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被災者の思いを逆手にとった責任回避の除染ビジネス 座談会 原発事故から1年 福島の被災地はいま(上) かけはし
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/331.html
投稿者 ダイナモ 日時 2012 年 2 月 23 日 21:27:55: mY9T/8MdR98ug
 

無責任・隠ぺい体質に募る怒り
生活をまるごと取り戻すために


 この座談会は一月二一日、いわき市で開かれた『中国革命の真実』(くどうひろし著、つげ書房新社刊)の出版記念会当日の午前中、主催者の協力で会場の一部を使わせてもらい行ったものです。当初は六〜七人の予定でしたが、「一言いいたい」ということで一五人も集まってくれました。そのためにテーマを決めた座談会というよりは、参加者それぞれが今何を考え、どう行動しようとしているかを発言してもらうという形式をとりました。被災した地域や職業によって多少視点は異なりますが、東電や政府に対する不信、復興対策の立ち遅れに対する怒りは共通しており、福島の被災者たちの思いがストレートに伝わってきます。3・11「原発いらない!福島県民集会」を成功させよう。(「かけはし」編集部)

繰り返されて
きた事故隠し

A (いわき市、脱原発ネット):今私が一番心配しているのは、福島第一原発の4号機です。4号機には使用済みの燃料棒がそのまま残っている。京都大学の小出さんも言っているが、東京電力は次に大きな地震が来た時に4号機が耐えられるか、一番心配しているらしい。
 東京電力は福島に原発を建てるために断層調査を行った時、双葉断層については短く評価した。そしてその近くに位置する湯ノ岳断層も動かないと評価している。しかし三月一一日の一カ月後に続いて起きた地震では、動かないはずの湯ノ岳断層は彼らが活断層と評価していた「井戸沢断層」と共に動いた。地震動は震度5を記録し、いわき市の南部では山崩れを起こした。余震はその後も続いており、政府が収束宣言を出しても地震が再び原発を直撃する危機は依然として続いていると考えるのが普通だ。
 次は事故の原因についてだが、脱原発運動に係って来た人たちは津波が到達する前に配管が傷つきそこから水が漏れたと思っている。東京電力は想定外の地震による津波が原因、と主張している。どちらが正しいか、それが判明するのは線量が下がり設備を分解することによってだと思う。しかし事故から時間が経つにつれて私たちの意見の正しさは益々明らかになってきていると考えている。この隠し切れない事態の推移に対し、東京電力はデータを小出しにして情報をコントロールし、本当の原因や事故の深刻さ等の真実を隠そうとしている。未だ公表していないデータも当然存在すると思う。先日、東京電力は2号機に工業用内視鏡を入れたが、熔け落ちた燃料の位置どころか水がどこまであるかさえ確認出来なかった。事故の深刻さは隠し切れなくなっている。
 電力企業は普通の企業とは違う公益企業であるわけだが、東京電力は以前から公益企業としては致命的な三つの悪い体質を持っている。そのひとつは隠蔽体質であり、それに加えて焼け太り体質と無責任体質のふたつだ。先ず隠蔽体質についてだが彼らの事故隠しや各種データを改竄した例を列挙すると数限りがない。そこでマスコミ等で大きく取り上げられた事態を福島原発で発生したことに限定して紹介したいと思う。その第一は一九八九年一月に起きた第二原発3号機の再循環ポンプ羽根車の破損事故であり、第二は二〇〇三年四月に福島原発の全機が運転を停止する事態の契機となったデータの改竄であり、第三に二〇〇六年一月に発生した、制御棒破損事故である。
 第二の無責任体質についてだが、それは今回の原発震災と先に隠蔽体質の所であげた事態があっても、せいぜい処分は社長や会長の退職や転籍または減給くらいで、退職しても退職金の没収や役員給与の払い戻しなどが実行されることはなかった。最後に焼け太り体質についてだ。これは維持基準と高経年化対策によって東京電力が収益を増加させ続けてきたことに見事に体現されている。ヒビ割れ、疲労の蓄積など、かなりの程度の欠陥が存在してかつそれが顕在していても安全に支障がなければ部品を交換しなくとも良い、とする法律だ。ここで基準が施行された二〇〇三年という年に起きたことを思い出して欲しい。前年に点検記録簿の不正が発覚して、この年は福島原発は全号機が運転停止する事態となった。東京電力は点検記録簿の改竄や検査の偽装をやっていながら、適切に傷を検査し進展を予測し運転に支障なければ良い、とする維持基準の導入を行ったのだ。
 東京電力は福島第一原発については一刻も早く廃炉処置を行い解体したいと思っている、と私は思う。しかし廃炉の前提となる核燃料の安定的冷却が出来ていない。何しろ冷却水の一部が最終的には原子炉建屋の地下室から漏れているのだから。冷却システムの確立のためには燃料の位置と水位を確認することが最低限必要だがこれが出来ないのだからやはり深刻だ。我々が東京電力に対して要求しなければならないのは第一に汚染水を含め放射能の垂れ流しを即刻止めること。労働者被曝を最低限にとどめることだと思う。最後に福島県議会は福島原発の全号機の廃炉を決議したが東京電力は第二原発の運転再開を諦めていないことを指摘したい。

