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福島市降下物に寄与するフレッシュ原子。2月になってもセシウム134Cs/137Cs比率が 1.0を超えるモノあり。
http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/852.html
投稿者 石井広国 日時 2012 年 2 月 11 日 20:05:07: lgrsLYVwCYBHY
 

福島市降下物の1月2日のセシウム降下量の増大は、地表のホコリが風で舞い込んだせいであろうとの発表が、「福島県災害対策本部(原子力班)」からなされた。
http://www.pref.fukushima.jp/j/koukabutsu-youin0206.pdf

この発表では、1月2日の場合を気象条件の「風速」「水蒸気量」で論じている。が、他の日の気象の「降雪」や「積雪」のある日にさえ降下物が観測される事実例については触れて無い。曜日やセシウムの134Cs/137Cs比率の変動事実などについても、述べられてはいない。あくまで1月2日だけを論じ、ほかの日を含めた風速と水蒸気量でもって断じている。

風で舞い込んだのは、”ホコリ”だが、そのホコリには、何が、付着していたのか。
セシウムだけとは限らない。しかし、それは調べられてはいない。


セシウム134はセシウム137より半減期が短く、早く壊変して減衰するので、セシウム134/セシウム137の比率は、本来だんだんに小さくなるはずだ。この比率が福島市降下物では大きく変動するが、原因はおろかその事実の存在すら書かれてはいない。(この比率の大きな変動は、観測方法が異なるとはいえ高崎CTBTOの観測数値が安定して減衰していることと比較してみるとよくわかるであろう。)


ここでは、降下物に付着したセシウムの「大元締め」に”出向いて”、もともと一体どういうセシウム比率であったのか、その”お膝元”で、ドウであるのか、を考えてみた。そして今、散らばった先でドウであったドウであるのか。

四基も爆発させたのだから、四基の原子炉事故だ。原因や動向を考えるためには、平均値をとって混ぜての「十把一からげ」、「四基一緒くた」では大雑把すぎるだろう。それぞれ違うかたちで爆発したのだから、原因も結果も違うだろう。放射能に色も指紋も無いが、尻尾は掴めないだろうか。

セシウム134の高い濃度は何処から来るのか。今回はフクイチ蒸気との関係を考えてみた。溶融逸脱の核燃料は今はどうしているだろうか。降下物への影響は如何にあるのだろうか?


(瓦礫焼却によって、主灰→飛灰→排ガス と濃くなる「濃縮」が起きていることは環境省実証試験の結果から明らかだ。
http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/712.html 
 もし「濃縮」されてできた排ガスがホコリに付着すれば、セシウム134/137比率は高くなるはずだ。)


==================================
3月15日ごろと3月21日ごろに放射能の大放出と汚染が関東へも飛散したといわれている。その時の比率はどうだったのか。


高崎CTBTO観測では、2011年3月12日と、15日、だけが、134Cs/137Cs比率が1を超えて
1.25 と 1.23 だった。
http://www.cpdnp.jp/pdf/120207Takasaki_report_Feb4.pdf


高崎と異なり、日本分析センター千葉本部「大気浮遊じん」( Bq/m^3)では3月15日ではなく、17日が比率1.01だそうだ。

他方、日本分析センターの「降下物」(Bq/km^2)の場合では3月15日の比率は 0.94 である。
大気浮遊じんの場合よりも比率が1.0を超える日が多い。「大気浮遊じん」(Bq/cm^3)と「降下物」(Bq/km^2)とで異なるのは、粒子の大きさや収集の仕方が関与しているかもしれないが不明だ。
http://www.jcac.or.jp/lib/senryo_lib/taiki_kouka_back.pdf

東京都の水道では2011年3月21日、22日(約1.1)、4月4日、6日(1.38)、7日、にセシウム134の比率の高い放射能が出現していた。http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/w-past_data.html

つくばKEKではセシウム134/137の比率が1.0以上の検出日のほうが多い。5月までで1.0を下まわったのはわずかに3月24・25日と5月28・30日だけである。8月3日でさえ比率は1.0であった。
http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Release/20110930173000/
http://www.kek.jp/ja/Research/ARL/RSC/Radmonitor/

なぜ、つくばKEKで観測すると比率が1.0を上回る日が多いのか不明だ。
====================================


<< セシウム134の比率が高い本拠地は、2号機の核燃量か? >>

❶ 2号機だけが、セシウムCs134/Cs137比率で1.0を超えていたのか!?
3月の建屋溜まり水の比率

A.................
....................
核号機T/B建屋地下溜まり水  2011/3/27
http://www.meti.go.jp/press/20110327001/20110327001-4.pdf
セシウム134と137だけを、考える。


