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4号機とセシウムの基礎知識(3) 4号機の再臨界と危険性
http://takedanet.com/2012/01/44_7d07.html
平成24年1月17日 武田邦彦(中部大学)
最初にセシウムの状態を見てから4号機の話に進みます。
地表に落ちてくるセシウムはこのグラフに示したように少し落ち着いて来ました。1月2日の400ベクレル(1平方メートルあたり)に比較すると、最近では100以下になってきたことが判ります。しかし、この値を落ち着いていた9月、10月、11月と比較してみると(次のグラフは11月のものですが、グラフの縦軸を1月のグラフと同じように500ベクレルを最高にしてありますので、同じ尺度で視覚的に見ることができます)、まだかなり高いレベルにあると言うことが判ります。
http://takedanet.blogzine.jp/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2012/01/17/bandicam_20120117_082359738.jpg
セシウムの降下量が急に高くなったことに注意しなければならないのは、1)もし、地表に落ちたものが舞い上がったとしたら、この状態が数年続く可能性があり、地表近くの空気を吸う子供は注意が必要なこと、2)もし、原発からなら東電の発表が必要であり、3)粒径、他の核種などの分析を政府が発表してくれれば原因が特定できる、などがありますが、いずれもハッキリしないからです。
風の向き、アメダスのデータなどを見ると、地表から舞い上がったにしては風の強さに関係がなく、原発からとすると風の向きで説明ができず、福島第一以外の原発からかという奇妙な結論になりますが、それも変です。もう少し、緩い警戒をするのが良いでしょう。
また、先回の(2)までお読みいただいた方は、「福島で急に増えた定時降下物にヨウ素があれば原発から、なければ土から」というのは間違っていて、「急に増えたものにヨウ素が含まれていれば、新たに核爆発(運転中)している原発から、そうでなければ3月に止まった原発から」ということがわかります。
また、止まったばかりの原発から襲ってくる死の灰は恐ろしいけれど、止まってから10ヶ月もたった原発から飛んできてもヨウ素はもう無いから、子供の甲状腺は大丈夫ということもおわかりになったと思います。
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一応、これだけ準備して、4号機の問題に入りたいと思います。4号機は一昨年の11月(2010年11月)に定期検査のために止めて、燃料を炉心からプールへ移動していました。だから3月に爆発したときには、すでに4ヶ月を経ていたので、ヨウ素などは含まれていませんでした。
原発には3つの状態があります。一つは、ウランなどの燃料は持っているけれど、まだ爆発(運転)前のものが入っている状態、次に、爆発中(運転中)、最後に爆発後(運転中や運転後)のものがある場合、です。
ウランは核燃料ですが、放射線は弱く、しかもアルファ線しか出しませんから、防御も楽です。3号機はプルトニウムとの混合燃料を使っていましたから、またすこし違います。でも、運転をしていない核燃料はそれほど問題となるような危険性はありません。
これに対して、運転を始めると核反応が始まります。そうすると急激に核分裂生成物(死の灰)ができますので、ものすごく危険になります。ここで、前に説明したことがありますが、「臨界」というのと、「爆発」について説明しておきます。
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科学は「ある状態」と「変化」を区別して整理をしていきます。あとえば、「氷」の場合、マイナス5℃の氷を、プラス5℃まで暖めますと、氷が融けて水になります。この場合、「氷」というのは水の分子が固体になっている「状態」であり、融ける温度0℃を「融点」、融けることを「融解」と言い、こちらは「状態の変化」です。
また、ガソリンや灯油が燃えるのを、燃焼もしくは爆発といい、目で見る時には「燃焼」と言うことが多いのですが、物が燃える条件のことを「爆発限界」と表現するのが正しい技術用語です。あまりこのような専門的なことは言いたくないのですが、技術用語の使い方をバッシングして本質が見えないようにしようとする人も多いので、一応、解説をしておきます。
これを原子力に当てはめますと、「臨界」というのは、「融解」のように「変化」を表すもので、いわば「ウランが静かにじっとしている状態」から「爆発的に核反応が進む状態」に変化することを言います。そして、臨界を超えると「爆発状態」になりますが、それが「徐々に起こる場合(原発の通常運転時)」と「小規模に爆発する場合(東海村の事故の例がこれに当たりますし、第二次世界大戦中ではアメリカのハンフォードなどで小規模な核爆発が何回もありました)」、そして「原爆のように大規模爆発の3つがあります。
だから「臨界を越えて爆発する」=「危険である」ということではなく、徐々に起こるか、規模はどうかによって異なるのです。4号機が「再臨界」に達するから「危険である」と即断できないのがそこにありますので、正確に理解をしておく必要があります。
私が今、整理をしているのは、4号機が再臨界した場合、爆発状態に入るのですが、それが「観測もされないぐらい小さいか」、「中規模で3月の爆発ぐらいなのか」、それとも「大規模爆発があり得るのか」のどれかということです。おそらく、小さな爆発があるかも知れないのですが、それならそれほど危険では無いと思います。
4号機が臨界に達した場合のことを次回に解説したいと思います。
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