避難民はすべ
てが失業者だ

B (いわき自由労組):今、いわきには避難してきている人が約二万人いる。この頃あちこちから小さな囁きが聞こえ始めている。それは「昼間から酒を飲んで、パチンコ三昧、いいなあ被害(災)者は」という声だ。原発で被災した人たちだから、面と向かって言えないが、声は小さいが確実に広がっている。遠からず避難者をさげすむ声になりかねないと心配している。
 ちょっと考えれば分かることだが、小名浜の港も破壊され、漁師さえ漁に出れないところで復興政策の立ち遅れとあいまって、二万人の人たちが新しい仕事につけるわけがない。家をなくし、財産をなくし、船も土地もなくしている。なによりも「今を生きるすべを失っている」。避難民はすべて失業者なんです。首切られて仕事を失えば、生活の不満でうつ病にもなるし、その重圧から逃れるために酒を飲むし、暇を持て余してギャンブルに走る気持ちは理解できる。私たちが避難民を失業者としてとらえ、復興問題の最大の環として捉えなおすことが重要になっている。「ささやく」のではなく、「やさぐれてなにが悪いか」というぐらいの気持ちを持っていないとこれからは前に進めない。
 労働組合の課題として失業問題と同じくらい重要視しているのが被曝労働の問題だ。この問題は東電の監視が厳しいせいかなかなか手掛かりがつかめない。去年の夏以降、地区労と協力しながら、二カ月に一回三〇〇〇枚のチラシをまいている。今のところ成果は出ていない。知る限り、かなり過酷な労働がやられているのは明白。ねばり強い闘いが必要だと覚悟している。

