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炉内の実態なおつかめず 福島2号機一時80度超 [日経新聞]
東電は説明不足
2012/2/12 21:16
東京電力福島第1原子力発電所2号機の原子炉圧力容器の底部温度が12日午後にセ氏80度を超えたことは、原子炉内の実態が把握できないまま、何とか温度を保とうとしてきた不安定な現状を改めて浮き彫りにした。東電は「温度計が故障した可能性もある」と示唆するが、詳細な根拠は示していない。昨年11月に原子炉内で再臨界が起きたのではないかと疑わせた「再臨界騒動」の時と同じく説明不足の印象は否めない。
昨年末に冷温停止状態を宣言した際の条件は、圧力容器底部温度が100度以下で、新たな放射性物質の外部放出も抑えられている安定状態であることだった。東電は温度計の誤差を20度とみて、80度以下で管理する計画を国に報告していた。
東電は80度以上に温度が上がったことで「運転上の制限を逸脱した」と経済産業省原子力安全・保安院に報告した。冷温停止状態の100度以下という条件は、誤差を考えると満たしていない可能性もある。
ただ東電の危機感は薄いようにみえる。12日の記者会見で松本純一原子力・立地本部長代理は「温度計の故障の可能性がある」と言明したが、故障の詳しい証拠は示さなかった。温度計の故障とわかれば「運転上の制限の逸脱」から元に戻す可能性も示唆した。
圧力容器底部の温度計は「熱電対」と呼ぶ金属製のセンサーで温度を測っている。近くに取り付けた2つの温度計は35度程度で大きな変動はなく、高い値を示しているのは今回の温度計だけだ。
東電は12日午後に原子炉への注水量を増やし毎時17.4トンにしたが、大きな低下にはつながっていない。このため消去法で温度計の故障を疑っているようだ。保安院の森山善範・原子力災害対策監も12日の記者会見で「温度計に異常がある可能性は高い」と認め、「安定な状態は維持されている」と話した。
ただ東電の説明不足は否めない。これまで温度計の値を原子炉の安定の目安としてきたにもかかわらず、温度が80度を超えると急に温度計の故障の可能性を主張するのは唐突な印象を受ける。
昨年11月に2号機の原子炉内から放射性キセノンが検出された際にも、東電は事前に検出を予想しておらず、再臨界の有無を判断するキセノン濃度の基準を試算していなかった。このため東電は急な検出に戸惑い、午前3時半すぎに「核分裂反応が発生している可能性が否定できない」と公表。臨界を防ぐホウ酸水を原子炉に急きょ注入したが、翌日には再臨界の可能性を否定する結果になった。
当時と変わらず、原子炉圧力容器の内部はブラックボックスのまま。放射線量が高くてロボットも近づけず、溶け落ちた核燃料がどこにあるかも分かっていない。
保安院は12日、原子炉の状態把握のあり方を至急検討するよう東電に指示した。異常が起きてから検討を始めるのではなく、リスクを踏まえて計画を立てておくべきだが、まだその状態には至っていないようだ。
(科学技術部 川合智之)
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