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投稿者msehi関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/
すなわち今回の福島原発事故では、お上の掟には想定外という決定的なことは何も起こっていないし、これからも起こらないし、起こってはならないからだ。
それは明治の足尾銅山の公害から、戦後のハンセン病隔離政策の継続(注1)、サリドマイド薬害犯罪(注2)、B型肝炎犯罪(注3)、エイズ犯罪(注4)、そして現在も終わりのない水俣病犯罪(注5)など無数の事例を検証すれば明白である。
それ故に私たちは自らの命を守るために、そして病めるお上をドイツのように国民に奉仕するものに変えていくためにも、未来への希望である脱原発を実現していかなくてはならない。
(注3)B型肝炎犯罪は、1953年に世界保健機関(WHO)が注射器使い回しによるB型肝炎ウイルス感染の危険性を警告を出していたにもかかわらず、当時の厚生省1958年に予防接種法実施規則を改正しただけで、自治体への指導を徹底せず、その後も注射器の使い回しがなされ数十万人ものB型肝炎患者を生み出し、1988年ようやく厚生省通達で禁止された。
(注4)エイズ犯罪では、83年3月にアメリカ防疫センターCDCが「血友病患者のエイズの原因は、血液製剤とみられる」と厚生省に指摘警告したにもかかわらず無視し続け、ようやく85年8月に加熱処理血液製剤の製造を承認した。
(注5)水俣病訴訟は、有機水銀の工場廃水による因果関係を認めない国とチッソへの戦いの歴史であり、現在国は今年の7月末で未認定患者の救済制度申請を終了させ、以後切り捨てによって終了させようとしている。
水俣病犯罪の推薦動画
(注6)ブログ36「ドイツから学ぶ官僚支配政府の克服(責任ある決裁権と政治任用制度!)」参照
電力会社が大津波を想定外にした理由は、明らかにお金の問題である。
しかしお上に想定外などないのは、別の理由からだ。
無意味な除洗を強行し、放射能に汚染した瓦礫を全国にばら撒くのは、日本という日の昇る国にチェルノブイリはあってはならないからだ。
チェルノブイリ事故後のベラルーシやウクライナでは、80万人ものナイーブでイノセントな兵士が強制動員で徹底除洗したにも関わらず、25年を経た現在からその効果を見れば、ほとんど成果が見られていない。
そのような事実にも関わらず、最大80兆円とも言われている除洗を強行するのは、何が何でも日本に見かけ上チェルノブイリをつくりたくないからに他ならない。
確かに徹底した除洗をすれば、一時的に放射線濃度は下がり、殆どの地区でお上の定める年間20ミリシーベルト以下にすることができ、住民の帰還は可能だからだ。
たとえその後にチェルノブイリのような悲劇が繰り返されても、現在の低線量被ばくの世界基準からは因果関係を立証することは困難であり、文明発達の化学汚染の性にして、何も起きていないと無視できるからだ。
また瓦礫を全国にばら撒く理由は、住民の帰還を強行するためでもあり、さらに踏み絵のように実施することで、翼賛的な絆をつくることに貢献するからである。
すなわち現在のお上は、明治の初めに富国強兵、殖産興業を目的としてドイツの官僚制度を手本として作られたものであり、専制的に国益を最優先すること以外は想定されていない。
ドイツにおいては戦前の1兆倍を超えるハイパーインフレ、そしてナチズムの反省から、官僚制度は戦後民主的に刷新され、70年初めまでには連邦及び州においても担当官僚に決裁権が与えられ、過失の際は厳しく問われることで国民への奉仕が最優先されるようになった(6)。
日本の場合は相も変わらず専制的なお上が、組織全体の承認を必要とする稟議制で、責任が問われることのない大本営によって国益が追求されている。
そこでは今回の福島原発事故で明白になったように、事故後のお上の報道がすべて大本営発であるばかりか、スピーディーに見られるように国民の命が、日本にチェルノブイリはあってはならないというお上の絶対的な想定の下に無視されている。
しかも現在においても、様々な審議会や第三者委員会もお上の想定する筋書きで作られ、全体が“やらせ”となるほど時代錯誤的であり、最早国益というよりお上の自己保身が最優先されるほど病んでいる。
それは、国失、国滅を求めていると言っても過言ではない。
(注1)厚生省は戦前内務省として政治の中枢を支配し、ハンセン病では感染力が非常に弱いにもかかわらず、強制収容による隔離絶滅政策を指揮してきた。
(参照資料http://www.hansenkokubai.gr.jp/history/index.html)
そのため戦後、劇的な治療効果のある特効薬のプロミンが登場していたにもかかわらず(当時の厚生省医務局長で、その後の都知事東龍太郎は48年の国会で隔離政策の転換を強く求めたが)、逆に隔離政策は逃亡が許されないように強化された。
それは戦前の人間性を無視した絶滅政策の犯罪性が、明らかにされることを恐れたからだと言われている。
このような経過でさらに半世紀も放置され、2001年に国際世論の高まりもあり、2001年にようやく違憲違法判決が下されたのであった。
まさに無謬神話に基づき、一旦着手された政策に想定外をあくまで認めないお上のやり方は犯罪以外のなにものでもない。
(注2)睡眠薬サリドマイドは、61年にドイツのレンツ博士によって胎児奇形の原因であることが宣言され、世界のほとんどの国で即時発売停止措置が採られたにもかかわらず、日本では「因果関係が証明されたわけではない」としてその後一年間も使用を続け、数百人の奇形児が出産された。
(参照http://www.socius.jp/lec/23.html)
当時の注射器の使い回しは致し方ないと、御用学者などを交えて証言しているが、1958年の改正時に禁止することはできた筈であり、その後の数十万人という被害者は防ぐことはできたことから、恐ろしい犯罪と言っても過言ではない。
復興増税には当面のB型肝炎賠償費の7000億円が含まれており、今後30年で3兆2000億円と言われている。
しかしその後もエイズ汚染された非加熱の血液製剤は、2年4ヶ月以上にも渡って回収されることなく使用され続け、85年以降2000人にも上る人がエイズ感染させられた。
このような原因は、サリドマイドでは販売製薬の大日本製薬(当時)、エイズではミドリ十字(当時)の役員らが厚生省の天下りで企業利益を最優先させたことと、本質的には渦中において回収や禁止措置を採れば責任が問われることから、慣習に従って想定外を無視続けた犯罪と言えよう。
この救済制度は患者として認定されても、支払われる生涯一回だけの一時金は僅か210万円であり、生活保護者は一時金が収入と見なされ、生活保護が打ち切られ、現在裁判中である。
現在のお上のままでは、これから予想される長い長い福島原発事故被害者訴訟の戦いが、現在から25年後に同じように打ち切られることは必至である。
「わが会社に非あり〜水俣病と向き合った医師の葛藤〜」
http://www.youtube.com/watch?v=R2fu9xNWJ3g
「水俣と向きあう〜記録映画作家 土本典昭の43年〜」
http://www.youtube.com/watch?v=_TWCk-4WZ4I
http://d.hatena.ne.jp/msehi/20110922/1316693265
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