http://www.asyura2.com/12/genpatu20/msg/828.html
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福島県の伊達市で同市農業委員会が、福島原発事故によって放射能汚染されたため、耕作を見合わせている農家に対して、「農地として適切に利用されていない」として、「耕すように指導」しているという東京新聞の報道を以下にお知らせします。
「指導」を受けているのは、市内の小野寛さん(51)。事故によって田畑は3マイクロシーベルト毎時の放射線値を示すようになったそうです。そのため、ここで耕作をしても収穫物を食べることはできないと考えて、耕作を断念。さらに被曝を避けるために、それまで植えられていた小麦なども収穫しませんでした。
これは極めて妥当な措置だったと思います。小野さんが懸念したように、放射能汚染された作物を収穫すると、放射性物質が舞い、吸い込んで内部被曝してしまう可能性が強くあります。また土いじりの仕事である農作業は他の様々な面からも、被曝の可能性が高く、汚染地帯での作業は危険性が高いために避けることがのぞましいからです。
汚染された土地から収穫したものは、当然ながら汚染されてしまうため食べられないとの判断も妥当です。それどころか、耕作をせず、とりあえずはそれまで生えていたものもそのままにしておいたほうが、事故が収束した後に、生えているものを刈り取り、土の表面数センチをはぐことで、農地を再生させる可能性が残されるのであって、耕して放射性物質を鋤込むことをしなかったこの判断は、きわめて賢明であったといえます。
むしろ国や県、各自治体の農業対策室は、こうした判断を昨年3月の時点で示し、耕作中止を呼びかけるべきだったのであり、今回の措置は、そうした失策を振り返らないばかりか、自らの被曝を避け、田畑への放射性物質の鋤込を回避して農家に、被災農地での被曝を伴う耕作を強制するものであって、まったく間違っています。
---以下東京新聞記事より------
耕作放棄じゃない 除染待つ間に農地利用促す通知
東京新聞 2012年2月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012020802100006.html
米から国の基準を上回る放射性物質が検出された福島県伊達市で、土壌汚染や被ばくへの懸念から耕作できなかった農家に対し、市農業委員会が田畑を耕作放棄地と扱う通知を出した。「農地として適切に利用されていない」として耕すよう指導。一月中旬に通知を受けた同市の小野寛さん(51)は「耕すと放射性物質が土に混ざる」と困惑している。 (中崎裕)
各自治体の農業委員会は農地法に基づき、年に一度、耕作放棄地を調査。最初の指導通知が届いた時点で耕作放棄地扱いとなり、所有者は原則的に新たな農地取得ができなくなる。同市農業委は今回、二百件ほどの指導通知を出した。
小野さんは二千平方メートルの田畑で米と小麦を栽培。主に自家用だが、一部を販売している。米は、秋から育てたライ麦を刈り倒して雑草などを抑える独自の有機栽培をしてきた。
昨年三月の原発事故で、田畑は毎時三マイクロシーベルトと高い線量が検出された。単純計算で年間二〇ミリシーベルトを超え、政府が避難を促す基準を超える値だ。「作っても食べられない」と判断し田植えをやめた。土ぼこりなどを吸って被ばくする懸念があったため、ライ麦と小麦の収穫もせず、田畑はそのままにしていた。「除染さえできれば耕作するつもりだった。放棄したわけじゃない」。小野さんは農業委員会に通知を取り消すよう求めたが、受け入れられなかった。
農地法には、災害時などは耕作放棄地扱いしないとの規定がある。農林水産省の担当者は「農業委に判断は委ねられるが、一般論として原発事故があった福島なら放射線への懸念は災害にあたるだろう」と説明する。しかし、市農業委は「高線量のホットスポット以外の地域は、放射能への懸念があっても特別扱いはしていない」との見解。一方で、伊達市では農地の除染方法を検討中としてまだ決めていない。
小野さんは「耕作すれば放射性物質が混ざり、自然になくなるのを待つしかない。セシウムは半減期が三十年もあるのに、どうすればいいのか」と力なく語る。
<原発事故による耕作規制> 農林水産省は昨年、避難区域と土壌調査で1キログラム当たり5000ベクレルを超える地域の米の作付けを制限。伊達市は対象外だが、避難区域に近い地域では米から国の暫定規制値(1キログラム当たり500ベクレル)を超えるセシウムが検出された。規制値は1キログラム当たり100ベクレルに引き下げられる見込みで、農水省は今年も作付け制限を検討。除染方法は、表土を地中深くに埋めるなど農水省がいくつか案を示しているが、最終的には自治体が方法を決めることになっている。
----以上、東京新聞より---------
農家を保護するはずの農業委員会が、こうした「指導」を行うことは、農民と、その農民が生産する農産物、更にはその農民が生産する農産物を体内に摂取する私たち日本国民のいのちを軽視する、ひどい話しです。
先日、京都大学農学部の食料・環境経済学科(かっての農林経済学科)の農学原論講座や経営学講座有志主催の「福島第一原発事故と農業」というシンポジウムに、私(諸留)も出席しましたが、
「今回の福島の放射能の汚染はたいしたものではない」
「そもそも、農業経営学や農学原論などの文化系の学問をやっている者には、放射能のことなんか解るはずないから、基準値がどうこうという話題は本日の討議対象から除外します」
・・・などといった、驚くべき発言が、会議の冒頭、司会者の原論講座准教諭の口から、堂々と、飛び出す始末!!農学研究者として失格だなぁ・・と、同大学(かっての同農林経済学科農学原論講座)出身の私(諸留)は、つくづく情けなく、また恥ずかしく思いました。