地域の若者と
被ばく労働

C (大熊町の住民で現在は会津に避難中):私は原発に近い大熊町に住んでいたのですが、二度三度と転々とし、今は会津に避難し仮設生活を余儀なくされています。
 私はかつて原発モニターをやったことがあります。モニターになった人の中には反原発派の人もいました。その時、原発内部を見せてもらう機会がありました。第一印象は内部はかなり古く、あちこちにひずみが出来、とくにひどかったのは配管は繰り返し溶接で継ぎ足しされていることが一目瞭然であった。案内した東電の職員にその時「地震や津波が来ても大丈夫なんですか」と聞くと、「原発内部にも高台にも電源はあるし、何重にも保護されているので大丈夫」という返答でした。今回の事故があった時、最初に頭に浮かんだのはあの時見た原発内部のすぐにでも壊れそうな場面でした。
 事故が起きた後、私といっしょにモニターをやったことがある人や避難中にホテルで会った人たちと話したんですが、東電は津波でやられたと言っているが、あの時の内部状況、とくに配管を思い出すと地震ですでにやられていたという意見で一致しました。あちこちの配管が壊れ、小さな吹き出しから煤が出た跡があったことを思い出しました。
 モニターで原発内部を見た日の最後に誰かが双葉断層について質問しましたが、「古い墓が壊れていないかどうか広範囲に調べた結果、大丈夫という結論が出ています」と職員たちは答えていた。後に地元の人から聞くと「東電は壊れていた古い墓を作り変えてから検査したんだ。そんなことを信用できるか」と言われた。東電は最初から住民をだましていたわけです。
 震災後、周りの人と話したり突け合せて明らかになっているのは、東電(原発事業所)で仕事をしていた上の人たちは、三月一一日に財産をまとめて新潟の柏崎の方に逃げているんです。大熊町の住民に逃げろという指示と号令が出たのは爆発した三月一二日です。三月一二日の爆発より早かったのか遅かったのかテレビも映らないのではっきりしませんが、東電の職員はすでに爆発の一日前に逃げているんです。逃げ遅れたり、逃げられなかったのは原発で仕事をしていた福島出身の若い職員とか、地元に住んでいる若い下請けの労働者たちです。逃げる時東電の職員は「吉田さんは所長だから仕方ない」と言っていたそうです。
 今も原発に残って危険な作業をしているのは私の息子たちと同じ二〇代の若者が多いそうです。私の知っている人の中には息子三人が原発の仕事をし、今も原発に留まって仕事していると泣きそうになっている人もいます。時々線量が高いと言われ外に出され、三カ月間くらい休みになるわけです。ようするに被曝しているから「休め」なんですよ。東電の職員はそのような危険な仕事にはつかないし、そうした危険があればすぐに柏崎などへ転勤させて遠ざけてしまう。揚げ句の果てに東電の職員は高額な給料が出るのに、下請けには手当も少ししか出ない。
 仕事をやめたいと思っている若い人はいっぱいいますが、他に仕事がない。その上仕事のないみじめさを見ているから、また原発の仕事に戻るんですよ。さっきいわきの人が言っていた「昼から酒やパチンコ」とはこうした状況の反映です。
 原発の中で働いている人、いた人の中にはときとぎ心臓麻痺で死ぬ人がいます。原発で働いていた人から聞いた話ですが、それはセシウムではなく、プルトニウムなどによる被曝で血管がぼろぼろになっているのが原因だと言っていました。今回の事故による被曝が病気という形で現れるのは五年ぐらいしてからだろうと、地元では言われています。この地域では障がいを持った子が産まれる確率が高いというのも原発のせいだと昔から言われています。

避難している
人びとの暮らし

D (大熊町の住民で現在会津に避難):今回みんなで相談し町長選に出馬しました。マスコミは、大熊町に帰る、帰らないというのが選挙の争点だと報道していましたが、私としては現在避難している人の生活をどうするのかということで出馬したんです。年老いた人が仮設住宅の中で身体を壊し、あるいは命を亡くしたり、それに近い形で入院生活を余儀なくされているという例は結構あります。あと若い人とか中年の人たちが前にも言われていたようにパチンコや酒に溺れているというのが心配だったんです。
 とにかく政府も東電も時間ばかりかかり緊急時の対応はまるでなっていない。それは町役場も同じで、必要事務手続きなどはあまり進んでいない。これをどうにかしないといけないというのが、私が立候補した第一の理由です。一番重要なことは定住生活し、新しい日常生活を取戻すことだと思います。仮設はどうみても緊急避難でしかない。そのためには国に公有地の払い下げを要求し、定住生活に向かって進む、踏み出す。その中で除染を進めたいと思う人は除染を始めればいいと思うんです。私自身は除染の効果はどうかなと思っています。とくに大熊町の中心部は。そうすれば除染した土をどこに持っていくのかという問題も出てくる。広野や楢葉でも双葉でもそういう話になります。その結果、中間貯蔵施設をどうするかということが双葉郡全体の問題、県全体の問題になります。
 まず定住生活という形が始まれば全国に散らばった人たちもどうするか考えるし、除染の問題もより具体的になると思います。マスコミは問題を「帰る、帰らない」という選択みたいに報道したが、具体的に住民の生活をどうするかということを選挙で突き出したかった。

