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核燃料サイクル、見切り発車
山根 小雪
2012年2月9日(木)
青森県六ケ所村で、使用済み燃料の再処理試験が再開する。原発事故の究明もエネルギー政策の方向性も待たずにだ。核燃料サイクル、ひいては原発の是非を見極める時が来た。
東京電力・福島第1原子力発電所事故以来、国内の原発は続々と停止。このままいけば、2012年4月下旬に全国54基の原発すべてが停止する。いつ地元自治体が再稼働を容認するのか、政府が原発をエネルギー政策にどう位置づけるのか見えない状況が続く。
そんな中、青森県六ケ所村の使用済み燃料の再処理工場が、実稼働に向けた最終試験の再開の準備を始めた。この工場を運営するのは、電力会社が出資する日本原燃だ。
昨年12月26日、青森県の三村申吾知事は、日本原燃が事故を受けて策定した緊急安全対策を了承。日本原燃は、この了承を受けて試験の再開を決めた。同社は今回の決定を、「震災が起きなければ2011年4月にも再開する予定だった。試験再開の判断は事業者に委ねられている」と説明する。
1月10日には、試験に向けて設備の確認作業を始めた。1月28日現在、設備に不具合が発生しているが、順調にいけば2月にも最終試験が始まる。使用済み燃料から生じる放射線レベルが極めて高い核分裂生成物、いわゆる「死の灰」をガラスで固めた「ガラス固化体」を作る試験だ。ガラス固化体は、地下300m以深へ埋設する「地層処分」することになっている。
使用済み燃料の再処理は、高速増殖炉「もんじゅ」と並ぶ、「核燃料サイクル」の主要工程だ。使用済み燃料を再処理して、ウランとプルトニウムを取り出し、高速増殖炉に投入すれば、半永久的に発電できるという構想。資源を持たない日本にとって核燃料サイクルは、夢の発電方法と言われた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120206/226881/?P=1
18回も竣工延期に見舞われた
核燃料サイクルの実現を目指し、電気事業連合会が六ケ所村に再処理工場の立地を申し入れたのは1984年。当時の計画では、95年に竣工する予定だった。それから28年。再処理工場は相次ぐ試験トラブルに見舞われ、竣工時期を18回も延期。建設コストも当初見込みの7600億円から2兆1930億円に膨れ上がった。
一方で、85年に着工したもんじゅも、相次ぐトラブルに見舞われた。2010年に試験を再開するも、再びトラブル。現在も停止したままだ。政府はもんじゅの試運転に必要な経費を2012年度予算案で大幅に削減した。
技術面での課題に加え、コストも重くのしかかる。電事連はかねて、全国で生じた使用済み燃料の半量を再処理するだけでも18兆8000億円かかると試算していた。国の原子力委員会は、全量再処理すると43兆円かかると試算。2011年11月に原子力委員会が公表した新たな試算によれば、使用済み燃料を再処理するコストは、そのまま最終処分する場合の約2倍に上る。
使用済み燃料は、六ケ所村と各原発の使用済み燃料プールに貯蔵している。その量は2011年3月末時点で約1万6800トン。九州電力玄海原発のように、プールの空き容量が約3年分しかないところもある。
核燃料サイクルは、既に破綻しているように見える。米国などの国々が増殖炉の実用化を断念。フランスと並び再処理を牽引してきた英国は再処理工場の閉鎖を決めた。
政府は今夏にも新たな「エネルギー基本計画」を策定する。原発の位置づけを含めてエネルギー政策を見直し、もんじゅ存廃の結論も出す構え。原子力委員会も核燃料サイクル見直しの議論を始めた。再処理と増殖炉のどちらかが欠けても、核燃料サイクルは意味をなさない。先人の決断を覆すことができるのか。消費税増税以外は眼中になさそうな野田佳彦政権は、答えを出せるのだろうか。
日経ビジネス 2012年2月6日号15ページ
−核燃料サイクル、見切り発車−より
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120206/226881/?P=2
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