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河野太郎氏が、原発報道を語る(後編): 政治家を逃がしてはいけない――今、記者に求められること
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120208-00000022-zdn_mkt-ind
2月8日 08時01分 Business Media 誠
福島第1原発の事故を受け、政府は大混乱に陥った。二転三転する情報に、恐怖を感じた人も少なくないはずだ。
原発事故後の政府の対応で、何が問題だったのだろうか。また政治家に対する取材で、メディアに何が足りなかったのだろうか。衆議院議員の河野太郎氏が語った。
●原子力ルネッサンス
――原発について、世界と日本はどのような違いがあると思われますか?
河野:日本では「原子力ルネッサンスだ」(温暖化対策として、原子力の役割を再評価する動きのこと)と騒いでいるときがあったが、実は世界ではそんなことは起きていなかった。
昨年、私はトルコに行ってきた。「原子力ルネッサンスに福島第1原発の事故はどのくらい影響を及ぼしたのか」という議論があったが、「何も影響を及ぼしていない。なぜなら『原子力ルネッサンス』というのは、最初からなかったからだ」といった答えが返ってきた。
ここ10年ほどで、世界は再生可能エネルギーにかなり投資をしてきた。2004年に5兆円、2010年には25兆円ほどの投資規模になっている。ちなみに日本は再生可能エネルギーへの投資はほとんどない。
こうした事実をみないフリをして、「原子力ルネッサンス」という言葉にだけ跳びついていた。これが世界と日本のギャップだ。
また決定的に、政治家の知識がないことが問題だ。海外メディアの何が怖いかというと、「お前、こういう知識持っているから、そうした意見を言うんだろう」といった感じで突っ込まれることだ。そのときに「知りません」と答えると、「お前、知らなくてそんなこと言ってんの?」といった話になってしまう。
日本の政治家というのは、細かい部分については触れず「原発がなくなれば、電気が足りなくなる」と大雑把な話で終わりがち。1つ1つの問題を詰めていくと、多くの政治家は「知らない」と答える。また「知らない」ことで、許されてきた部分もある。
ところが海外メディアからは「なぜ、お前はそうした結論を言うのか?」と詰めてこられるので、細かい部分をバックアップしていかなければいけない。きちんと補っていかなければ、「それはお前の幻想ではないのか」と言われてしまうからだ。
政治家に投げかける質問が、海外メディアと日本のメディアではレベルが全く違うのだ。
米国には海軍に原子力潜水艦があるので、原子力ムラでない専門家がいる。しかし日本は原子力ムラの住民でなければ、まともに相手にされない。なので調査をするときには、どうしても原子力ムラの中だけになってしまう。東京大学で原子力を専門にしている先生に話を聞きに行くと、そこも“汚染”されている(苦笑)。この部分も、世界と日本の大きな違いなのかなと思っている。
●政府の対応
――原発事故が起きて、政府の対応で問題に感じたことは何ですか?
河野:一番残念なことは、政府がきちんとデータをとっていなかったこと。きちんとデータをとっていれば、放射線に関する知見を増やすことができたはず。なぜデータをきちんととらなかったのか。起きてしまった事故を「隠したい」という意図があったのではないだろうか。
またどういう判断を何にもとづいてしたのか、という議事録がとられていなかった。つまり失敗はしてしまったが、その失敗から次に学べるように「失敗の記録をとっておこう」という部分がなかったのだ。これは政府の対応としては、ダメだったと思う。
今回の失敗をどこまで知見として蓄積することができるのか。事故が起きて1年が経とうとしているので、もはや手遅れかもしれないが、これから次に学べるようにしておかなければいけない。
――政府はSPEEDI(放射性物質の拡散予測システム)の情報をきちんと開示しませんでした。このことについてどう思われますか?
