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被災地はバカ景気
2012年01月29日 11:11
小笠原誠治
はい、そこの貴方!日曜日なのにブログを見て頂き、ありがとう。
ところで、質問なのですが、人手不足という言葉を聞いてどう思います?
「人手不足ではなく、仕事不足じゃないの?米国じゃ、オバマ大統領は雇用の創造にやっきだし、ユーロ圏も失業率が高くて大変みたいだし‥」
では、日本ではどうなのでしょう?
「日本だって、失業率こそ相対的に低いものの、実態はよくないのじゃないの?だって、円高で企業は海外に出ていくし‥」
だとしたら、やっぱり国内も仕事はないのでしょうか?しかし、だとしたら何故仕事不足が起きているのでしょう。市町村が公共事業を実施したくても、人手不足で発注できないのだとか。
「そんなところがあるの?何と幸せな‥」
ところが、その一見幸せそうに見える地域は、一番かわいそうな地域であるのです。というのも、人手不足が起きているのは、被災に遭った地域だからです。ガレキの処理など仕事は幾らでもあるものの、必要な作業員の確保が難しく、そして作業員の確保が難しいので人件費は高騰する、と。
まあ、そういうことで、仙台の歓楽街は好景気の様相を呈しているというのです。ブランド物の売れ行きもいいし、タクシーのお客さんも増えている、と。
「へー、そうなの?」
実は、仙台などの被災地でバブル景気の様相を示しているという話は、これまでテレビなどでは余り報じられてこなかったのです。
何故でしょう?伝え方が難しいのでしょうね。被災地の人は大変だというイメージが壊れてしまうからとか、被災地の人々が景気がいいなら、むしろやっかみを買うことにはならないか、とか。
いずれにしても、この先、被災地の経済はどうなるのでしょうか?景気が回復することによって人々の生活も活気づき、そしてその効果が全国にも及ぶことが期待できるのでしょうか?
もし、被災地の景気の良さが全国にまで及ぶことになれば、亡くなった方々にはお気の毒なのですが、経済の面に関しては少しは明るさを取り戻すということで、悪い話ではないのです。
確かに、ガレキ処理には長い年月と莫大な予算が投じられ、その効果は大きいでしょう。つまり、被災地の土木事業にかかわる人々の懐は久しぶりに潤うことでしょう。そして、そうやって懐が潤うので消費も活発化しバブルの様相を呈するのです。問題は、それが更なる呼び水効果を生み出すかどうかであるのです。
私は、楽観は許されないと思うのです。何故ならば、今は無限に思える瓦礫の処理も、いつかは終焉を迎えるからです。そうすると、市町村によっては、新たな街づくりなどの復興事業が継続するでしょうが、土木工事の全体量は少しずつ減少するのは確実であるからです。
それに、大切なことを忘れてはなりません。
土木工事の仕事が増えたお蔭で、歓楽街の売り上げは飛躍的に伸び、従って、そうした関係者は、如何にも景気がよくなったという気持ちになるのですが‥果たして、日本の富は増えているのか?と。
確かに土木工事は増えました。しかし、その土木工事によって、例えば、その地域の土地の価値が昔に比べて増したということではないのです。例えば、荒野を開拓することによって農地にすることができたり、市街地を造成することに成功すれば、新たな価値を創造したと言えるのでしょうが、ガレキの処理というのは、ずたずたに破壊された自分たちの町を元の状態に戻す一歩に過ぎないからです。もちろん、そのための土木事業に対し、国や地方自治体からお金が支給される訳ですが、そのお金も、国や自治体の税金や借金によって賄われているに過ぎないのです。
ケインズの経済学を信じる人からすれば、まあ、それでも景気回復のためには大切なことなのだと主張するでしょう。何故なら、ケインズは、単に地下深く穴を掘らせ、そして再び埋め戻すような仕事でも経済回復のためには有用なのだと真面目に主張したからです。
でも、単に穴を掘ってまたそれを埋める仕事に国がお金を支給するのであれば、それは単に、生活補助を与えるのと何ら違うところはないのです。何故、そんな行為が景気を回復させるのか?単に、誰かの富を貧乏な労働者たちに再分配しただけではないのか、と。
しかし、乗数効果があるからとか‥分かったようなことを言うのですよね。
私は、そのような説を殆ど信じません。真の経済の回復は、自分たちの生産能力を高めるまでは実現しない、と。確かに生産能力を高めるために、需要を喚起することが重要な役割を果たすことがあるにしても、です。需要面だけでは解決することはないのです。やっぱり、本当に富を生産し、そしてそれが再生産されるプロセスをしっかりと打ち立てるまでは、経済の自立回復は期待されないのです。
別に冷や水をかけるつもりはないのですが‥今の被災地のバカ景気を支えているのは、税金と借金に違いない訳ですら、その税金と借金の分だけ被災地の景気がよくなっても、それは当然というものなのです。
そうした被災地の景気がよほどの税収をもたらすようになれば別ですが、そのような事態になるまでは、余りぬか喜びしない方がいいと思うのです。
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