まさに、『農学栄えて農業滅ぶ』を、地で行くような、こうしたありさま・・・原子力ムラの体質は、原発関連集団だけでなく、農業関連の生産者・農協や農業委員会など各種農業団体・農学者からなる「農業関連ムラ」にも、今回の原発事故の起こるずっと以前からも、広範に根深く巣くっています。
汚染は、また、福島県外にも、全国的規模で拡散するきざしが鮮明になりつつあります。沖縄でも、東京湾でもセシウムが拡散しています。
------以下、あんくるトム工房のURLより--------
http://yaplog.jp/uncle-tom-28/archive/1706
沖縄から、東京湾からセシウム検出
沖縄県は7日、福島県産のまきからは最大で、国の指標値40ベクレル(1キログラム当たり)の約11倍に当たる468ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。別の店では、使用後の灰からも最大で指標値8000ベクレルの約5倍に当たる3万9960ベクレルを検出。
福島県産まきを取り扱っていた飲食店は窯焼きピザを提供するレストラン3店舗と沖縄そば店。レストラン2店舗のまきと使用後の灰から指標値を超えるセシウムが検出された。一方、沖縄そば店は、セシウムが検出されたレストランから、使用後の灰を譲り受け、麺を製造。一部はすでに客へ提供していた。県の検査では、客へ提供する前の麺から258ベクレル(指標値500ベクレル)、灰1260〜8060ベクレルが検出された。灰を調べた3検体のうち、一つで指標値を超えた。
また、東京湾の海底でも、放射性セシウムが深さ20センチ以上の泥まで達していることが近畿大の調査でわかった。地上の土壌では5センチ以内に9割以上とどまるが、海底では逆に深い方が濃くなる場所もあった。 セシウムを含
む海底の泥を食べた生物が、泥の中に排泄(はいせつ)するためとみられる。
山崎教授は昨年8月、東京湾の荒川河口付近の4カ所で海底の泥を掘って調べた結果、放射性セシウムが深さ24〜26センチのところでも確認された。別の場所では12〜14センチでの濃度が最も高かった。セシウムはいずれも東京電力福島第一原発から出たとみられる。
------以上、あんくるトム工房のURLより--------
上の情報とは別に、先日の京都市内で開催された琉球大学の矢ヶ崎克馬教授の報告にも、矢ヶ崎克馬教授自身はまだ未確認の伝聞情報ですが・・とのお断り付きの「未確認情報」として、同じ沖縄本島の、客席百人規模の人気店舗の「焼き魚屋」さんの排気口ダクトから、その周辺店舗の排気口と比べ比較にならない程の高濃度のセシウム汚染も発見されたそうです・・。矢ヶ崎克馬先生自身が、今後、直接計測して、もし事実なら対処せねば・・と語ってました。
また、京都市でも門脇市長が再選当選し、脱原発を一応は表明はしてはいるものの、放射能汚染瓦礫の受け入れ焼却は、受け入れ、実施されそうな気配濃厚になりました。既に大阪市橋下新市長は瓦礫受け入れと焼却後灰の大阪湾投棄も表明しています。
このようにセシウムが 全国的規模でどんどん拡散されています。
しかし、非常に残念なことですが、原発推進派だけでなく、反(または脱)原発の立場で原発に反対している個人や団体の中からでさえ、「こうした非常時、国難だから自治体での瓦礫焼却も当然だ!」という声が上がってきていることです。原発ムラと同様に、ゴミ焼却炉に関する技術的・科学的専門的問題を持ち出し、全国自治体が進んで「東電の尻ぬぐい」をするのは当然だ!式の意見が、一般市民や、反(脱)原発を支援する人たちの間からも、あちこちで聞こえてくる始末です。
自治体が瓦礫焼却を引き受けることが、「本来なら筋違いであり、遺憾であるが、現実論としては、仕方がないから・・」といった「やむを得ない論」を、はっきりまず、断って上での「次善策論」であれば、まだしも、そうした断りも一言も言わず、自治体の瓦礫焼却「代行」が、あたかも当然であるかのように、焼却に関する科学や理論や技術論だけを、「そこのけ、そこのけ、お馬が通る・・・」、「これが目に入らぬのか!・・」(の水戸黄門の葵の印籠)式に、振り回す一部市民の態度は、原発ムラの連中と似たり寄ったりの、傲慢な態度だと思います。
専門知識には疎い、私たち一般市民を蔑視することに他なりません。「科学的・技術論的に、無知蒙昧な輩は黙って科学的真理の前に頭を下げるのが当然だ!」という、上述の原発ムラや農業委員会や農学者たちの思い上がった態度と共通する態度です。「市民と科学者による放射能問題研究会」の設立趣旨にも反する考えです。科学者・技術者・専門家集団指導優先の思い上がりが、福島第一原発事故という「人災」を招いたことを、そうした彼らも、全く反省していません。
放射能汚染だけでなく、科学・技術・学問の専門性や権威を前面に押し出すことで、一般市民(国民大衆)の素人感覚をあざ笑う、民衆蔑視の傲慢な風潮も、同時に全国的規模で広範、根深く拡散、浸透しています。放射能問題は、わたしたちの「からだや健康」だけでなく、わたしたちの「こころや精神」までも蝕もうとしていることにも、警戒していきましょう!
**転送/転載/拡散歓迎**
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真の文明は
山を荒らさず
海を荒らさず
村を荒らさず
人を殺さざるべし (田中正造)
眼前の繰り回しに
百年の計を忘する勿れ (渡辺崋山)
[目先の事柄の処理に心を奪われるあまり
百年の長期展望を忘れてはならない]
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