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「誤報ではない」週刊文春側が医師に反論
http://blogos.com/article/33158/
2012年03月02日 12:27 BLOGOS編集部
2月23日発売の週刊文春(3月1日発売号)において、「衝撃スクープ 郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い」という記事が掲載された。この記事に対し、2月23日に札幌厚別通内科、杉澤憲医師が会見を行い、同記事が誤報であると指摘した。
杉澤医師の指摘を受け、2月25日に記事の筆者であるおしどりマコ氏と週刊文春編集部が自由報道協会で記者会見を実施。週刊文春編集部とおしどりマコ氏は、記事の本旨はあくまでも継続的な検査の必要性を訴えることであり、「誤報」ではないと主張したが、記者からは文春の報道姿勢を「あやういのではないか」と指摘する声も挙がった。同会見の冒頭部分を書き起こしでお伝えする。(取材・執筆:BLOGOS編集部)
「記事は事実です。誤報ではありません」
前島氏:よろしくお願いいたします。週刊文春編集部でデスクをやっております前島篤志と申します。記者のおしどりマコさんと取材を担当いたしました小誌編集部記者の鎌谷一平と申します。
2月23日発売、3月1日号掲載のおしどりマコさん、少誌取材班による「郡山4歳児と7歳児に『甲状腺がん』の疑い」という記事に関して、北海道の札幌厚別通内科、杉澤憲医師により会見が開かれました。
その会見の中で小誌の誤報であるとの指摘がありましたが、私どもとしては「何が誤報なのか」「お医者様は何をおっしゃりたいのか」と戸惑っているところでございます。ただし、各メディアから問い合わせがあり、自由報道協会からも会見の要請がありましたので、この場で私どもの考えと立場と申し上げたいと思います。まず筆者のおしどりさんからお話申し上げます。
おしどり氏:まず最初に申し上げたいのは、記事は事実です。誤報でありません。私は昨日、一昨日と北海道に行ってまいりまして、記事の中に出てくる二人の娘さんに異変が見つかったお母様、その親子と、自主避難をされている2つのご家庭とずっと過ごしていました。彼らも非常に怒っていました。それはこの記事が誤報だと言われることに対してです。
そのインタビューを受けてくださった若いお母様は「何のために私が勇気を出して、このインタビューを受けたのか」と。彼女が言うには、福島県内と県外のメディア、テレビや新聞では情報が違っているのではないかと感じているそうです。しかし、週刊文春であれば、全国で同じものが売られているので、「私の声が福島にも届くのではないか」。そう考えてインタビューを受けたとのことです。なので、「私が勇気を出して声を挙げることによって、どなたか一人でも動く方が出てきたらうれしい」と言っていました。ですので、この記事が誤報だと言われることについて、とても怒っていました。
前島氏:では続いて、編集部から誤報、事実誤認というご指摘について、具体的に説明いたします。今のおしどりさんの言葉にほぼ内容的には尽きておりますが。個別具体的にお話できる部分をお話いたします。
まず、この記事の本旨ですが、おしどりさんが被災地の避難民を対象に甲状腺調査が実施され、子どもたちからも異常が出ているという結果を取材されました。先ほどお話があったように、ご家族の方も深く悩まれており、現状を伝えて欲しいとの声がありました。東日本大震災後、健康被害を考える上で、どの程度の異常が出ているか、具体的な状況を伝えることには大きな意味があると考え、検査を担当した医師、その他専門医、関係者にも取材を行いました。
もとより、この甲状腺異常が今後どのような結果になるか、そして放射線や原発事故とどのような関係があるかは、科学的にはまだ明らかになっていません。
しかし、チェルノブイリ以降、子どもたちの甲状腺異常が指摘されるなど、大きな被害が出ていることは報告されています。福島県では、この3年間をかけて子どもたちの検査を進めるとされていますが、住民や家族の不安を取り除くためにも速やかな検査と継続的な診療が急務なのではないか。それが本記事の趣旨です。
杉澤医師が会見を開いた真意は、正直我々にはわかりません。何かお立場があったのかもしれません。記事の中では、取材した医師関係者の方々のお名前を公開しておりません。したがって「取材源の秘匿」という点からも杉澤医師の記者会見での発言一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきます。
おしどりさんおよび本誌取材班は、取材に対して録音やメールなど記録もしております。それを公開することは情報源である医師も望んでいないと思います。ただ、杉澤氏が記者会見で当該記事の誤報である部分というのを6点挙げておりますので、その部分については反論させていただきます。