放射能汚染と
足尾鉱毒事件

E (いわき市在住):ある意味で原発の問題は今になってようやく本格化し始めたという感じを持っている。逃げることが精一杯であったし、どのくらい放射能は危険なのか全く知らなかった。一方では「いますぐ」という発言と他方では「子どもはおとなより危険」という言葉の間で右往左往していたと言える。昨年の暮れくらいから、みんなこれからどうするのかという意見が出始めているように思う。
 この前、細野大臣が来て、放射能廃棄物中間貯蔵施設の話になった時、大熊の渡辺町長や双葉の井戸川町長は住民の目を気にしてか、ただただ「ダメだ」という発言を繰り返していた。その時誰だか忘れましたが「私のところもダメだと思うがしかし、どこにも持っていけないというのも現実だろう。そうであれば、その現実から考え話し合わないといけないと思う」という発言があった。
 他の問題でも政府や東電にき然とした態度をとり、常識的で現実的な判断を持とうとする南相馬や二本松の市長なども出始めている。
 思うに今回の事故で田畑はもちろん川が毒され、山を奪われ、さらに空気も、海まで汚されたことを考えると足尾銅山の鉱毒事件よりはるかにひどいと思う。原発立地地域はもはや人が住める所ではなくなった。政府や東電は事故だというが、これは犯罪だ。明治政府は谷中村の約五〇〇戸の百姓を追い出すために軍隊まで使って弾圧したが、政府や東電がやっていることは似たり寄ったりだ。彼らは自分が犯罪者だという自覚はない。だから補償問題もまだ本格化していないのに、電気料金を上げると騒ぎ始めている。時代は違うがわれわれがもっと足尾事件を参考にする必要がある。
 今はさすがに当時のように百姓を北海道や那須に追い出すということはないと思うが、帰れないという現実は同じだ。農家であれ、自営業であれ、労働者であれ、住民の生活全体をどう補償させるのか、仕事をどうするのかはっきりさせなければならない。
 ともすると住民の間に分断や対立がつくられる可能性がある。今だって「そのうち帰れる」、「帰りたい」という空気が先行しており、政府も役場などの行政もこの雰囲気を利用しようとやっきになっている。除染といったって、結局のところ放射能で汚れた土を他に移すだけで、土の中に埋めると腐食分解されて元に戻るということではない。逆にほとんどの住民は生きているうちに故郷(原発立地地域)に帰れないということが徐々にはっきりし始める。多くの人はこれまで一年ないし二年もすれば放射能は消える。除染すればなんとかなると考えてきた。そうではないことを浪江の採石場問題は明らかにしている。
 大熊町の町長選の中で「原発立地地域にもはや住める所はなくなった」という事実を鮮明に突き出したことは重要な第一歩だったと思う。マスコミが取り上げた理由もそこにある。その上でどうするかが問われ始めている。再度言うが、政府・東電は自分が犯罪者だと思っていない。その意味で無条件、無制限に補償させる闘いをどうつくるか、それを支援する世論をどう形成していくかがわれわれに問われている課題だ。足尾から学ぼう。

住民自身もっと
学ぶ必要がある

C:私が先日一時帰宅の際に、家の中の線量を計ったら五・二マイクロシーベルト、家の外は九・〇マイクロシーベルトだった。仮設に戻り役場の職員にその数値を話すと「なんだ低いな、東電(原発)の真北の方は六〇とか七〇マイクロシーベルトもある。昔から原発で働いていた人たちはなんともないと言っていた」と言い出す始末。開いた口がふさがらない。役場の職員もこの数値では戻って生活できないことは知っているが、まわりに原発で働いていた人が多かったせいか、あるいは東電に飼い慣らされてきたというか完全に感覚は麻痺している。
 こういう話ばかりが出てくるので学習会をやらないとだめだと思い講師を探して何回か開いた。しかし来たのは大熊町からは「女性の会」の人が一〇人と会津の住民だけ。一番理解してもらう必要があると思った役場からは結局一人も来なかった。東電に対する補償問題で弁護士を呼んでやった時も、来たのは役場を退職した人だけで現役はゼロ。また時には学習会に敵対するかのように役場の幹部は日曜日に仕事を入れる。放射能の怖さについてよく分かっているのは三・一一以降も原発で働いている人だけで、その人たちは上から口止めされて何も話さないというのが今の状況。
 前にいわきの仮設に闘いを呼びかけるチラシを入れに行ってびっくりした。玄関に原発の仕事で使用した長靴や車のタイヤなどがそのまま置かれている家がいっぱいあった。線量計で計れば分かるがこういう所は一挙に線量が上がる。それ程知らないというか、放射能は怖いという意識が少ない。それともう一つは仮設に入っていて原発の仕事をしてきた多くの人は、再び原発の仕事に戻りたいと思っている。なぜかというと給料が高いから。だから他の仕事は探さないし、次に原発の仕事の声がかかるのを待っている状況。「昼から酒、パチンコ」の実像はこういうところにもあると思う。放射能は怖いもの、原発は危ないものという意識が弱い。そういう意味では本当に学習会が必要だと思う。

