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風知草:東電、どう変える?=山田孝男
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/
毎日新聞 2012年2月20日 東京朝刊
枝野幸男経済産業相(47)が東京電力に「経営権を渡しなさい」と迫り、東電の西沢俊夫社長(60)が「民間のままが望ましい」と粘っている。国家権力による強制的改革か、自主的改革かという攻防だが、東電の分が悪いと私は思う。
興味深い逸話がある。
日経新聞1月22日朝刊(東京版)の1面トップは「スマートメーター/東電、1700万世帯に導入/ほぼ全家庭に」というニュースだった。
スマートメーター(smartmeter)はデジタル式の電力メーターである。使用量の累計を示すだけの従来のアナログ式と違い、どれくらい使っているか、利用者は常にチェックし、制御できる。検針員もいらない。省エネと経営コスト削減の切り札になると言われている。
その導入計画は、東電が来月まとめる総合特別事業計画の目玉の一つである。注目の論点はスマートメーターをどこから調達するかだった。
東電の原案は系列企業から1台2万〜3万円の特注機器を300万台調達するというものだった。海外メーカーの標準は1台1万円程度(米、独、カナダが先行)なのに。
そこで「原子力損害賠償支援機構」が動いた。これは破綻しかけた東電をバックアップする官民合同組織。東電から見れば占領軍のような存在だ。東電の国有化を探る立場は経産相と同じ。この機構が、ファミリー企業優先の「東電ムラ」感覚の原案を差し止め、国際入札方式に修正した。日経は経緯も含めて修正案を伝えた。
修正の経緯を知る関係者によれば、東電が原案を機構に示したのは昨年11月末か12月初めのこと。それも「あさって発表します」という切羽詰まった通告だった。機構側が「どういうことだ」と反発、激しいやりとりになったという。
デジタル化は便利だが、システムは脆弱(ぜいじゃく)になる。検針員や系列企業の社員の雇用に無慈悲でいいということはない。課題は残るが、旧弊を破る挑戦、惰性を断ち切る努力を軽く見るべきではない。それが、癒着とたるみを背景に起きた原発事故の教訓ではなかったか。
総合特別事業計画の策定と引き換えに政府は東電に1兆円出資する。経産相が東電社長を見据え、出資に見合う議決権をくれなければ「私がこの任にある限り(計画を)認定するつもりは全くありません」とタンカを切った(13日)。
出資に見合うレベルとは株主総会の議決権の3分の2超。それを握れば、政府は東電の事業を再編できる。今は一体の発電と送電を別々に営むこと(発送電分離)もできる。
それで経済が活性化するという期待と、電力供給が不安定化して逆に経済基盤を壊すという批判がある。政府は分離を目指すのか。渦中の政府関係者に聞くと、こう答えた。
「教条主義的な発送電分離論に関心はない。原発増設で設備投資が急伸した高度成長の体制を見直し、原発新設ゼロと節電の時代に合う体制に変えることが基本。旗振り役のトップは社外から迎えたい」
無給で奮闘の西沢社長には頭が下がるが、体制内改革の限界は既に明らかだ。
財務省は3分の2の議決権掌握に反対だ。握れば財政負担を迫られるから。「増税」一点突破主義の首相は東電改革に関心が薄い。それが現実だが、経産相にメゲてもらっては困る。政治主導に期待する。(敬称略)
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