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村ごと集団移住して、百年後に戻れるなら戻った方が良いと思いますけど。
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Dr.中川のがんの時代を暮らす:/29 飯舘村の再生へ
毎日新聞 東京朝刊
http://mainichi.jp/life/health/nakagawa/archive/news/2012/20120304ddm013070052000c.html
東京電力福島第1原発の事故以来、福島県飯舘村の支援、中でも「リスクコミュニケーション」に関わっています。飯舘村は、阿武隈高原の豊かな自然に恵まれた美しい村で、「日本のスイス」ともいわれます。年間の平均気温は約10度で、冷涼な気候を利用した、高原野菜やトルコギキョウをはじめとする花卉(かき)の生産や、黒毛和牛の「飯舘牛」が有名です。
飯舘村は、原発から40キロも離れており、事故前は原発関連の国からの交付金などの恩恵をほとんど受けていませんでした。しかし、事故直後の風向きの影響で、原発から大気中に放出された放射性物質が大量に飛来し、福島県内でも外部被ばく量が高い地域の一つとなってしまいました。事故から1年近い現在も、村の住宅地の一部では、空間線量が1時間あたり6マイクロシーベルトを超えています。
今後、放射性セシウムを取り除く除染作業に数千億円単位の多額の予算が投じられる予定ですが、村面積の75%を森林が占め、冬場は雪深い飯舘村での作業は容易ではありません。
今、村民の多くは福島市内に「集団移転」しています。住民の中には、「除染が進まないのではないか」「結局、村に帰れないのではないか」という心配があるようです。特に、小さな子どもを持つ世代からは、「除染が進んでも戻りたくない」といった声も聞こえます。今のままでは、除染に巨額を投じても、せいぜい「環境保全」にしかならず、村の再生にはつながらないのではないかと危惧しています。
もちろん、不安を抱えたまま、すべての村民が元の村に帰るべきだとは考えていません。しかし、長い避難生活で、うつ病やアルコール依存症が増えている現状を見ると、「コミュニティーの再生」を考える住民と行政、専門家の対話が必要だと思います。
さて、第25回でお知らせした拙著「放射線医が語る 被ばくと発がんの真実」の読者プレゼントには、予想をはるかに超える860人もの応募をいただきました。その中から20人の皆さんに発送させていただきました。応募には僕あてのメッセージも多く書かれており、本当に励まされました。読者の皆さんから、逆に勇気を「プレゼント」された思いです。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
毎日新聞 2012年3月4日 東京朝刊
ドクター中川の“がんを知る”
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