セシウム Cs134 Cs137 Cs134/137*100
1号機 120000 130000 92
2号機 2300000 2300000 100
3号機 55000 56000 98
4号機 31 32 97

(Cs137再掲)
セシウム Cs137
1号機 130000
2号機 2300000
3号機 56000
4号機 32
(Cs134/Cs137 比率、再掲)
セシウム Cs134/137*100
1号機 92
2号機 100
3号機 98
4号機 97


【 2号機でだけ Cs134/Cs137 比率が 1.0 であった 】
2号機溜まり水では、量も桁違いに多いだけでなく、セシウム134が相対的に多かった。

B.......................
........................
これ
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110327o.pdf 
の、セシウム134と137だけを、ここでは、考える。

2011年の3月27日 の「再採取」では

Cs134が3100000  Bq/cm^3
Cs137が3000000 Bq/cm^3

 

 

 
であったそうだ。

セシウム134のほうが多かったのだ。  2号機でだけ。

【 Cs134/137の比率は1.03だ。】

微量ではなく大量の放射能を測定した場合なので、誤差ではなく実際にそうであっただろう。


 
C.………………………
この1.0の比率のこの水が、3月27日の0.888年後の今年2月11日ごろには壊変し減衰して、いったいどのくらいの比率に低下しているであろうか。
http://keisan.casio.jp/has10/SpecExec.cgi?id=system/2006/1300878071 で計算してみた。
Cs134とCs137の0.888年後
2月11日 0.758
約0.76くらいだ。比率の減衰後の現在の上限付近の理論値だろう。

なぜ、2号機でだけ比率が1.0を超えていたのだろうか。
2号機での比率が高いのは、3月だけではなかった。
 


 

 
==========================


❷ 2011年11月1日になっても、2号機の吹飛びパネル孔で出てくる蒸気は比率は1.0超だった!

( 括弧【】内は、投稿者が加えたものです。)
(pdfに採取時の写真等あり)

...............................

 <参考資料 B>原子炉建屋上部

平成23年11月26日

東京電力株式会社福島第一原子力発電所
1〜3号機
原子炉建屋からの現状の放射性物質放出量の評価方法

1号機原子炉建屋上部における空気中 放射性物質の核種分析結果
平成23年11月4日
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111126_01-j.pdf

1 号機原子炉建屋上部@
(機器ハッチ開口部4階付近
Cs134_ 1.4E-04
Cs137_ 2.0E-04

【 Cs123/Cs137比_ 0.7 】

2号機原子炉建屋上部における空気中放射性物質の核種分析結果(参考)
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_111126_01-j.pdf

2号機原子炉建屋上部@
(ブローアウトパネル中央西向) 2号機原子炉建屋上部A
( ブロ ーア ウトパ ネル 中央 北向 ) 2号機 原子 炉建 屋上 部B
(ブローアウトパネル下部)
【@AB3ヶ所とも】平成23年11月 1日11時23分〜13時23分
Cs-134_ 1.5E-05_ 1.8E-05_ 8.4E-06
Cs-137_ 1.7E-05_ 1.9E-05_ 7.3E-06
【比Cs134/137_ 0.88_ 0.95__ 1.15】


【再掲】

2号機原子炉建屋上部における空気中放射性物質の核種分析結果
2号機 原子 炉建 屋上 部B
(ブローアウトパネル下部)

平成23年11月 1日
Cs134 8.4E-06
Cs137 7.3E-06

【 Cs123/Cs137比_ 1.15 】

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
2号機では同じ穴から出てくる蒸気でも、そのセシウム134/137比率が違っているのだった。
これは何を意味するのか。
????????????????????????????????????????????????


