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桜井淳(さくらいきよし)氏は、元原子力安全解析所副主任解析員として、原子炉の安全解析に従事して来た原子力の専門家です。
桜井氏は、かつて、広瀬隆氏をはじめとする反原発派の論客を『諸君!』誌上等で厳しく批判した事も有る様に、反原発活動家などではありません。それどころか、物理学者(理学博士)として、日本の原子力行政の中で、安全解析と言ふ実務に従事して来た人物です。
その桜井氏が、近著『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)の中で、福島第一原発の事故に触れて、日本の原発の安全審査について書いておられる事を以下に御紹介したいと思ひます。
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桜井「今回の事故は、多くの人がマグニチュード9という想定外の大きな地震が起こって、なおかつ想定外の大きな津波によって起こった事故だ、と言う。だから、事故の原因は「神の領域だ」と言う人がいるかも知れない。しかし私は、今回の事故はけっしてそういうものじゃないと思いましたね。」
●−−はい。
桜井「やっぱり日本は安全基準が甘いんです。電力会社が原発を作りやすい条件で安全審査がなされている。あまり安全審査を厳しくしたり、あるいは日本の原子力を安全規制を厳しくしたり、いってみれば電力会社の首を絞めるようなことをしたら、そういう人間は安全審査委員会の委員になれない。原子力安全委員会の委員にもなれないわけ。みんなそれに協力できる人間しか、委員会に入れないわけですよ。だから、間違っても私のところに依頼はこない、本当のことを言っちゃうから。」
●−−ハハハハ。
桜井「結局、そういう中で日本の原子力発電の安全審査が行われているんです。私は原子力を安全解析所で安全審査の裏側を見てきた一人ですから、そのことがよくわかるわけです。安全審査の制度は確かに立派なんだけど、実際の運用の仕方がうまくない。いま流行の言葉で言えば「八百長体質」なんです。審査になってないわけですよ。ですからマクロに見た場合、安全審査の欠陥というものがあるかぎりにおいては、今回の事故は地震や津波のせいにするというのは、あまりにも「逃げ」だと思うんですよね。やはり安全審査をきちんとやって、考えられることをすべてやった上で、もしこういうことが起こったというのであれば、私は残余のリスクか、天災とでも言ってもいいと思いますけど、そうじゃない。今回のことは、私はエンジニアリングな方法で、しかもその安全審査をきちんとしていれば、安全にことは収束できたと思っています。」
(桜井淳『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)69〜71ページ)
桜井淳[SAKURAI Kiyoshi]
1946年群馬生まれ。1971年東京理科大学大学院理学研究科修了。2006年東京大学大学院文化研究科広域科学専攻研究生修了(科学技術社会論で博士論文作成中)。2009年4月から東京大学大学院人文社会系研究科で「ユダヤ思想」や「宗教学」の研究中。2009年9月から茨城新聞社客員論説委員兼務中。物理学者(理学博士)・社会学者(博士論文作成中)・技術評論家(元日本原子力研究開発機構研究員(1976年7月〜84年6月。原子炉物理学および核燃料サイクル施設安全解析)。元原子力安全解析所副主任解析員(1984年7月〜88年3月。原子力発電所の安全解析)。元日本原子力産業会議非常勤嘱託(1988年7月〜89年6月。日本の技術力調査))。著書[桜井淳著作集]など単独著書26冊(単独著書・共著・編著・監修・翻訳など48冊)。現在、自然科学と人文科学の分野を中心とした評論活動に専念。
(桜井淳『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)に書かれた著者略歴)
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繰り返して言ひますが、桜井氏は、反原発運動家などではありません。それどころか、日本の原子力行政の中で、安全解析と言ふ極めて専門的な仕事を行なって来た実務家です。その桜井氏が、こう言って、日本の原発の安全審査がいかにいい加減であったか、そして、今回の福島第一原発の事故は、そのいい加減な安全審査によってもたらされた部分が大きいと、断じて居るのです。
この同じ本の中で、桜井氏は、更にこう述べます。
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桜井「軽水炉の根源的な危険性はどこにあるかというと、経済性を上げるために非常にコンパクトにしすぎたことが一つ。さらには炉心の出力密度を高くしたために、結局、崩壊熱も多くなったことです。そのため運転中にしろ、停止中にしろ、この発熱と冷却のバランスがちょっとでも狂うと、燃料が一気に破損したり、溶融したり、もっと進めばメルトダウンになってしまう可能性が高いということですね。そういうことで、軽水炉のことを綱渡り技術とかですね、いろいろそういうふうな揶揄するような言い方をするわけです。はっきり言って、軽水炉の場合、すべての安全系が正常に機能して適切な処置をしないと、実は最も早い場合は数十分、遅くとも二、三時間でメルトダウンになるくらいのきわどい技術なんです。」
