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「ぼちぼちいこか。。。」ブログより転載します。
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3266946.html
2012年01月31日23:37 1月31日【内容起こし】小出裕章氏:米・バイロン原子炉の異常停止とトリチウムの問題、放置された伊方原発3号機の内部告発@たね蒔きジャーナル
※この記事は、
1月30日 アメリカ・イリノイ州のバイロン原発、機器故障で停止【減圧のためトリチウムが含まれる蒸気をベント】、
1月30日 原子力安全委:津波到達予測時も原発停止の規定へ、保安院:伊方原発3号機の内部告発を4年半も放置【佐藤栄佐久元知事から学ぶ】、
9月8日 世界の原発老朽化事情@WSJ【米国、認可期間を80年を調査ですと!?】、
7月22日 国際核融合炉:計画を1年遅らせるも、本格的な核融合運転は27年の予定【初めて知った】、
7月21日 小出氏:ヨウ素の半減期、肉牛以外の家畜汚染、海洋汚染の循環、人口・天然放射線@たねまき、
7月20日 欧州放射線リスク委員会ECRR代表クリス・バズビー氏の記者会見の内容@自由報道協会【その@】に関連しています。
・・・原発、やめよう。
20120131 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間のない方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(水野氏)今お伝えいたしましたアメリカの原発事故について、まず教えていただきたいと思います。今回、このバイロン原子力発電所というところ、原子炉が緊急停止しました。『ベント(蒸気を外に逃がす)』が行われたということなんですが、確かこのベントというのは、そう簡単にやることではない、よほどの緊急時のことだと、小出先生がおっしゃっていたように思うのですが、いかがでしょう?
(小出氏)そうです。私も今、初めてこのニュースを聞きまして、事故の詳しいことは判りません。ただし、トリチウムという放射性物質が放出されたと今聞きました。そのトリチウムというのは、実は水素の同位体と私たちが呼んでいるもので・・・
(水野氏)『同位体』ってどういうものですか?
(小出氏)普通私たちが水素と呼んでいるものの3倍重たい水素なのです。水素でありながら重さの違う、そういうものがあるので、同じ元素でありながら重さが違うものを私たちは『同位体』と呼ぶのですが、水素の同位体で放射能を持っている水素なのです。
それが出てきたということは、一次冷却水の蒸気を放出したということだと私は思います。
ただし、燃料そのものはまだ破損はしていないので、
「一次冷却水の蒸気は放出したけれども、他の放射能は放出していません」
という、そういう説明になっているのだなと、私は聞きました。
ただし、一次冷却水を放出しなければいけないという事態は、それなりに深刻です。どうしてそんなことになったのかということを知りたいと、今思います。
(平野氏)トリチウム自体の特性っていうのは、どうなんでしょうか?
(小出氏)大変低いエネルギーのベータ線しか出さない、一番エネルギーが高くても18.6キロエレクトロンボルトという、放射線としてはものすごいエネルギーの少ない、つまり危険度の少ないものなのですけれども、いかんせん水素ですので、一度環境に放出してしまうと、回収の方法すらがもう無いのです。水になってしまいますので、どんなに水をきれいにしようとしても、水そのものですからもう取り除くこともできないし、人間という生き物は水が無ければ生きられませんので、必ず体に取り込んでしまうし、細胞の中にどこへでも入ってきてしまうし、有機物に化合するとDNAの一部にもなってしまうというようなものですので、放射線の毒性だけではない毒性もあるだろうと考えられています。
かなり大量に原子炉の中でもできますので、注意をしなければいけないとかねてから私は思ってきました。
(水野氏)今の話だと、水になってしまうので生命体が体に取り込んでしまうというのは、いわゆる内部被曝する危険性が高いって意味でしょうか?
(小出氏)そうです。外部被曝という意味では、ほとんど問題になりません。ガンマ線を出しませんし、ベータ線のエネルギーもものすごい低いので、外部被曝という意味ではほぼ問題ないと思っていただいて結構です。
(水野氏)ということは、今すぐに外部被爆で何らかの急性な症状が出るということは考えにくいですよね?
(小出氏)そうですね。
(水野氏)ただ、この後、除去できないということはずっと残るわけですから、それを体内に取り入れるということは、直接しなくても自らいろんな植物やら作物・・・魚類などに移って、そして人間にっていう恐れは・・・あるわけですよね?
(小出氏)そうです。最終的には地球全体の水循環の中に取り込まれていきますので、海全体がトリチウムで汚れるとかそういう形になるわけですけれども、それより薄まる前に局所的なトリチウムによる汚染というものが起こる可能性がありますし、今回の事故がどれだけのものか私はまだよく判りませんが、注意はしなければいけないと思います。
(水野氏)それは私らはどうしたらいいんですか?
(小出氏)まぁ、日本の人が今この米国のバイロン原発の事故で出てきたトリチウムに、格別に注意をする必要はありません。
(平野氏)先生、ただ、今日の昼前のニュースで、アメリカ政府は
「普段から原発の放出する蒸気の中にこの物質が含まれてるので、あまり影響はない。心配することは無いんだ」
みたいなのが一報で流れたんですよね。
そんなに普段から放出されてるものだとしたら、今の話だと逆に言うと怖いなと。内部被曝に日本の原発でも普段から水蒸気の中に放出されてるのであれば、怖いなと思ったんですが。
(小出氏)水蒸気というか、水蒸気もそうですけれども、原子炉から出てきてしまうと、トリチウムというのは必ず水になってしまうのです。ですから、どこの原子力発電所でもそうですけど、排水処理という廃液処理をしてるわけですけれども、『汚れた放射性物質を水の中から取り除いて綺麗にします』と言ってるわけですが、トリチウムは水そのものですので、どんなことをやっても取り除けないのです。
ですから、排水処理をしたといって綺麗になったと言いながらも、トリチウムだけはどこの原子力発電所からも日常的に出てきていますという、そういう特殊な放射性物質なんです。
(水野氏)え?日常的っておっしゃったってことは、事故を起こさないで、普通に稼働している原発からもいつもトリチウムは出てるんですか?
