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原子力体制を変革するエンジン不在が問題
2012.01.22 Sunday
政治・経済
毎日新聞の《この国と原発:第4部・抜け出せない構図 政官業学結ぶ原子力マネー(その1)》はマスメディアで盛んになっている「原子力お勉強企画」でも質が高いと思います。福島原発事故を経ているのに来年度予算は何も変わっていない様が浮き彫りになっています。また、原子力安全・保安院に代わる規制組織「原子力安全庁(仮称)」も代わり映えしそうにありません。原発無い社会志向を言った菅・前首相が放り投げた後、原子力推進体制を変革するエンジンが見あたらないのですから、実態が変わらなくて当然です。
「政府は12年度予算案に、原子力関係分として4188億円を盛り込んでいる。原子力政策見直しの結果が出ていないという事情はあるものの、11年度(4236億円)に比べ1・1%減と、東京電力福島第1原発事故を経てもほとんど変わっていない」「研究開発費は前年度比13・5%の減。中でも、昨年11月に行われた提言型政策仕分けで『存続の是非を含め抜本的に見直すべきだ』とされた『もんじゅ』を中心とする高速増殖炉サイクル研究関連予算は25・4%減となった。だが、それでも300億円が計上された」
原子力ムラを政官業学の隅々までお金を回しながら維持していく仕組みにほとんど変化はないのです。「各国のエネルギー開発費の内訳」グラフは秀逸だったので以下に引用します。原子力に世界の中で日本だけ突出してお金が注ぎ込まれてきた様子を鮮明に描いています。これを30年、40年と続けていれば、超強力なリーダーシップ無しに方向転換など出来ません。この利権に依存して生活している人が多数、存在するからです。
起こしてしまった原発事故の重大さから、米国のような独立した強力な規制機関が求められたはずでしたが、新設間近の原子力安全庁にはがっかりさせられそうです。「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」の「新原子力規制組織の謎」が痛烈です。
「あきらかに、原子力ムラの汚物の臭いがぷんぷんする」「来年度予算の中に、すでにこの新組織の予算が入っている。504億円。この組織を設置するための法案が国会に提出されていない、つまりこの新組織の内容が決まっていないのに、予算が査定され、要求されているというのは、無茶苦茶だ」
「新組織は三条委員会として独立させるべきだという問いに、内閣官房は、しどろもどろ」「危機管理の時には政治が統括する必要があるから、三条委員会は危機管理には向かないと、政府は説明するが、今の経産大臣の下の保安院の体制で、福島原発の事故に際して、危機管理が全くできなかったことを考えれば、大臣がいる組織でなければ危機管理ができないというのは嘘だ」
現在、今回事故の危機管理が全く出来ずに信用が地に落ちている保安院が原子力規制組織の再編を前に、原発再稼働をめぐるストレステストの是非を評価しているのも不思議の極みです。ここでも求められるのは経済産業省よりも上の段階からのリーダーシップです。消費税増税にしか目が向かない民主党政権の指導部は自分からは何も考えていないと指摘してよいでしょう。いまや利権構造を温存したい官僚の御輿に乗っているだけです。
【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー
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