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チェルノブイリ事故25年「見えない敵」が今問いかける“見えない敵”(“福島のいま”が投げかけるもの)関口博之
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/242.html
投稿者 msehi 日時 2012 年 2 月 20 日 06:20:40: MaTW.8vfzXWdQ
 

投稿者msehi関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/

ドイツのドキュメンタリー作家が制作した「見えない敵The Inbisible Thief」(注1動画)は世界の人々の心を打つ秀作フィルムであり、NHKのチェルノブイリ25年の三部作(注2)の一つとして、福島原発事故後昨年5月に放映された。
現在の日本人は日々の暮らしのなかで、“見えない敵”である放射能と戦っている。
しかしこの作品は“見えない敵”を放射能に標的を絞っているわけではなく、原題「見えない強盗」が示すように、何十万人もの命を奪い、そして現在も何百万人もの命を奪いつつある“見えない敵”に向けられている。
フィルムは、ドキュメンタリー作家自らの放射線被ばくに関与する癌で亡くなった妻への哀悼から始まり、チェルノブイリ原発事故の処理に当たった八十万人の兵士の一人である青年画家が筋肉、神経、そして脳が蝕まれていくなかで、彼の苦悶の訴えを通して迫真に迫っていた。
そこでは、元プラウダの編集者の「当局も放射線の危険性を認識していたはずだ」といった伏線で、放射線被ばくにイノセントな純真な兵士たちの健全な体と心を奪った国家という“見えない敵”を浮かび上がらせている。
しかし登場人物は誰一人、名指しで国家を非難しない。
亡くなった青年画家の母親の「チェルノブイリは一言で言って、この国の恥です。兵士たちは全てを犠牲にしてあそこに行ったのですから、少なくとも人並みの生活は補償されるべきです。病気が治せるように医療面の援助をすることは当然のことなのに、何一つ行われませんでした」という押し殺した無念の言葉は、見る側の心に痛く突き刺さる。
そのような無念の言葉しか選べなかった背後に、本当の“見えない敵”を感ぜずにはいられない。
何故なら初め事故処理に当たった兵士を国民の英雄として厚遇した国家は、財政が厳しくなると、兵士を含めてチェルノブイリ事故被ばくによる被害者たちを厄介者として無視し、補償を求める人たちを国民のお金にタカル者として冷ややかに見下す風潮を作り上げたからだ。
かつて日本においても男子の本懐として、お国のために死ぬことが望まれる時代があった。
息子をお国のために捧げることを求めらた母親与謝野晶子は、「戦争のために息子を育ててきたのではない」と拒否することが出来ないことから、「君死にたまうことなかれ」と詠んだ。
また今年1月に放映された日テレ「NNNドキュメント'11・放射線を浴びたX年後ビキニ水爆実験、そして・・」(注3)では、60年近く前の被ばくで既にほとんどの船員たちが被ばくも認められず癌で亡くなっていた無念さのなかで、亡くなった船長の妻は次のように訴えていた。
「漁協は被ばくしたことを公にされると、漁協が成り立たず魚も売れない。そうすると何十隻も漁船を抱えているから、地域も成り立たず経済も・・・。補償してもらう事よりも、今日明日の生活をどう守るかという事の方が先じゃなかったんですか」
「補償のことを口に出して言いでもしたら、船に乗れない時代でした」
「いつの時代も、弱いものにしわ寄せがくる。いつの時代も一緒。いつの時代も一緒や!」
その言葉が今も、私の心に突き刺さっている。

そして今、福島原発事故でも同じことが起こりつつある。
「放射能は恐くない」、「不都合はすべてなかったことにする」といった風潮だけでなく、「福島に漂う逃げることを許されない空気(注4)」、すなわち翼賛的な絆が形成され始めている。
それは「福島はいま、どうなっているのか」の講演(注5)を見れば、一層深刻なことがわかるだろう。
明らかに強者のための国家の巻き返しが始まっており、このまま見過ごせば、チェルノブイリ事故の悲劇がその教訓も全く生かされずに繰り返されることになる。
何故ならそこには、“見えない敵”が大きく立ちはだかっているからだ。
国民の多くは労働者であれ教員であれ組織に属しており、今や組織こそが電力総連に象徴されるように御用化され、国家を代弁して“見えない敵”として立ちはだかっている。
そこでは自由に発言すれば、たとえそれが正論であっても、組織利益が優先され非難されかねない。
それでも立ち向かえば、合法的にあらゆるやり方で制裁を受けるのが世の常とさえなっている。
それを変えていくためには、組織に属する人たちが一人の人間として“電力会社のやらせメール”を内部告発したように、“見えない敵”と賢く戦っていかなくてはならないだろう。