河野:3月21日だったと思うが、海外メディアの記者が議員会館にある私の部屋にやって来た。「なぜ日本政府はこの情報を公開しないのか?」と言って、資料を持ってきた。この紙は何だ? と聞いたところ「SPEEDIだ。これを知らないのか?」と聞いてきた。
SPEEDIというシステムがあるのは知っていたが、その情報を見たのは、そのときが初めてだった。「これがSPEEDIかどうか分からないので、1日猶予をくれ」と言って、文部科学省に連絡した。手元にある資料が本当にSPEEDIかどうか分からない。最新のSPEEDIの情報を持ってきてくれ、と伝えた。
そして文部科学省が持ってきた資料と、海外メディアの記者が持ってきた資料は同じだった。首相官邸に、なぜSPEEDIの情報を開示しないのか? と尋ねたところ「それは原子力安全委員会が担当している」という返事が返ってきた。原子力安全委員会の斑目春樹委員長に、説明をつけて公開したほうがいいんじゃないでしょうかと聞いた。すると斑目委員長は「それは私の権限じゃありません。官邸です」と話した。そして細野豪志首相補佐官(当時)に連絡した結果、やっとSPEEDIの情報が一部公開された。
なぜ海外メディアの記者がSPEEDIの資料を持っていたのか。どこからその情報を得たのかよく分からない。「政府はなぜSPEEDIの情報を公開しないのか」と思った関係者が、メディアにリークしたのかもしれない。「日本のメディアはダメだから、海外メディアに情報を渡したのではないか」といった噂もあった。その後、IAEA(国際原子力機関)に情報を出していたことが明らかになったので、IAEAの関係者からもらったのかもしれない。
文部科学省に連絡しても、どの部署がSPEEDIを担当しているのか分からなかった。そして「担当部署」と言われているところに、なぜSPEEDIの情報を公開しなかったのかと尋ねると「事故後、“スピーディ”に情報公開するように心掛けています」と言われた(苦笑)。
原子力委員会の斑目委員長はSPEEDIの情報を公開することについて、自分には権限がないと思っていた。また細野首相補佐官も自分の権限ではないと思っていた。この問題については、かなり混乱していたことは事実である。
●世論と政治家の間にギャップ
――原発政策は世論が望んでいる方向に向かっているのでしょうか。世論と政治家の間に、ギャップがあるようにも感じますが。
河野:3月11日に地震が発生し、そして原発事故が起きるまで、私は自民党の中で孤立無援状態だった。事故が起き、若い議員は原発について考えるようになったが、長い間議員をやってきた人は違う。先輩たちの中には「たまたま事故が起きたから、みんなリアクションで一方向を向いているだけ。だから我々がアンカー(碇)になって、それを止めなければいけない」などと言っている。
なぜ先輩方はそういったことを言うのだろうか。1つには、ずっとそれでやってきたから。経産省出身であったり、電力会社との関係が深いことも挙げられる。もう1つは、知識がないから。知識がないので、核燃料サイクルのどこに問題があるのかが分からない。「その部分は電力会社がやるので、我々としてはこうやれば、あとは自然に流れていく」といった考えをもっている。決定的に知識が欠如しているのだ。
メディアからこのようなアンケートが来ることがある。「原発の再稼働についてどう思いますか?」と。しかしアンケートは、どちらかに○をつければそれで終わってしまう。アンケートではなくて、記者が政治家のところに行って、「なぜ、そう思うんですか?」「この問題はどうやって解決すればいいのですか?」と詰めていかなければいけない。記者が詰めていけば、多くの政治家はそこで立ち往生するはず。
政治家にアンケートで問うても、逃げられるだけではないだろうか。今、大事なのは「あなた、考えていませんよね」「あなた、知識がありませんよね」「もっと勉強しなければ、政策判断できませんよね」といったことを政治家に知らせなければいけない。また読者もそのことを知らなければいけない。
これから求められることは、記者が“逃げ場”をつくって聞くのではなく、囲い込んで逃げ場をなくして「どうなの?」と質問することだ。そして「この政治家はあまり考えていない」「この政治家はよく考えている」といったことが、きちんと伝わるような報道をしなければいけない。でなければ世の中の流れと政治家は乖離(かいり)したままになってしまうだろう。
[土肥義則,Business Media 誠]
河野太郎氏が、原発報道を語る(前編):
海外メディアにあって、日本メディアにないもの
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1202/07/news004.html
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