(桜井淳『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)52ページ)
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桜井「加圧水型にしても、沸騰水型にしても、軽水炉の最大の特徴は使い慣れた水を使っていることです。濃縮ウランを使うことによって、非常にコンパクトで高性能、いわゆる商業炉としての経済性を徹底的に追究するようなかたちに仕上げることができたんですね。しかし、性能がいい半面、運転中であろうが、停止中であろうが、発熱と冷却のバランスが崩れると、いっきに炉心溶融に結びつく。だから、高い信頼性を持つ安全系を備え人間が注意深く運転管理し続けなければならないわけです。しかもなおかつ、事故時にはすべての安全系が正常に働けばうまく収束できるけれども、そうでなかったら大事故に陥るという・・・」
−−高いリスクがあるということでしたね。
桜井「そういうことです。(後略)」
(桜井淳『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)126〜127ページ)
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そもそも、軽水炉には、原理的な危険が有ると言ふ事です。
(産経新聞や読売新聞は、こう言ふ事を読者に伝えて来たでしょうか?)
桜井氏は、そして、こう述べます。
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桜井「私は、これまで話してきたような意味で、原研とか、東大の研究者というのは、はっきり言って、もう今後は大きなことは言えないなと思います。彼らは、ある意味では日本の原子力技術の土台を築いてきた人間であって、今日の原子力発電所の管理や安全文化、あるいは安全審査、安全制度など、すべてに渡って非常に大きな影響力と決定権を持ってきたわけです。なのにこういう大きな事故が起こったわけです。
あの地震の後、福島県議会で講演したことがありました。私が軽水炉に対して重大な疑義を投げかけるような発言をしたんです。そのとき会場から自民党のいちばん右側に位置するような方が『それは問題発言ですよ。東大の先生はそういうことを言っていませんでした』と反論されたんですね。『臨界事故が起こったあとは、その東大の先生はそういうことを言っていないでしょう』と言ったら黙りました。(後略)」
(桜井淳『原子力発電は安全ですか?』(論創社・2012年)144〜145ページ)
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頭のいい人も、時には悪い事をする事の一例なのかも知れませんね。
平成24年(2012年)2月16日(木)
西岡昌紀(内科医)
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■原発安全指針に「明らかな誤り」…班目氏が陳謝
(読売新聞 - 02月15日 20:49)
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原発安全指針に「明らかな誤り」…班目氏が陳謝
(読売新聞 - 02月15日 20:49)
東電福島第一原発事故調委員会に参考人として出席した班目春樹・原子力安全委員会委員長(15日午後、国会で)=増田教三撮影
内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は15日、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)に参考人として出席し、原発の津波対策や全電源喪失などに関する国の安全指針について、「瑕疵(かし)があったことは認めざるを得ない。おわび申し上げたい」と陳謝し、指針の抜本的な見直しが必要との認識を示した。
班目氏は従来の指針の問題点に関して、「津波に対して十分な記載がなかったことや、原発の電源喪失は『長時間は考えなくていい』と書くなど、明らかな誤りがあった」と指摘した。
そのうえで、「諸外国で(厳しい安全指針が)検討されている時に、日本ではそこまでやらなくていいという言い訳ばかり時間をかけて、意思決定ができにくいシステムになっている。そのあたりに問題の根っこがあるのではないか」と語り、構造的な問題があるとの認識を示した。
今回は事故調査委にとって初の本格的なヒアリングとなった。班目氏のほか、経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長も参考人として出席し、「(原発事故への)備えができていないままに今回の事故が生じてしまった。規制当局としても問題があった」と述べ、安全対策が不十分だったと認めた。
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