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田中宇氏が言及しなかったとろこで〔日本の裏切りを許さない〕の部分は今後良く見極めていくべき指摘と思う(5年前の見解ではあるが)/仁王像
『隠して核武装する日本』槌田敦・他/影書房‘07年から一部抜粋
T 核武装を準備する日本〜このままでは不幸な未来が予想される/槌田敦
アメリカは…日本の核武装を許さなかった。…アメリカに何度も妨害されて、日本は外国の原子炉を買って軍用プルトニュームを作ることをあきらめ、日本の技術で自前の軍用原子炉を作ることにした。そして設計したのが茨城県大洗にある高速炉常陽である。高速炉とは軍用のプルトニュームの洗浄または濃縮装置なのである。アメリカは(結局)日本独自の原子力研究自体は認める外なく、…1978年に常陽の試運転は開始された。
このように日本は自前の軍用プルトニュームを生産したのであるが、これを再処理工場で抽出することは許されず、どこかの倉庫に保管されている。
〔高速炉もんじゅの建設とアメリカの政策変更〕
アメリカは日本の核開発を1970年代までは一貫して妨害してきた。しかし1980年代のレーガン政権以降方針を変更し、高速増殖炉もんじゅの建設と、常陽ともんじゅのブランケット燃料(炉心の外側の天然ウランに高速中性子を照射して軍用プルトニュームに変換されたもの)から軍用プルトニュームを抽出する再処理工場(RETF)の建設を認めることにした。
ところが、もんじゅは1995年12月、ナトリウム漏れ事故を起こして運転中止に追い込まれ…以来、日本の軍用プルトニューム製造計画はまったく止まってしまった。
〔日本が所有する超軍用のプルトニューム〕
常陽が1977〜1983年の間に生産したプルトニュームは19.2キロ(同位体比率:99.2%)。もんじゅでは1994〜1995年までに製造したプルトニュームは約17キロ(同位体比率:99.8%)。このプルトニュームはもんじゅでは事故原子炉の中にそのまま存在する。
通常の原爆では、同位体比率(濃縮率と同じ)が94%以上の軍用プルトニュームを使用する。しかし、常陽ともんじゅの生産したプルトニュームは、濃縮率が100%に近い超軍用プルトニュームである。もんじゅが正常に運転されれば、濃縮率98%の超軍用プルトニュームを毎年62キロ生産できる(はずだった)。
〔発電用(原子炉級)プルトニュームでは原爆は作れない〕
プルトニュームには五つの同位体がある。そのうち核分裂する同位体は、奇数の質量数のプルトニューム239と241である。通常の原子炉で作ると、プルトニューム239は58%、241は11%程度の発電用プルトニュームが得られる。残りの31%はプルトニューム240などの不純物である。仮にこのプルトニュームで核兵器を作ったとしても、次の七つの欠陥(略)を持つことになる。
〔もんじゅの目的は増殖ではなく、軍用プルトニュームの製造〕
(略)
〔核兵器所有に関するアメリカの二重基準〕
アメリカは日本の核を容認する筈がない、と言い続ける人がいる。確かに昔はそうだった。しかし、最近は違う。アメリカは軍用プルトニュームを再処理するために必要な、大きさが10センチ程度の高速回転する小型抽出器を動燃に打った。この遠心抽出器を使えば臨界の心配はなく、軍用プルトニュームを連続抽出できるのだから、これは軍事技術の移転であり、核拡散である。アメリカはイランなどの対しては厳しく介入するが、日本には軍事技術を公然と売っている。ご都合主義の二重基準である。
〔アメリカのための日本の核武装〕
日本を守るためにアメリカが核を使うと、今度はアメリカが核攻撃される。
そこで、アメリカは核の傘を外し、日本に核武装させ、自衛させた方がアメリカにとって安全ということになる。
日本が核開発すれば、平和利用に限られているウランの購入ができなくなる、という人がいる。そして核拡散防止条約に違反するとも。しかし、このような条約は核兵器を所有してしまえば、アメリカが容認している以上何の制約でもない。インドも世界からウランを購入できている。
〔日本が核武装すると、アジアは〕
日本が核開発を宣言すれば、最近動きを止めてきた中国も核開発を再開することになり、韓国も核開発するであろう。インドやパキスタンを含め、全アジアの核情勢は渾沌化する。この状況は、米ソ冷戦のアジア版であって、この使えない核兵器の開発のために、日中両国は経済的に破綻することになる。
〔日本の裏切りを許さない〕
ところが、この計画には落とし穴がある。もしも、日本が中国と同盟して、アメリカと対抗することになったら、アメリカにとってとんでもないことになる。(そのため)アメリカは、ワシントン州にある第一軍団司令部を日本の首都圏の座間に移転して、統合作戦司令部とする。しかも自衛隊司令部もこの座間に呼び寄せることにした。横須賀には原子力空母を配備して、首都を威圧する。
アメリカが極東戦略を変えなどと単純に考えている日本人が多い。しかし、そのような単純なものではなくて、目的は属国日本の裏切りを監視し、これを防止するためであると私は考える。
・日本の権力構造と在日米軍/田中 宇(2012年2月22日)
http://www.asyura2.com/12/senkyo126/msg/675.html
・反核武装を論ず〜脱原発とも関連するゆえ
http://www.asyura2.com/09/dispute30/msg/509.html
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