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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20120307k0000m070094000c.html
社説:震災1年(4)原発政策転換 脱依存の道筋早く示せ
大津波に続く東京電力福島第1原発の重大事故は、「安全幻想」を根底から打ち砕いた。格納容器が爆発したらどうなるのか。深刻な放射能汚染はどこまで広がるのか。当時の切羽詰まった状況を思い起こすと、今も身のすくむ思いがする。
それから1年がたち、今恐れるのは、経済の論理が事故の恐怖を風化させてしまうことだ。あの衝撃、ふるさとを追われた人々の苦しみ、何十年にもわたる放射能との闘いを心に刻み、この先の原発政策、エネルギー政策を進めたい。
そう考えた時に心もとないのは政治のあり方だ。
◇廃棄物と真剣に取り組め
政府は原発への依存を減らす「減原発」の方針を打ち出している。それを翻したという話は聞かない。にもかかわらず、原発のリスクをどう評価し、脱依存のための政策を進めていくのか、ビジョンも手続きも、今もって見えない。
そうした中で枝野幸男経済産業相は再稼働の必要性に言及した。電力需給状況や安全確認、地元了解を前提としているが、納得がいかない。
再稼働の必要性を言うのであれば、その前に中長期的に脱原発依存をどう進めていくのか、政府が道筋を示すべきではないか。その上で、地震国で原発を動かすリスクと、動かさないことによるリスクを分析し、短期的に何基の再稼働が必要かを示すのが筋だ。
減原発を進める以上、リスクの順位付けも必要だ。福島第1と同型の炉や老朽原発の廃炉は当然としても、それ以外のリスクをどう見積もるか。問題は判断基準自体が迷走していることだ。
政府は欧州をまねたストレステスト(安全評価)を2段階で行い、1次評価で再稼働を判断しようとしている。すでに関西電力大飯原発3、4号機の1次評価について経産省の原子力安全・保安院が妥当との判断を示した。今後、地元の了解を得つつ再稼働を政治判断するというが、無理がある。
まず福島の事故の原因が解明されていない。安全を担保する指針類の見直しも途上だ。評価主体である電力会社や保安院への不信もある。そもそも欧州のテストは個々の原発の弱点を明らかにするためのものだ。
政府が再稼働を求めるのであれば合否判定のための暫定基準がいる。ストレステストは、評価結果を比較し相対的にリスクの高い原発を廃炉につなげるのに利用してはどうか。
今回の事故ではプール貯蔵されている使用済み核燃料の危険性も白日のもとにさらされた。原子炉内と違って裸同然の状態にあるだけに、ひとたび水がなくなれば大量の放射性物質の拡散につながる。福島第1の4号機でプールの空だきが回避されたのは「幸運」に過ぎない。
日本全国の原発のプールにはウラン換算で1万数千トンの使用済み核燃料が保管されている。国際的にみると保管方法の主流はプール水による湿式貯蔵から乾式貯蔵に移行している。自然空冷で除熱する仕組みで冷却水喪失事故は起きない。日本でも福島第1と日本原子力発電の東海第2原発に乾式貯蔵施設がある。今回の地震と津波の影響も分析し、乾式貯蔵の検討を急いだ方がいい。
◇廃炉ビジネスも視野に
私たちは使用済み核燃料の再処理をやめ、日本の核燃料サイクル政策の幕引きを考えるべきだと主張してきた。再処理にせよ高速増殖炉にせよ、技術、安全性、コストのいずれも見合わないと考えるからだ。
原子力委員会の小委員会のまとめでも今後20〜30年を考える限り経済性も核不拡散上も直接処分が有利だ。青森県六ケ所村の再処理工場をこのまま動かす合理性はない。そもそも現時点で燃やせるあてのないプルトニウムを増やすことには核不拡散の観点からも大きな問題がある。
再処理は使用済み核燃料を原発から運び出す理由付けとしても機能してきた。今後はそうした位置付けも白紙に戻し、原発政策全体を一から考え直すことが重要だ。
その際には、原発による受益者が使用済み核燃料の問題についても責任を持つという考え方が必要だ。リスクを自分の問題として考えることが脱原発依存を進めるひとつの手掛かりとなる。
福島第1原発では今後、何十年にもわたって廃炉に向けた困難な作業が続く。原発の新増設は事実上不可能であり、すべきでもない。そうした流れの中で人材の流出を懸念する声がある。
しかし、ここは視点を大きく変えてみるべきではないだろうか。世界に430基以上ある原発が今後、次々と廃炉の時期を迎える。世界の原発政策がどうなろうとも廃炉の需要は大きい。
福島と通常の廃炉は異なるが、福島の経験を生かすことはできる。ロボットや遠隔操作技術を廃炉ビジネスの切り札にすることを考えてはどうか。福島を原子力安全や放射線管理、除染などの拠点とし世界から人材を呼び込む戦略も立てたい。
原発を40年以上稼働させながら先送りしてきた廃棄物の最終処分場問題も残されている。これを一歩進めるのも政治の責任である。
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