページにはセシウムについて99.92%から99.99%まで除去できるとある。除去できなかった0.08%から0.01%が飽和濃度のセシウムのことなのかどうかよくわからない。
5.結局何が問題なのか。(その1)
バグフィルターでかなりの程度吸着できるのは確かなことだろう。でもそれがどの程度なのかはよくわからない。そもそも、除去率99.99%という数値がどういう計算なのかも示されていないからだ。セシウムの量をどう測るのかという問題だ。仮に化学的に対象物を液体にしてそれからセシウムだけを何らかの形で不溶物にし、ろ紙などで漉しとって重量を測るというのならそれなりに正確な値が出る。でも多分そうはやっていないだろう。多分、ガンマ線を測ってそのベクレル量を比較しているはずだ。そして、ここが問題だと思う。つまり、焼却処分施設のような大規模な施設でかなりの量の瓦礫を焼くときもともとのベクレル量などちゃんと測れるはずがないからだ。1リットルずつ小分けしていちいちサーベイメーターでベクレル量を測るなどするはずがない。更に実際の処理場では瓦礫の状態がいろいろ変化する。つまり、粉塵の状態から焼却温度までいろいろな条件になりえるわけで、バグフィルターでの除去率自体もいろいろ変化するはずだ。ただ、だからと言ってかなりの量が焼却処理施設から出てしまうということでもないのだろう。
6.結局何が問題なのか。(その2)
セシウムはガンマ線を出すので一定程度以上の汚染があれば一般市民でもサーベィメーターを使って検出が出来る。でもアルファ線を出す核種はほぼ検出できない。ベータ線核種もなかなか出来ないはずだ。そもそもアルファ線を検出するサーベィメーターはほとんどない。更に、そういったものがあってもきちんと測るのはかなり大変だ。アルファ線は紙一枚で遮蔽できると言われるが、一度生体内部へ入ってしまうと外部からは検出できないからだ。つまり、植物がたとえばプルトニウムを取り込んでしまえば、そのアルファ線は0.1ミリも進まないでその植物体の内部で吸収されてしまい、外部へ出てこない。空気中でさえ10センチも進まないはずだ。更にサーベィメーターなどの検出窓がガラスであったりプラスチックだとその窓の材質自体がアルファ線を吸収してしまう。南相馬市で見つかっている黒い粉についても藻類がたとえばプルトニウムを取り込んだら、仮にそれが細胞内でなくても粉状のままなら検出はかなり難しいはずだ。プルトニウムの細かい粒子を藻類が包みこんでしまえばアルファ線は外部に出てこない。だから、普通、一般市民はなかなか検証できず、政府・行政の力に頼るしかない。つまり、セシウムだけを測ってそれが出ていないから安全だというのは少なくともかなり虚偽がある可能性があるのだ。もし、アルファ線核種がある程度の量まとまって焼却処分されたらそれは大気中に拡散し、付近の住民の肺へ取り込まれてしまう。確実に肺がんに至るはずだ。
7.結局何が問題なのか。(その3)
結局、政府の信頼性の問題に行き着いてしまう。そして、ここがやはり大問題だ。1号炉と3号炉の爆発では違いがありすぎる。3号炉の核燃料プールの状態は多分写真撮影が出来ているはずだ。どの程度燃料集合体が破壊されたのか、または、破壊されないでいるのか、写真で示すことが出来るはずだが多分公開はされていない。4号炉の火災映像も公開されていないし、燃料プールの全体の映像も出てきていない。出てきているのは燃料プールの本の一部の映像だ。あの程度なら他の原発の燃料プールの映像でも偽装が出来てしまう。1号炉のみメルトスルーが起きているとされるが、原子炉の基礎の下へ立抗を掘ってその状態を確認することもされていない。どれもこれもかなり簡単にできることだ。更に、原発事故対応の会議録さえないというのだから、政府を信用せよというほうが無理だ。
8.結論
やはり危ないものは拡散しないという原則が正しいのではないだろうか。もし危なくないというのなら国会議事堂の前とか首相官邸の前の広場に焼却施設を作るか、または与党国会議員はみんな福島の原発30キロ圏内に家族で住むべきだと思う。それほど信頼性はない。更に、瓦礫処理の単価が高い。政治家や役人が利権に引きずられてしまう可能性がある。これも問題だ。どうしても広域処理をするなら、まず、いろいろな疑問をちゃんと解決してからにするべきだと思う。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から連番号を付しています。<<1030>>
TC:37471, BC:150771, PC:?, Mc:?
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