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http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2012/02/20120211s01.htm
「河北新報社」社説より
福島第1原発事故で放出された放射性物質は、野生の動植物にどれくらい取り込まれ、どんな作用をもたらしているのか。生態系への影響の解明を目指す動きが本格化してきた。
米国・サウスカロライナ大を中心に、日本やデンマークの研究者も参加した研究チームが、原発周辺で鳥の数が減少し始めたことなどを確認している。
東京農大は放射性物質が徐々に樹木に浸透することを突き止め、南相馬市のスギの内部から、最大で1キログラム当たり2300ベクレルの放射性セシウムを検出したことを明らかにした。
森林総合研究所(茨城県つくば市)は、福島県川内村のミミズから1キログラム当たり約2万ベクレルのセシウムを検出。放射性物質が付着し、分解された落ち葉を含む土をミミズが食べたため、濃度が上がったとみている。
ミミズは鳥やイノシシなどの餌になる。食物連鎖によって、セシウムが捕食者の体内に蓄積する可能性が高い。生態系の汚染を調べる上で、鍵を握る生物の一つと言えよう。
さまざまな研究が進む中、環境省は野生動植物への影響を把握するため、原発周辺で本格的な調査に着手した。放射線量やセシウムの含有量について長期的にモニタリングを行い、形態・染色体の異常の有無や繁殖にどう影響するかなどを調べる。
同じような調査は1986年のチェルノブイリ原発事故(ウクライナ)でも実施されてきた。多くの報告が行われているものの、生態系全体への影響は解明されていない。
野生動植物への影響調査は事故の全体像を把握し、将来に伝えるためにも不可欠だ。可能な限り詳細なデータを集めるとともに、分析を急がなくてはならない。今後どう対処するべきかの「解答」も、併せて見いだしていく必要がある。
環境省の調査は、原発から半径20キロの警戒区域内と近隣地域の陸域と海域で実施。財団法人自然環境研究センターや放射線医学総合研究所、民間の調査会社と連携して進める。
対象は野ネズミや両生類、ムラサキイガイ、マツ、スギ、ヒノキ、エノコログサなど。国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨する12種類の動植物を参考に選んだ。さらに、対象を増やすことも検討している。
取り込んだセシウムの線量のほか個体数、外部形態や染色体の異常の有無、植物は種子の発芽率などを調査する。線量が高い地点と低い地点でどんな差異が生じるかも調べる方針だ。
環境省によると、チェルノブイリではツバメの外部形態やネズミの染色体異常などが報告されているが、データの有意性への批判もあるという。詳細なデータをより多く集めるとともに、放射線以外の要因がないか、慎重に分析する必要がある。
チェルノブイリと並ぶ人類史上最悪の原発事故だ。環境への影響を明らかにすることは、国の責務と言えよう。内外の研究成果も尊重しつつ、迅速かつ着実に歩を進めてもらいたい。
2012年02月11日土曜日
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