3号機
原子炉建屋上部における空気中放射性物質の核種分析結果
平成23年11月10日03
3号機原子炉建屋上部D (原子炉上北東側(下方向))
3号機原子炉建屋上部E(原子炉上北東側(横方向)
3号機原子炉建屋上部F (原子炉上南東側(下方向)
3号機原子炉建屋上部G(原子炉上南東側(横方向)

3号機上部_ D_ E_ F_ G_
Cs-134_ 4.2E-03_ 1.8E-03_ 6.1E-04_ 3.5E-04
Cs-137_ 5.0E-03_ 2.3E-03_ 7.3E-04_ 4.5E-04

【 Cs123/Cs137比_ D0.86_ E0.78_ F0.84_ G0.78 】


【同資料末のおまけ
1〜4号機の風下で計測した場合。11月11日】
 
 

(海上で、風下の時に採取)
放出源(原子炉建屋)に対して採取点が風
下となる風向の場合に採取
沖合約2km程度の1〜3号機の風下側の点で,
調査船により空気中放射性物質濃度測定 ダスト濃度(最大値 11/11採取)
Cs-134_ 3.2E-8_ Bq/cm3
Cs-137_ 3.2E-8_ Bq/cm3

【 Cs123/Cs137比_ 1.00 】

……………………………………………
風下で測ったら、1号機、3号機の値よりも高くなったということだ。もちろん誤差の問題もあろうが、その時々のどの号機のダストや蒸気やの“パワー“の違いだろうか?
それとも各号機での計測対象とならなかった別の所から、比率を1.0にまで引き上げる猛烈な吐息が風下の海上に流れていったのだろうか。






............................
以上のように
11月になっても、2号機から出る蒸気には比率1.0を超過するモノが存在したらしい。

《 セシウム134の、3月の分だけ 》が存在するならば、すでに壊変して弱まり、比率はもっと小さくなっているはずだ。  なぜ、11月になっても、セシウム134がたくさん存在するのだろうか。


 
セシウム134は、ほとんど原子炉内でしか出来ないが、核分裂でいきなり直接生成するのではないといわれている。ウランやプルトニウムが核分裂した時に出来るセシウム133が、原子炉内の飛び交う熱中性子をバーンと喰らってセシウム134になるのだそうだ。セシウム133が多く出来るほど、中性子をたくさん喰らうほど、セシウム134が多くなるということだろうか。それが漏れ出した後、壊変して放射能は減衰する。半減期約2.065年だそうだ。


11月になっても、なぜ3月と同じような比率が、2号機では観測されるのか。

===========================
❸ 今年の2月6日になってもセシウム134Cs/137Csの比率が高い場所があった。
海に流れ込んで、比率が 1.0 を超えている。


http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/intake_canal_120207-j.pdf
2月6日 「物揚場前海水」(Bq/L) 134/137Cs比 1.0
2月6日 「1〜4号機取水口内南側海水」(Bq/L)比 1.1
……………………………
2月6日(Bq/L) 物揚場前海水 1号機スクリーン海水(シルトフェンス外側) 1号機スクリーン海水(シルトフェンス内側) 2号機スクリーン海水(シルトフェンス外側) 2号機スクリーン海水(シルトフェンス内側) 3号機スクリーン海水(シルトフェンス外側) 3号機スクリーン海水(シルトフェンス内側) 4号機スクリーン海水(シルトフェンス外側) 4号機スクリーン海水(シルトフェンス内側) 1〜4号機取水口内南側海水

Cs134 27 49 61 52 87 78 200 62 84 60
Cs137 26 61 70 67 100 82 250 110 110 53
134/137比 1.038 0.803 0.871 0.776 0.87 0.951 0.8 0.564 0.764 1.132

「物揚場前海水」とは1号機の北東がわにあたる。
「1〜4号機取水口内南側海水」で比率1.1を超えている。かなり高い濃度だ。3・4号機の東側にあたる。そこでだけ比率が高くなる理由はなんだろうか。

===========================
❹ 「取水口内南側海水」では 2月9日 になっても比率が 1.1 であるそうだ。


取水口内南側海水 2月9日
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/images/intake_canal_120210-j.pdf
(データ集約:2/10) 平成24年2月9日
福島第一 港湾内 海水核種分析結果<2/2>
福島第一 1〜4号機 @試料濃度(Bq/L)
取水口内南側海水
Cs-134 55
Cs-137 50
134/137Cs 1.1

【 134/137Cs比率は 1.1 だ。 かなり高い。3月27日の2号機溜まり水以上だ。】

==========================
❺「ケ ー ブ ル 管 路 滴下水」 1月4日に1.08であった。

4号機の南側の 共 用 プ ー ル ダ ク ト(A-A 区間)の溜まり水だそうだ。
(pdfに写真がある)

東電は照明灯設置部から雨水が入ったかもと書いている。が、セシウム134Cs/137Csの比率が随分と異なる。
高い構成比の水は、なぜ今になっても高いのか。なぜ減衰しないのか。いったい何から“流入”した水なのだろうか。比率の高い蒸気から結露したのか?



