110. 2012年3月07日 23:30:11
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待ちに待ってた(笑)被曝しただろう症例の血液検査の症例発表なんだが、----------------------------------------------------------------- 放射能健康相談.com 診察室より No.1 http://www.houshanousoudan.com/extra/no1 2012年3月4日 発行 首都圏で放射能の被曝を心配され、来院した60名以上を診断しました。そして血液検査の結果が出ました。 (中略) やはり気になるのは,異型リンパ球です。 柏4歳 柏2歳 三郷2歳 柏2歳 草加4歳(骨髄球も+) 江戸川1歳 台東7歳 野田2歳(異型リンパは無いがリンパ球数10000以上) -------------------------------------------------------- ↑の乳幼児たちは「異型リンパ球」が出現している、子供たちだという。 「異型リンパ球」というのは、 血液標本を見慣れた者が、顕微鏡で見てみなければ、 機械のイメージによる分類だけでは、他の白血球と認識ミスをすることが多いものなのだ。 だから、「異型リンパ球が出現」していることに対しては、コメントしない。 ぜひ、「異型リンパ球」の400倍画像をupしていただき、 「何か」を、自分で判断したいものだ。 で、一番問題なのは、野田の2歳の幼児なんだが、 異型リンパは無いがリンパ球数10000以上 !? ちょっと待て! 普通、13歳以上なら 白血球総数が6,000で、 うちリンパ球は約30%、つまり1,800個が正常だぞ !? 乳児でも 小児基準範囲http://www.hosp.u-ryukyu.ac.jp/labo/method/infant/ketueki.htmlより ---------------------------------------------- 年 齢 (白血球総数) 基準値 (単位×1000/μl) 1ヶ月未満 7.0〜25.0 1ヶ月〜1歳未満 7.0〜15.0 1歳〜5歳 7.0〜11.0 6歳〜12歳 6.0〜10.0 13歳 4.0〜8.0 14歳 4.0〜8.0 15歳 4.0〜8.0 16歳〜 4.0〜8.0 ■好中球 Neutrophil 年 齢 基準値 (単位 %) 1ヶ月未満 50〜70 1ヶ月〜1歳未満 20〜40 1歳〜5歳 30〜50 6歳〜12歳 55〜75 13歳〜 40〜71 ■リンパ球 Lymphocyte 年 齢 基準値 (単位 %) 1ヶ月未満 20〜40 1ヶ月〜1歳未満 50〜70 1歳〜5歳 30〜50 6歳〜12歳 20〜30 13歳〜 26〜46 ------------------------------------------------------ ↑が小児科における白血球の数と、その内訳のメジャーどころの好中球・リンパ球割合だ。
1歳の乳児の 白血球正常値範囲は、7.0〜11.0 → 7,000〜11,000/μl うち、リンパ球正常割合は、30〜50% リンパ球の数は、白血球個数 × リンパ球% だから 白血球が正常下限の「7,000個」で、リンパ球が正常下限の「30%」で計算すると 7,000 × 0.3 → 2,100個 白血球が正常上限の「11,000個」で、リンパ球が正常上限の「50%」で計算すると 11,000 × 0.5 → 5,500個 つまり一歳の幼児の、リンパ球の個数の正常範囲は、 2,100〜5,500個/μl という数字になる。 で、野田の1歳の幼児の症例だが、
リンパ球が10,000個 !? は、なんかの間違いじゃないのか !? この子については、リンパ球ではなく、白血球総数はどのくらいあるのか !?が必要だ! この子の「リンパ球」が、ホントに 10,000個/μl であったとすれば、 リンパ球増多症(リンパ球が増えてるってだけの用語)は、 リンパ球と対をなす好中球の産生には影響しないのが普通だから、 好中球は正常個数あるはずで、 リンパ球% + 好中球% = 必ず! 100% (いや、マイナーな白血球もいるから、実際は90%とかなんだけど、この際、単純化する。) なんだから、 リンパ球%が 50% → 好中球%も 50% つまり、好中球も、5,500個/μl いるはずなわけだから 10,000 + 5,500 → 白血球総数は 15,500個/μl だから、1歳の幼児の白血球正常上限の 7,000個/μl の2倍以上! という、それだけでも相当な、要!精密検査!状態である。 で、ここまで読んでいただいてから、画像を見てほしい。
一枚目が「異型リンパ球」だ。 異型リンパ球はさまざまな形になり、 細胞そのものが丸く、細胞の核も丸いもの、 細胞の形がアメーバしているが、核は丸いもの、 細胞の形はアメーバしていて、核も分裂しようと変形してるもの、 と、まあいろいろある。 一枚目の「異型リンパ球」は、最後の一番活発な体形のものだ。 で、二枚目と比べてほしい。
ほとんど同じだろう? この二つは、イメージ認識で判別する血液検査機械では、判別不能であり 通常は、「異型リンパ球」に分類される。 実際、ここまで似てくると、ひろみでも判別が困難で、 経験をつんだ血液増専門の検査技師の「プロの勘!」の世界になる。 自分がプロ中のプロである!と自認している医者もしくは検査技師でなければ
最悪を考えて、用心のために、 「マルク!」、つまり、骨髄穿刺 を、オーダーしなくちゃいけない。 二枚目の画像は、骨髄芽球である。 骨髄芽球は、通常、骨髄の中だけに居て、静脈血に居ることは、絶対に!ない。
しかし、二つの病気で、静脈血に出てくる。 ひとつは言わずと知れた、「急性骨髄性白血病」 ふたつめは、「類白血病反応」。 「類白血病反応」というのは、ばい菌が血液中を泳ぎまわっている状態のときに ばい菌殺しの専門家の好中球を大量生産して、ばい菌と戦うために身体が起こす 全身の炎症(寒気・ガタガタ振るえ・39℃以上の高熱)の時の 静脈血の様子のことを言う。 骨髄という血液工場で、 白血球幹細胞→骨髄芽球→前骨髄球→後骨髄球→桿状核白血球(未完成)→分核白血球 というプロセスで、白血球の製造が行われるのだが、 通常、骨髄から出荷できるのは、 桿状核白血球(ロッドとかスタブstabと呼ぶ)と分核白血球(セグメントsegと呼ぶ)だけだ。 桿状核白血球は、まぁ言えば、 青いトマトを出荷しても、流通の間に赤く熟れる、というものだ。 だから、通常は、静脈血の好中球は、分核白血球が 9割、桿状核白血球は 1割以下。 さて、血液の中をばい菌がうようよ泳いでいる状態は、身体にとってはヤバい状態で、 一刻も早くこの血液の中のばい菌を殲滅(みなごろし)にするべく、 白血球は果敢に自爆攻撃をを行って、消耗戦になる。 骨髄工場は、好中球を大量生産するのだが、生産が追いつかず 未完成品を出荷せざるを得なくなる。 こうしてやむなく、静脈血に、本来骨髄にしかないはずの「未完成白血球」が出てくる状態を 「類白血病状態」と呼ぶ。 これは白血病ではない。 だから、二枚目の細胞を見たとき、(検査結果の数値じゃわからない!)
「異型リンパ球」か !? 、「急性骨髄性白血病」か !? 、「類白血病反応」か !? を、考えなきゃいけない。 なんにせよ、このレポートでは不完全すぎるが、よく公表してくれた!
次報を期待する!
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