地域の分断を
乗り超えよう

A:長崎大から福島大に来た山下某を中心に「原子力ムラ」を呼んだ講演会・学習会が各町内、各集落ごとに極めてきめ細かくやられている。その結論は「このレベルの放射線量は大丈夫」というのが決まり文句。このことで住民の不安が解決しているわけではないが、より具体的に説得できる材料を出した討論、学習会、キャンペーンが必要だ。まだ闘う側が負けている。

D:大学を卒業して原発がある町の役場に就職したといっても、一歩突っ込んで話をすると、職員はほとんど原発に対しても、放射能に対しても知識はない。その意味では一から学ぶ必要があるのだが、プライドだけが強くて住民の意見や意向を聞こうとしない。
 大熊町は帰れないのだから、定住の方向をともに考えようと提案しても、職員の多くは自己保身的な対応しかしない。年老いた人が「帰りたい」と言うのは分かるが、本当に帰ることができるかどうか検討せず、安易に「じゃ除染しましょう」と言い出す始末。田んぼは、畑は、放牧地の除染はどうするかと聞くと答えられない。帰れないと認めると仕事がなくなってしまうのではないかと、それだけを心配している。心配すべきは役場の職員の仕事ではなく、町も、仕事も、田んぼ、畑を含めてすべてを失った住民の生活であり、新たな仕事だと思うのだが。
 大熊町の町長選で誰かが言わなきゃならなかった「帰れない」という声をあげた。その上で今後の生活を考えるべきと主張した。この選挙で「帰れない」という発言に約二五〇〇票も投じられ、マスコミでも善戦と報道された。
 誰にも帰りたいという気持ちはあるし、裏でそれをそそのかす者もいる。この事実だけをみても一朝一夕にはいかない。系統的学習活動と宣伝、そして様々な行動への組織化、これを積み重ねることが重要だ。これをキチンとやらないと原発誘致時のように住民自身が再び分断され、東電や政府の思惑通りの収拾方向に向かってしまう。

事態はいっそう
深刻化している

E:事態はこれから逆にだんだん深刻になっていく。最初の頃は半年から一年も経てば帰れると思っていた人が多かったし、だから除染すれば帰れるという雰囲気もできた。二〜三年と年を経るごとに深刻さは増し、放射能の本当の恐さを分かってくる。もう戻れないと分かった時が大変だ。この厳しい局面にどう準備し立ち向かっていくかがこれからのカギになる。

C:会津に行って初めて知ったが、会津の人の中にもチェルノブイリでは一〇〇キロ圏内で甲状腺がんなどの異常が多く発見されたということを知って他県に逃げた人が多数いた。聞くところによると飯舘村の人が福島市に避難しているが、福島市の住民の中には、福島市は安全ではないと山形の米沢市や宮城県の方に逃げた人もいっぱいいる。子どもを持っている親の中には避難地域の外に住んでいても心配で県外に避難した人も多いし、今も戻ってない人が多数いる。この一つ一つに対し東電にどう補償させていくのかというのがこれから大きな課題になる。近頃、自主避難に対しても補償しろという声が大きくなっていることを考えると非常に重要な課題だ。