まず1点は「甲状腺がんの疑い」という記述がおかしい、要するに検査は良性であったというご指摘です。医学用語と我々ジャーナリズムの用語では違いがあるのかもしれませんが、「がんの疑い」があるからこそ子どもたちは二次検査を受けております。良性との所見が出されたのは記事にも書いてある通りです。しかし、良性といっても癌かどうかを判断するのに重要な細胞診(正常の細胞の中から「がん細胞」を顕微鏡で見分ける検査)は、まだなされておりません。継続的に経過を見ていく必要があるというのは病院側も語っておられます。
その意味でも「甲状腺がんの疑い」があり、今後とも注視していく必要があるという記事の趣旨に間違いがないと思っております。
次に「福島県からの11人に深刻な異常」という記述について、その数と福島県から避難してきた人だけではないという指摘がありました。この点についても取材源の医師の作成したデータに基づいた記述です。2次検査に回った人の数を指しています。福島県だけでなく、宮城県からの避難民も含まれているというご指摘はその通りです。
続いて、山下副学長からのメール、「検査を控えるように」というメールが来たという記述が事実に反しているという指摘。こちらは記事にも記載がありますように、甲状腺学会のHPに掲載されており、私どもの取材で副学長も自ら認めている事実です。さらに「独自の検査を控えるように」という点についても、これも我々が取材時にこの証言を確認しております。
それから人数についてのご指摘。親子309名、内訳は子ども139名、大人170名が検査を受けたと我々の記事になっておりますが、これは子どもと大人の人数が逆でございます。正しくは子ども170名、大人139名です。これは資料からデータを転記する際に編集部で生じた誤記でございます。この点は訂正いたします。
さらに記事の中で、内科医の発言として引用されている「しこりのあった7歳女児と4歳男児の二人に加え、19歳以上の『大人』9人の計11人に甲状腺がんの疑いがありました」というコメントについて。こうした発言はしていないということでしたが、これも取材時に確認しております。
以上、6点です。我々としては誤報と呼べるようなものはなかったと思います。繰り返しますが、杉澤先生がこれらを誤りと指摘する意図、そこにどのような事情があるかは私どもは承知しておりません。
ただ、大事なのは避難した子ども達の中から重大な異常が見つかっているということです。福島第一原発事故の影響を受けたと考えられる子どもたちやご家族のために何をしなければならないのか。子どもたちの健康のため、不安の軽減のために、たとえば甲状腺の検査はすみやかに行われるべきと考えております。また、検査を妨げるような行いはあってはならないことだと考えています。そういった意味でも編集部としては、この記事が誤報に当たるとは全く考えておりません。また取材源に対しては、週刊文春に記事を掲載することを事前に確認しております。以上でございます。
質疑応答
上杉隆氏:元ジャーナリストの上杉隆です。北海道の医師の会見では「週刊文春の取材だとは認識していない。だまし討ちにあった」というように説明していましたが、実際にはどうだったんでしょうか?編集部とおしどりマコさんの双方の考えをお聞かせください。
前島氏:編集部としましては先ほど申し上げた通り、取材源には事前に「取材である」と確認しております。
おしどり氏:情報源を特定することに関してはお答えしかねますが、私はこの記事を書くにあたって、情報源の方から事前にきちんと許可を得ております。情報源の方に初めてお会いしたときから「週刊文春でこの件を記事に書きたい」とお伝えしてあり、自己紹介のときに週刊文春のバックナンバーで、私がかつて福島第一原発の作業員について書いた記事を見せながら、あいさつをしました。
翌日のメールでのやり取りでも、文春の記事に書くことを了承していただいてます。そのメールも全てあります。23日発売の3月1日号に記事を掲載すること。それに関してのやり取りも残っています。読み上げることは本意ではないですが、必要ならば読みます。(※以下、メールを読み上げる。動画上では13分辺り)
前島氏:ちょっと補足いたします。私どもの記者の鎌谷も取材源に名刺を渡しておりますので、その点でも取材と認識していなかったということはないと思います。
おしどり氏:ただ、情報源の方に「記事を書かせていただく」という交渉の中で、情報源の方にゲラをチェックして頂く際に、その訂正が全て盛り込まれてはおらず、その件に関して反映できなかったという事実はあります。
上杉氏:事実関係の補足なんですが、情報源の方に会った日付と回数を教えていただけますか。また、第三者的な立場で事実をご存知の方はいるのでしょうか?
