放射能についての基本的な事実 原子力の破れた夢
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/750.html
投稿者 MR 日時 2012 年 3 月 11 日 23:01:46: cT5Wxjlo3Xe3.
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51777920.htmlきのうから江川紹子氏が「福島の女性は子供を産めない」と思い込む放射脳にからまれているようだ。彼女は私のようにブロックしないで丁寧につきあっているので、TLを見ていると、震災から1年たっても初歩的な科学的事実が理解されていないことがわかる。そこで拙著でも書いたことだが、基本的な事実を簡単に復習しておこう。
- 子供に放射線障害が遺伝することはありえない:放射線によって母親のDNAが損傷したとしても、それは個体変異なので子供には遺伝しない。妊婦が被曝した場合のリスクも、統計的には通常と同じだ。広島・長崎の被曝二世にも、遺伝的な障害の増加はみられない。
- 被曝リスクはわかっている:「低線量被曝のリスクはわからないから1mSvでも危ない」というのは間違いである。癌死亡率は100mSv以上ではほぼ線形に増加するが、それ以下では統計的に検出できないほど小さいだけで、上限値は0.5%である。これは受動喫煙と同じぐらいで、放射線のリスクは喫煙よりはるかに小さい。
- 福島の被曝リスクは無視できる:原爆によって瞬間的に100mSvの放射線を浴びたときの発癌リスクは0.5%だが、同じ線量を1年間にわたって浴びることによる健康被害は世界中に一例もない。食塩を365g一挙に飲むと死ぬが、毎日1g摂取しても何も起こらないのと同じだ。福島の線量は最大でも毎時数十μSvなので、健康被害は考えられない。
- 内部被曝のリスクも問題にならない:河野太郎氏も指摘するように、内部被曝の預託線量は体内に残留する期間の累積値なので外部被曝と同じであり、「内部被曝は外部被曝より恐い」というのは迷信である。福島県の内部被曝データ
でも99.8%以上は生涯の預託線量が1mSv未満で、問題にならない。
- 過剰な避難は被害を拡大する:チェルノブイリ事故についてのロシア政府の報告書によれば、直接の死者は消防作業員など数十人だったが、35万人を強制移住させたために数千人の精神疾患や自殺者が出た。福島でも、原発事故で避難した高齢者が100人以上死亡したと伝えられ、過剰防護による二次被害のほうがはるかに深刻だ。
- 最悪のエネルギーは石炭火力である:WSJも指摘するように、アメリカは原発の新規建設をやめて石炭火力を増やし、大気汚染が悪化した。アメリカでは大気汚染で毎年2万人以上が死んでいるともいわれ、炭鉱事故でも世界で毎年1万人以上死んでいる。石炭火力から出る放射性廃棄物の量は、同じ出力の原発よりはるかに多い。
以上のような事実は専門家の常識であり、政治家も官僚も知っているが、「世論」の攻撃を恐れて瓦礫の受け入れさえできない。被害を拡大している加害者は、放射能の恐怖をあおっているメディアと、国民を論理的に説得できない政治家である。今こそ民主党政権のリーダーシップが問われている。
原子力の破れた夢
今週のEconomist誌の特集は原子力で、結論は「軽水炉に未来はない」。これはおおむね業界のコンセンサスだと思うが、理由が違う。
原子力は戦争の産物であり、最初から国家の関与なしには存在しないエネルギーだった。その研究開発費の大部分は軍事費として支出されたため、原子力は見かけ上は安く見えるが、民間のビジネスとして自立しようとすると軍事的な側面が負担になる。原子炉は原爆の材料を作り出すため、その管理には厳格な管理が必要であり、大型の軽水炉には炉心溶融という致命的な弱点があるため、安全対策のコストが莫大になる。
ただ安全性そのものは、それほど本質的な問題ではない。工学的には、AP1000などの「第3世代」原子炉の安全性は高い。むしろ福島第一原発事故で露呈したのは、原子力産業が国家と密着しているがゆえに発生した安全管理体制の欠陥だった。中国などの新興国では原子力は有力な選択肢だが、安全管理体制には疑問が残る。特に核拡散を防止するのは困難で、ビジネス的には無意味な多額のコストがかかる。
放射性廃棄物も、決定的な弱点とはいえない。核燃料サイクルは、技術的には可能だとしても経済的に見合わないおそれが強いので、単純に廃棄したほうが効率的だ。捨てる場所は世界中にいくらでもあり、合意さえできれば技術的には何の問題もない。アメリカがユッカ・マウンテンで失敗したのは、政治的に利用されたためだ。
最大の難点は資本コストである。先進国では安全基準がきびしくなって審査に10年近くかかり、さらに事故の際の損害賠償が巨額になるため、図のようにkWあたりの建設費が2000ドルから1万ドルへと上昇している。これは100万kWの原発をつくるのに100億ドルかかるということで、燃料費が安くても火力発電所とはとても競争できない。特にシェールガスの価格が下がり、その埋蔵量も数百年あることを考えると、少なくとも軽水炉の新設は、ビジネスとしては成り立たない。
しかし原子力が無意味になったかというと、そうともいえない。原子力は大気汚染や地球温暖化の少ない
クリーン・エネルギーとしては有力な選択肢になりうる。この場合のライバルは、再生可能エネルギーである。これは補助金に頼っている限りだめだが、技術進歩によって化石燃料と競争できるようになれば、原子力といい勝負になるかも知れない。
第4世代の原子炉も技術的には可能だが、実用化は20年ぐらい先になるだろう。今は化石燃料(特に天然ガス)の経済性が圧倒的で、すぐに実用化する必要がないからだ。
SMRのような小型原子炉はもう少し早く実用化するかも知れないが、これも化石燃料と競争できるかどうかが問題だ。ただ長期的には化石燃料が逼迫して価格が上がり、地球温暖化が深刻な問題になれば、こうした技術にも出番があるかも知れない。
さすがにEconomistらしいビジネスライクな評価だが、疑問もある。建設費が5倍以上にもなったのは技術的な問題というよりも(特にチェルノブイリ以後)規制が強化されたためだ。原発の建設費の半分以上は(地元対策を含む)安全対策費だといわれるので、
ビル・ゲイツもいうように規制を合理化すれば、新しい企業が参入してイノベーションが起こるかも知れない。原子力の未来を決めるのは、技術ではなく政治である。
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