いま私たちは岐路に立っている。
フクシマを未来に生かし脱原発の希望を掴み取るのか、核燃料サイクル再開、原発再稼動によって破滅へと突き進むのか。


(注1)見えない敵
動画http://v.youku.com/v_show/id_XMjc0NzY4MTY4.html

(注2)被曝(ひばく)の 森はいま
動画http://vimeo.com/user3036323/videos/page:5/sort:newest

    永遠のチェルノブイリ
動画http://v.youku.com/v_show/id_XMjc0Njg1NTI4.html

(注3)「NNN ドキュメント'11・放射線を浴びたX年後 ビキニ水爆実験、そして・・」
動画http://www.dailymotion.com/video/xo5uvc_20120129-yyyyyyyyyy-yyyyyyy-yyy_news

(注4)こんな「絆」はいらない
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34462

(注5)第4回「福島はいま、どうなっているのか」 中手 聖一講演
動画http://www.ustream.tv/recorded/19820683  

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コメント
 
01. 2012年2月20日 07:09:12 : 3aGqPmaL4s

<爪検査結果>大阪の4歳児からセシウム、ウランが基準値越えで出ました。
http://ameblo.jp/mashiroryo/entry-11167377608.html


02. 2012年2月20日 07:15:33 : ZbEkMfgIXY
現在の政治状況をこれ以上ない正確さと厳しさで見つめる
簡潔な整理が、記事作者の真摯な知性を浮き彫りにする。
動画資料も適切で、手際がいい。見事です。
敢えて付けくわえるなら、やはりヤブロコフのチェルノブイリ本、それから
ECRR2007、とくにその付録部分、事故後二十年後依然としてある
ベラルーシにおける子どもの内部被曝分析資料です。人々が空間線量率に騙されず
内部被曝から身を守るにはあの資料を何度となく確認し立ち返らなくてはならない。
はじめは半信半疑であっても。

03. 2012年2月20日 09:04:11 : d1INYqu1to

「これはひどい」 〜福島にて疎開・避難を阻害する”安全デマ”チラシが配布されている模様〜

( http://blog.goo.ne.jp/tarutaru22/e/7119109a9f0dfe76f5194b6415ed21e2 )


04. 2012年2月20日 10:07:12 : Wb3Tcvboz6
ゲテモノ国策・原発推進事業の中身

公的組織犯罪団体支援予算請求
国立大学公的詐欺集団支援体制
原発安全触れ込み詐欺協賛報道
公的反社会的集団天下官僚支援
公的反社会的国策企業体随意契約
公的反社会的集団丸投復興対策費
公的資金垂れ流し体制
原発汚染垂れ流し続行体制
原発温泉垂れ流し・源泉掛け流し隠蔽工作事業


05. 2012年2月20日 17:11:16 : xSwjkNHDKg
03さん
見ました
特に『健康診断を受けて安心しましょう』には、開いた口が塞がりません
健康診断は、わずかな変化をも見つけて、予防的対策をするのが目的で行うことで意味があるものです
一体誰がこの文章を書いたのでしょう 医療従事者が書いたとはとても思えません

06. msehi 2012年2月20日 21:32:12 : MaTW.8vfzXWdQ : CxL4Lyrs2A
02さん
コメント有難うございました。
01さん、03さん
貴重な情報有難うございました。

07. 2012年2月20日 23:07:42 : 3jiRwkQvtc
被爆の森はいまを見ました。
恐ろしい内容です。
一見、被曝地も豊かな森になった。
という内容で、昔なら自然ってすごいな〜くらいの
感想だったかもしれません。
豊かな森の実態は、
人が逃げた後、残された自然は一度絶滅し、
線量が落ち着いた後、周囲から流入したものと
推測しています。
日本で残されたのは・・・。

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