http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120106e.pdf

表2 水たまりの放射性物質濃度 (Bq/cm3)

調査地点 Cs-134 Cs-137 Cs134/137比
@照明灯設置部の水たまり 1.50E-01 2.10E-01 0.714
Aト レ ン チ 内 溜 まり水 4.20E+03 5.40E+03 0.778
Bケ ー ブ ル 管 路 滴下水 1.30E-01 1.20E-01 1.083

このように、2月になってもどこかから、比率1.0を上回るセシウム134,137が染み出してきているのだ。
どこかから蒸気となって立ち上った時には、これらが大気中の微細なホコリに付着しないだろうか。


===========================


❻ 核燃料ウランかMOXかの別、燃焼出力などとCs134/Cs137の測定された比率との関係については、名大 遠藤知弘先生が発表している。
http://www1.nucl.nagoya-u.ac.jp/lab/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E8%B3%87%E6%96%99/Cs134Cs137%E6%AF%94%E6%B3%95%E3%82%92%E7%94%A8%E3%81%84%E3%81%9F%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AB%E8%A3%85%E8%8D%B7%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E7%A0%B4%E6%90%8D%E7%87%83%E6%96%99%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%87%83%E7%84%BC%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%8E%A8%E5%AE%9Arev0.pdf 

2号機では、測定されたCs134/Cs137比が0.82 〜1.11であることから、燃焼度13900 〜 20200
[MWd/t]であろうと評価したそうだ。 Cs134/Cs137比は1号機で0.79 〜0.92、
3号機で0.92 〜1.00 だそうだ。
「Cs134/Cs137の放射能比は燃料の燃焼度と対応」「燃焼度 vs. Cs134/Cs137比のグラフを作成」「測定されたCs134/Cs137比を燃焼度に換算」「UO2(酸化ウラン燃料)で比較→Cs134/Cs137比は比出力に依存」
(投稿者:ウラン燃料の場合には比出力が高いほどCs134/Cs137比が高くなる。MOXはやや低い。もとPDFのグラフご参照。2号機燃料構成では比出力が高かったと想定)
「同じ比出力で比較→UO2とMOXで差異」「推定された破損燃料の燃焼度は(14000-20000 [MWd/t])」であり、「炉心平均燃焼度より低い理由は、1サイクル照射済燃料(~10000 [MWd/t])が、より多くの割合で損傷したことが原因であると推定される」「1サイクル照射済燃料は可燃性毒物がなくなり、炉内で相対的に高い出力となる → 崩壊熱も高い」「集合体中の可燃性毒物(Gd)(ガドリニウム)が燃え尽きるため1サイクル照射後の燃料は核分裂を起こしやすい」
(投稿者補足:wiki「ガドリニウムは中性子吸収能力が高く、初期状態では反応度を低下させているが、燃焼と共に中性子吸収能力が低下するため、燃料の燃焼に伴なう反応度低下を補うことができる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E5%BA%A6_(%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B) )
「 結論 :炉内で相対的に高い出力となりやすい1サイクル照射済燃料が、より多く損傷したと推定される」

…………………………………………………….
「1サイクル照射後の燃料は核分裂を起こしやすい」
「炉内で相対的に高い出力となる → 崩壊熱も高い」
2号機がそうであったらしいことが、2号機のCs134/Cs137比の高さから論じられた。
2号機はほかの原子炉とちがったセシウム134/137比になる根拠があったということらしい。


==========================================

「ケ ー ブ ル 管 路 滴下水」「物揚場前海水」「取水口内南側海水」などのように、今だに高い比率の箇所があるが、それがどこからやって来たのかは示されていないようだ。どっから来るのか。なぜ減衰しないのか。2号機は11月には比率の高い蒸気を出していたらしいが、今年はどうなのか。

このような高比率の“原子”が現に観測されているいじょう、
現在の福島市降下物には、付着して高空を飛来する現実的可能性があるであろう。瓦礫焼却などの人為的な見掛け上の「濃縮」と相俟って、降下物のセシウム134比率を大きく上下させる一因となっていないか。

 

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コメント
 
01. 2012年4月14日 15:03:13 : ZtHLvFyPoQ
セシウム134でお悩みのようです。セシウム134については、原子炉物理や原子核物理の知識と専用の計算機プログラムがないと、まとまった議論は難しい。