おしどり氏:私が情報源の方にお会いたのは2月1日と2月4日です、事実関係を証明できる方はいるかということですが、情報源の秘匿に関わるので答えられません。
鎌谷氏:情報源の方には私も2月4日に、おしどりマコさんと一緒にお会いしました。名刺も交換させていただいております。そのとき私の方でも、取材の意図というのは伝わっていると感じました。
西里氏:ドイツテレビの西里です。まずこのお医者様、ボランティアで甲状腺の調査・検査をされたとのことですが、その意図は何だったのでしょう?
おしどり氏:その情報源の方がボランティアで調査を始めた意図は、本当に素晴らしい善意からでした。自主避難されている方々のお母様方が、福島県で甲状腺エコーが始まって「自分達は大丈夫だろうか?」と不安を感じていることを受けて、自主的に善意から始めたと聞きました。避難された方を安心させる目的で、「何もでないだろうけど安心させよう」ということで、始めたと聞きました。でも、驚くような結果が出たことで、そのデータを福島県立医大の鈴木眞一先生が北海道で講演されたことがありまして、そのときに今回のデータを「こういう結果が出ました」と手渡そうとしたら、受け取っていただけなかったと聞きました。
西里氏:先ほど、会見を開いたと名前が出た杉澤医師ですが、この方と情報源とは同じ方なのでしょうか?
前島氏:会見を開いた方と情報源が同じ方がどうかは、情報源の秘匿ということでお答えできません。
本間氏:フリーライターの本間といいます。先ほど上杉さんから「杉澤さんの了解があったのか」という質問が出たのですが、それがそちらからの回答では「情報源」という言い方に変わっていました。情報源は札幌で何人もいらっしゃったと思いますが、情報源の主婦とか内科医とか区別して話していただけないでしょうか。どうしてかと言いますと内科医が匿名で書いてあるということなんですよ。「子どもがガンである」というのは極めて個人情報です。それを活字化を前提に取材を受けたということは、個人情報よりも公益性を優先して発表することですから、お医者さんも自らの責任において実名を出すのが普通だと思うんです。それを「匿名で」ということは、(活字化する)了解が取れていないんではないでしょうか?
あと、甲状腺がんの疑いと記事に書いてありますが、これは内科医の方の証言として一カ所あるだけですよね。内科医の方は甲状腺がんの専門家ではなく、町のお医者さんですよね。北大の話も聞いてるという話ですけど、二次検査をしたはずの北大のコメントが出ていません。医療用語と活字の「がんの疑い」という認識の差はあるのかもしれませんが、何を根拠に「がんの疑い」と書いたのでしょうか。
また、メールを2月からやり取りをしていたのは、主婦だったのか、それとも内科医だったのか。ごっちゃになると困るので、そこをはっきりさせて頂ければと思います。
おしどり氏:まず一点目ですが、情報源が特定されることは秘匿しますが、先ほど説明したのは情報源のうちの内科医です。また、記事の中で匿名であったことについてですが、「匿名にして欲しい」という内科医の方の意志があったからです。
それはメールでも残ってます。
前島氏:もう一つのがんの疑いについてですが「二次検査に進んだ方にがんの疑いがある」というのは、私どもは甲状腺の専門医にも何人も取材しております。この状況だったら「がんの疑い」というのは、おかしくない表現だと思っております。それを踏まえて記事になりました。
本間氏:二次検査をした北大への直接の取材はやったんでしょうか?やってないんでしょうか?
