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2012年2月22日 09時00分
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人日本原子力研究開発機構(原子力機構、本部・茨城県東海村)が福島第1原発事故後の2011年4〜11月の8カ月間に発注した業務のうち、714件、金額にして277億円分を機構OBの再就職した29企業・団体が受注していた。本紙の取材で分かった。
原子力機構の運営費の大半は国の交付金。福島事故を受け、不透明な原発マネーに批判が出ていたにもかかわらず、多額の税金を「ファミリー企業」に流していた。
公表資料によると、29社・団体は11年4月時点で機構出身者78人が役員に就いていた。原子力機構が11年4〜11月に発注した工事、施設管理など研究以外の業務の合計は3400件、818億円で、これらの企業・団体は件数で20%、金額ベースで34%を受注していた。
最も受注件数が多かったのは、OBが歴代社長を占めるNESI(茨城県ひたちなか市)。サーバーのソフトウエア更新や高速炉の炉心特性解析など75件、22億4千万円を受注した。
受注額で最多だったのはナスカ(同県東海村)。随意契約で施設の警備業務3件を受注し、契約金額は33億3千万円に上った。少なくとも15年前から機構OBが社長を務め、08年度には総売り上げの97%が原子力機構の仕事だった。
国から機構には11年度、運営費などで1740億円が交付された。交付金の半分以上は、販売電力に応じて各電力会社に課税される電源開発促進税が原資。促進税は電気料金に上乗せされ、最終的には消費者が1世帯あたり平均で月額110円を負担している。
原子力機構をめぐっては09年、勤務実態のない機構OBの役員に給与を支払っていたとして、再就職先の企業が国税当局から所得隠しを指摘された。国会などでも契約の不透明さが批判され、機構は随意契約を大幅に減らしたが、その後も関係の深い企業や団体と多額の取引を続けていたことになる。
原子力機構の担当者は「契約の大半は競争入札で企業努力の結果。透明性、公平性に問題はない」と話している。
【日本原子力研究開発機構】 原子力に関する研究や技術開発をする独立行政法人。国の特殊法人改革の一環で、2005年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して発足した。理事9人のうち3人が原発を推進する文部科学省と経済産業省の元幹部。昨年11月の政府の政策仕分けで、OBが再就職した民間企業との不透明な取引や保有する保養所、PR施設のむだ遣いなどが指摘され、12年度は関連予算が前年度比2割減の見込み。福島第1原発事故を受け、政府は夏までに、もんじゅを含めた核燃料サイクルの是非を決める方針だ。
(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012022290090045.html
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