ある組織で、業としてやっているわけではなく、日曜研究者のような感じがしますので、僭越ながらご助言さしあげます。私も日曜研究者です。

セシウム134とセシウム137の放射能比が1を越えていることで、お悩みのようですが、昨年、保安院が発表した数値では、1.15から1.2程度ですから、1を超えていること自体は驚くことではありません。

http://www.meti.go.jp/press/2011/08/20110826010/20110826010-2.pdf

         1号機 2号機 3号機 放出量合計
Cs-134      7.1E+14 1.6E+16 8.2E+14 1.8E+16
Cs-137      5.9E+14 1.4E+16 7.1E+14 1.5E+16
CS-134/Cs-137 1.20 1.14 1.15 1.20

この発表は、セシウム換算で広島原爆の160倍ということで有名になった数値ですから、正確かどうかは別として、訂正されていないので、一般に認識されている数値と思ってよいでしょう。ここから出発しましょう。

仮に、保安院の発表が正しかったとしても、2011年10月頃にはセシウム134とセシウム137の放射能比は、1を切るはずなのに、2011年11月になっても1を越える事例があるということで悩んでいらっしゃるのかと察します。

        1号機 2号機 3号機 放出量合計
2011年6月 1.10 1.05 1.06 1.10
2011年9月 1.01 0.96 0.97 1.01
2011年12月 0.93 0.88 0.89 0.93
2012年3月      0.85 0.81 0.82 0.85

沸騰水型炉の燃料中のセシウム134生成量は、燃焼度(炉内におかれた時間相当)、中性子のエネルギーで決まります。燃焼度とは核分裂数のことで発生した総エネルギーですが、おおまかには炉内に置かれた時間と考えていただいて結構です。

炉内に置かれた期間を知るには、まず、東電のHP

http://aoisora.org/genpatu/2011/tepco_data/20110409151130/atomfuel01-j.html

を見てください。2号機を例に説明します。炉内の燃料体数が548で、1年に1度の定期点検で、1/4づつ取り替えていくことがわかります。

>一度に取り替える燃料体数は、原子炉内の燃料の約1/4です。

と文言があります。1号機から3号機は、2010年の10月ごろに起動していますから、事故時は約半年経過したと考えられます。そうすると、燃料の1/4づつが、0.5年(1サイクル)、1.5年(2サイクル)、2.5年(3サイクル)、3.5年(4サイクル)経過したと考えられます。

次に、中性子エネルギーですが、これも大きく3つに分けられます。沸騰水型炉は、炉心の下から上に向かって、水密度小さくなります。蒸気泡が発生するからです。水密度が小さくなると、中性子が減速しにくいので平均エネルギーが大きくなります。

今、セシウム134の生成量を議論しているので、もう少し細かく見ます。

http://www.jnes.go.jp/content/000005907.pdf
この資料の4-18頁に平衡炉心の燃料配置パターンがあります。
1サイクル 136体  (おおよそ1/4)
2サイクル 128体  (おおよそ1/4)
3サイクル 128体  (おおよそ1/4)
4サイクル 142体  (おおよそ1/4)
5サイクル  14体  (おおよそ1/40)

で2.5%ほど5年目の燃料があることがわかります。これのセシウム134生成量が最も大きいので要注意です。燃料の体数は、()内のおおよその比率で結構です。

これらの燃料の上段、中段、下段でのセシウム134とセシウム137の放射能比をモンテカルロ燃焼計算(ガドリニウムの効果も含む)で求め、まとめると、おおよそ以下の表になります。

1サイクル 2サイクル 3サイクル 4サイクル 5サイクル
上段 0.33 0.82 1.24 1.50 1.65
中段 0.28 0.72 1.11 1.39 1.63
下段 0.25 0.64 1.02 1.30 1.55

このように、燃料集合体とその断面によって、セシウム134の生成量はかなり変わることがわかります。

最小は、1サイクル燃料の下段で0.25、最大は5サイクル燃料の上段で1.65
と数倍の差があります。最大の場合の1.65、5サイクル燃料の上段に由来するセシウムだと、今年の8月までは放射能比は1程度になります。4サイクル燃料と5サイクル燃料から放出されたセシウムであれば、2011年11月になっても1を越えて当然で、1程度ではむしろ小さいくらいです。

各燃料がどこに配置されているかはわかっているので、セシウム134の放射能比から、放出部位も特定できる可能性があります。

ちなみに、セシウム134生成量とガドリニウムはあまり関係ありません。これくらいの粗い時間と空間設定では、ガドリニウムは無視しても問題ないようです。



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