(小出氏)そうです。
(水野氏)水となって?
(小出氏)はい。私がお守りをしている京都大学原子炉実験所の排水にもトリチウムはあります。取れないのです。これは。
(平野氏)そこが怖いですね。
(水野氏)そこがよく私判ってないんですけど、事故を起こさなくても原発というのは、トリチウム以外にも何らかの放射性物質を外へ出してしまうものなんですか?
(小出氏)もちろんです。技術というのは、100あるものを100捕まえるということはできませんで、
「99捕まえます。」
「もっと頑張って99.9捕まえます。」
「もっと頑張って99.99捕まえます。」
ということはできるのですけれども、完璧にゼロにすることはできませんので、どこの原子力発電所でも、もちろん私のところの原子炉でも何がしかの放射性物質は日常的に出さざるを得ないのです。
(水野氏)はぁ・・・。そういうことでしたか。また、これ詳しい事故の内容がわかれば、また小出先生に伺う機会もあるかと思いますが、突然ことですけど教えていただいてありがとうございます。
もう一つ伺いたいんですけど、これは原発などのトラブルの内部告発を調べる第三者委員会のシステムがあるんだそうで、2002年度にできた制度だそうですけど、こういう事実が判ってきました。
『内部告発をした人が、この委員会の事務局に対して何度も指摘したのに、その内部告発を事務局が委員会に報告しなかった』という話なんですね。これは四国電力伊方原発3号機で建設中の時に、消化ポンプの試験中にケーブルが燃えたという告発がありまして、しかし、第三者委員会は電力会社に聞き取りをして、
「いやいや、法令上に問題は無い」
というふうに結論付けていたんです。
ところがその後告発した人は、何度も事務局に指摘をしました。この事務局というのはどこが務めてるかというと、原子力安全・保安院なんですね。経済産業省の原子力安全・保安院が事務局を務めていて、この告発をした人は、
「関係者に出火のことを隠ぺいするよう要請があったんだ」
という内容などを数十回指摘した。ところが、結局内部告発を何度しても受け付けてくれなかったという話かと思うんです。
こんなこと、小出先生はご存知ですか?
(小出氏)はい。前に聞いたことがあります。
(水野氏)はぁ・・・。こういうことって有り得ることなんですか?
(平野氏)2000年の始めに、福島の第一原発のトラブルを内部告発した人が、通産省に手紙とかそういうものを実名でいっぱい出して、通産省が東電に改善を求めたんだけど、東電は全然何もしなくて、その告発者の実名までが会社に漏れたり・・・
(水野氏)実名が漏れるなんて!
(平野氏)ええ。それで大問題になったという事案が確かあったと思うんですけど。
(小出氏)そうだったと思います。
(平野氏)そうですよね。全然こういものに内部告発の通報者を守るようなことにもなってないし、それを活かして改善するというシステムにも全然なってないんですよね。
(小出氏)原子力村という強固な組織にあって、原子力保安院というのは本当は規制をするという役所のはずですけれども、それでもこの間、昨年明らかになったようにやらせを保安院自身が主導するということをやってきたわけですね。すべてが一体になって、原子力を推進する。反対するものはブルドーザーのように押しつぶすということで、今まできてしまったということの一角だと思います。
(水野氏)私がご紹介した事案については、結局4年ほど経って、去年の夏になって初めてこの告発を再申告受け入れということで受け付けたという話なんですね。
あの大事故を経て、ようやく受け入れる体制になったのかなぁと思いますが、でもよくよく考えてみたら、この第三者委員会の事務局をやってる保安院っていうのも、原子力村の一角であるということは私たちいろんな形で見えてきましたよね。ところが、今度はこの保安院を経済産業省から分離させまして、内閣府の原子力安全委員会と一緒にして、今度は原子力規制庁という名前に4月からしていくということが、今日閣議決定されました。この内容で、原発の規制の強化を図るんだということなんだそうです。国としては。
これ、どうお感じになりますか?
(小出氏)私は何をやってもダメだと思います。日本というこの国が原子力を進めるというふうに決めてきているわけですね。例えば、原子力基本法というものがあるわけですけど、それは「自主・民主・成果の公開」のもとに原子力を進めると書いてあるわけで、そのもとに原子力委員会も作りましたけれども、その原子力委員会の委員長は、
「原子力に反対するようなことをしたら法律違反だから、自分は原子力を推進する」
というふうに言い放つという、そういう人たちがやってるわけですね。ですから、日本というこの国家が原子力を進める決めた以上は、要するに進めるわけですから、何か文句を言ったとしても結局は進めるという流れの中にしかならないと、私は思います。
本当に根本的な議論が、今こそ求められているのだろうなというのが、私の今の印象です。
(水野氏)はい。ありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】
失礼します。
(略)
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