A:この間本当に頭にきているのが、双葉郡内の町長など首長・町議会議長などの態度だ。特に双葉や大熊町の町長だ。二〇〇六年一月に原子炉給水系流量計データの偽造が発覚すると偽造は復水系にも及んでいたことが露見した。この時彼らは口を揃えて「東京電力にだまされた」と言いながら、プルサーマル凍結解除に向けて県に対して要請を行うなどの策動を繰り返した。またある時には県に対して、福島原発の増設を要求する決議までも行ってきた。今回も「だまされた」と繰り返しながら「補償に一寸イロを付けさせて」住民を説得しようとして来るのは明白だ。聞く所によると中間処理施設の建設は反対だ、と言いながら裏では政府と東電に中間処理施設や関連施設の敷地に自分の土地を売りつけようとしている噂まである。本当かどうかは別として彼らならやりかねない。
 いわきの一般ゴミ焼却灰の放射線量が上がっている。市民が一般ゴミとして自分の庭で出た。雑草や枝木を可燃ゴミとして捨てているからだ。市はこの焼却灰を政府の暫定指針に従って、最終処分場に埋め立て処分する方針だ。一〇月にいわき市の最終処分場がある地域の住民に対して日本弁護士連合会が聞き取り調査に入った。ここで地域住民と調査に入った弁護士との間で論争になった。住民は従来の規制値を守れ。規制値を超える放射能ゴミは東電に持ってけ、と主張し、弁護士は放射能で汚染された物質の移動には反対だ、と主張した。今儲けているのは、土建屋などのにわか除染屋だ。これらの元請けはゼネコンだ。除染ビジネスを行っている。東芝とか原発を作った企業が除染で儲けている。ゴミは除染を続ける限り無限だ。

除染と補償を
取り引きするな

D:会津やいわきに避難した人をまわってみて、仕事のないことが一番の底にある問題だということが分かった。私は農業を長い間やってきたので仮設にいる限り仕事はできないし、仮設に居られる期間は二年間です。帰れないのは明らかなのですから、どっかに移住し、そこで定住し再び農業を始めようと考えない限り次の生活の展望は持てない。
 近頃、町の風潮で「仕事、仕事」というと「除染だ」という言葉が返ってくる。除染して帰れる所や住める所はいいが、大熊町の多くの地区は無理。帰れないという状況が変わらないのに「除染」となるとそれはまるっきり、東電と結びついた新たな「仕事」という側面だけが浮かび上がる。そうすればこれを仕事にして身体をこわす人も出てくる可能性はあるし、これを原発の仕事の代わりにして新たな日銭稼ぎになりかねない危険もある。
 先日農協の理事の会議で東京に行ってきたのですが、吉野正芳という自民党の議員がおもしろい話をしていました。福島のコメは売れないが、「汚染米をどんどん作ってもらう。売れない程度の汚染米でも今の技術でバイオエネルギーに出来る。そうなれば、ちょっとかもしれないが次の局面への風穴が開くと思う」と発言していた。もう一つは私たちの仲間の中で話題になっているのだが、線量が低いがすぐには住めない所に、新エネルギー開発基地を作ったり、放射線関係の研究所を作り、そこに避難民を雇い雇用を確保していくようなことを考えるべきだ。そうすれば何分の一であっても労働力を吸収できる。県の構想の中にもそれと近いものがあるらしい。どんどん声をあげキャンペーンすべきだ。

K (全港湾小名浜支部):
 私の方からも除染について一言。除染は一面では住民の要求、意思という側面はあるが、損害賠償をあいまいにしたり、先送りしている面もある。とくに緊急避難地域では後者の側面が強い。ある弁護士が言っていたことですが、「除染によって一時住むことができても、長期は考えられない。まして近くの林や山が除染されておらず、除染した土が青いシートをかぶって近くに置かれている中では危険すぎる」と。
 職を奪われたんだから収入を保障せよ、家を失ったのだから住居を保障しろ、そして教育を保障しろ、これを前面に掲げるべきだ。住民の側も安易に除染ばかりに乗っていたら、行き詰ってしまう。とくに仕事を奪われた人には仕事を作ることと国の失業対策手当てで十二分に補償させるということが重要だ。ありもしない「帰れる」ということで補償をあいまいにさせるべきではない。共産党や社民党にも申し入れているが補償をきっちりやらせること、そして一〇年後でも二〇年後でも帰れるように東電と政府はあらゆる側面で努力するのは当然だという立場に立つべきだ。「戻りたい、帰りたい」という大事な気持ちを利用させない闘いが必要だ。
       (つづく)


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