鎌谷氏:北海道病院のことではなくて、全国の甲状腺専門医の方に話を聞きました。
本間氏:二次検査をした病院の側に取材をやったという説明ではなかったのですか?
前島氏:先ほどの(「がんの疑い」の根拠についての)答えは、検査を受けられたお母様がお医者さんからそのように伺っていると。記事にある通りです。
本間氏:まこさんと文春側は、二次検査をした北大には直接取材をせずに「がんの疑いあり」と書いたということでいいんでしょうか?4歳と7歳の子供についてですが。
おしどり氏:直接、検査をされた医師には何度か取材を申し込んだのですが、受けてはもらえませんでした。(以下、専門用語の連続のため省略。動画上では27分辺り)
本間氏:専門的なことはいいですから、つまり私が言ってるのは、二次検査を実際にやったところ(の発言)でないと「がんの疑いあり」という強い表現は我々の業界では非常に危ういと思うんですけど。直接取材をされずに、その根拠が全く希薄ではないのかと個人的には思うのですが。
前島氏:それは見解の相違だと思います。「がんの疑い」ということですから、私どもの取材で「疑いあり」ということになりました。
おしどり氏:先ほどの説明を補足しますと、被爆によるがんは、甲状腺がんの95%が乳頭がんなんです。その乳頭がんの細胞診が甲状腺病変のもっとも一般的な診断方法なんです。今回疑われるのは、乳頭がんでありながら、細胞診が行われてないということで少し疑問に感じていますし、それは実際に診断を受けたお子さんのお母様も不安に感じておられるそうです。実際に、このお母様のご友人の女性が二次検診を受けた際には、細胞診をして良性だと判明したんです。
「良かった!おめでとう」と言い合ったそうですが、しかし、今回の2人のお子さんに関しては、「がんの疑い」があると言われながら細胞診が行われないことに、とても不安に感じておられました。
鎌谷氏:すいません、補足します。今回の記事で取り上げた4歳児と7歳児の二人の子どもは、細胞診を受けていません。二次検診では再度のエコー診断と血液検査を受けていますが、それはガンであるかの最終判定をするものではありません。もちろん「だからガンだ」と言うわけではなくて、「がんではない」「陽性だった」「安全だった」と厳密には確定していないのではないか、というのが編集部の理解です。
おしどり氏:さらに付け加えますと、「がんの疑い」という見出しは、私は見出しに口を挟めませんので、「少し煽りすぎではないか」とは私も編集部に言いました。おそらく「良性の可能性はあるけども経過観察をする」というのが、今回の診断に関して一番正確な表現ではないかと思いました。
前島氏:子どもの場合は、甲状腺に結節が見つかること自体が異例なことですので、その異常性を鑑みました。
泉氏:NPJの泉といいます。「細胞診をされない」という判断をお母さんがしているのであれば、それはなぜなのでしょうか。
前島氏:お母さんがされているわけではなくて、病院の側がしております。
泉氏:ただ、お母さんがどうしても細胞診をしたければ別の病院でもできるわけじゃないですか。なぜそれをやらないんですか?
おしどり氏:一応、二次検査に行った病院では「半年ごとに経過観察する」ということになっていて、ご自身でも「細胞診を取った方がいいか」を検討されたそうでして、ネットなどで調べたそうです。今のところは予定はないそうですが、考えてはおられます。
江田氏:週刊金曜日編集部、江田といいます。今回のケースは取材源の秘匿をしつつ、記事の真実性を訴えるということで、非常に微妙な判断だったと思うのですが、通常、そういう問題が起きたときに、誌面で(この話題で)再掲載するのが通常よくある方法だと思うのですが、今回は会見を開かれた理由はなんでしょう。また、今後の報道の予定について教えてください。
前島氏:繰り返しになってしまいますが、一つは杉澤憲先生が誤報と指摘する会見を行ったことに対し、各メディアから問い合わせがあり、自由報道協会からも要請がございましたので会見を開かせていただきました。さらに続報についてですが、専門家の意見を聞くなど取り組みを続けておりまして、続報についても当然検討しております。
会見当日の様子
・おしどりマコ氏・「週間文春」編集部緊急記者会見-IWJチャンネル
http://www.ustream.tv/recorded/20683253
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