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サウス・カロライナ大学ティモシー・ムソー教授 「第一世代の動物にすでに放射線の負の影響が出始めている」(チェルノブイリからみた福島における鳥の個体数論文概要より)
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2012/02/blog-post_10.html
Friday, February 10, 2012 EX-SKF-JP
先のポストhttp://ex-skf-jp.blogspot.com/2012/02/blog-post_04.htmlで書いたインデペンデント紙とNHK報道の齟齬についてムソー教授に直接問い合わせたところ、すぐに返答を頂きました。
教授によると、福島での調査は昨年の7月に行い、日本側の立教大学、東京大学、長崎大学、福島大学の研究者と共同して行った、とのこと。今年の5月から行う研究は、昨年の研究のフォローアップとして新たに行うものだ、とおっしゃっていました。
7月の研究が今になって発表されることについて、ピアレビュー雑誌の論文掲載にはこれくらいの期間(去年の7月に研究してから今年の2月の論文掲載までの期間)があるのが普通で、科学的根拠(Scientific evidence)となるためにはピアレビュー雑誌に掲載されるのが最低限必要だ、とのこと。
教授が送ってくださった、サウスカロライナ大学チェルノブイリ研究イニシアチブのリンクには、論文の概要が日本語でも記載されていましたので、以下の通りコピーします。(強調は私):
Abundance of birds in Fukushima as judged from Chernobyl
チェルノブイリからみた福島における鳥の個体数
Abstract
概要
福島とチェルノブイリで共通して生息する鳥類の個体数におよぼす放射性物質の影響が今回の研究で比較・検討された。鳥の個体数と放射線量に負の関係が見られたが、福島とチェルノブイリでは重要な違いが見られた。福島とチェルノブイリの2つの地域で共通して見られた14種の鳥類の個体数に放射線量の負の影響が見られたが、両地域間と鳥の種間で放射性物質による影響が異なった。14種の鳥の個体数と放射線量の関係は、チェルノブイリよりも福島でより強い負の関係が見られた。これらより、2011年3月11日の福島での原子力事故から間もない3月から7月の鳥の繁殖期間に、すでに放射線の負の影響が出始めていることが明らかになった。
Summary
まとめ
日本、デンマーク、そしてアメリカから集まった研究者らによる調査で、福島県内の放射性物質による汚染が高い地域で鳥の個体数が減少していることが明らかになりました。立教大学、長崎大学、福島大学、Paris-sud大学、そしてサウスカロライナ大学の研究者らは、2011年7月、福島県内の300に及ぶ地点で鳥の種数と個体数を調査しました。これらの調査地点は、放射性物質の汚染レベルのデータを元に選択されました。放射線量が最も高い地点は、1時間あたり35マイクロシーベルト、最も低い所で1時間あたり0.5マイクロシーベルトでした。それぞれの調査地点での鳥の個体数と種数は、研究者らによる目視と鳥の鳴き声により調査・判別されました。これらのデータは最新の数学的手法と統計学を用いて解析され、放射線量が異なる地域間で鳥の個体数がどう異なるか調べました。その結果、全体的に鳥の個体数は放射線量が高い所でより少なくなることが明らかになりました。研究者らは、福島での調査結果をチェルノブイリでの調査結果と比較しました。その結果、福島とチェルノブイリの両地域で14種の鳥類が共通して見られ、これらの鳥類においては、チェルノブイリより福島の方が、その個体数に強い負の影響をおよぼしていることが明らかになりました。これにより、福島に生息するこれら14種の鳥類は、チェルノブイリで25 年間放射線を浴びている鳥類よりも、より敏感に放射線量に反応していることが推測されました。しかし、両地域で見られる全ての鳥類を比較したところ、放射線量と鳥類の個体数の関係は、福島よりもチェルノブイリでより強い負の関係が見られました。この発見は、ほとんどの鳥類がチェルノブイリの汚染地域からいなくなっていることを示唆しています。全体として今回の研究で明らかになったことは、チェルノブイリと福島での両地域で数多くの共通した結果が見られ、福島では放射線にさらされてから間もない第一世代の動物にすでに放射線の負の影響が出始めている、ということです。この研究は、QIAGEN GmbH(会社)、サミュエル・フリーマン チャリティー基金、フランス国立科学研究センター、そしてアメリカ合衆国サウスカロライナ大学による資金提供によって行われました。
日本語訳:梶田幸江 (Translated by Yukie Kajita, University of Kentucky)
英語を見ると、「第一世代の動物にすでに放射線の負の影響が出始めている、ということです」、とは断言しておらず、"[this research] provides some clues to the effects of exposure to radiation of the early, first generations of animals" つまり、「この研究は、第1世代の動物の放射線被曝の影響を理解するいくばくかの手がかりとなるものである」、程度の軽い記述なのですが、この点について更に教授に伺ったところ、確かに違っており日本語の表現はきつくなっているが、趣旨は日本語のままでよい、とのことでした。
リンクの英語版の概要に載っていた日本人研究者の名前は、
Atsushi Hagiwara, Shin Matsui, Satoe Kasahara, Kencho Kawatsu, Isao Nishiumi, Hiroyuki Suzuki, Keisuke Ueda
の7人。
また、リンク先の英語のイントロに、去年の7月に教授が行った時点での福島の放射線量について言及しているところがあります。ホットスポットで毎時100マイクロを越えた場所があった、とおっしゃっています。
Contamination levels across large areas of the prefecture were higher than expected by the team, with many areas > 10 microsieverts per hour. Several “hot spots” were detected that exceeded 100 microsieverts per hour. And much of the heavily populated areas (e.g. Fukushima City and Koriyama) had areas where levels were in excess of 1 microsieverts per hour (about 9 millisieverts per year), a level that has been shown to negatively influence birds and insects in Chernobyl following 20 years of exposure.
福島県の広い範囲での汚染のレベルは、チームが予想していたよりも高く、毎時10マイクロシーベルトを超える場所も多くあった。ホットスポットのいくつかは毎時100マイクロシーベルトを超えた。福島市、郡山市などの人口の多い地域には、放射線レベルが毎時1マイクロシーベルトを越える場所があった(これは、年間で9ミリシーベルトになる)が、このレベルは20年間の被曝を経験したチェルノブイリで鳥や昆虫に悪影響が出ることが分かっているレベルである。
「科学的根拠」という権威のためとはいえ、このようなことを去年の7月、8月に知っていたら異なった行動を取った福島の住民の方々もいらっしゃるんではないかと思うと、複雑な気持ちです。放射能の影響についての情報、データが出てこないままで避難しない「選択」をされた方々が、本当に選択をするのに必要だった情報の一つではなかったかと思います。
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