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「汚染がれき」焼却で「汚染放流水」増加か
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2012-01-08 20:13:23 新井哉の危機管理・国民保護ブログ
宮城県女川町の「汚染がれき」焼却を予定している東京二十三区清掃一部事務組合の江戸川清掃工場などの放流水から、放射性セシウムが検出されていたことがわかった。放射性物質が含まれた「汚染放流水」は基準値以下として下水道に流され、清掃工場から外に放射能汚染を拡大させていた。東京都内の一般廃棄物よりも放射能濃度の高い「汚染がれき」を処理した場合、「汚染放流水」がさらに増えることが懸念されることから、同組合や東京都は焼却方法や汚染対策の抜本的な見直しを迫られそうだ。
東京都内には汚水と雨水を一緒に集める合流式下水道の割合が高く、雨天などで下水場の処理能力を上回った場合、未処理水が越流口や排水ポンプ所から河川にそのまま放出される。「汚染がれき」の焼却で出た「汚染放流水」が未処理のまま東京湾に流れ込み、汚染に拍車を掛けかねない事態に発展する可能性がある。焼却の際に出た放射性セシウムは集塵機などで取り去られて環境中にほとんど排出されない、とする同組合や東京都の説明は根拠を失うことになりかねない。
「汚染がれき」を焼却炉で燃やした場合、高温で気化もしくは微粒子になったセシウムなどのガス状の有害物質は「ろ過式集塵機(バグフィルタ)」などで処理された後、シャワーのように水をかけて排ガス中の有害物質を取り去る「排ガス洗浄装置」などを使って大気中に放出しないよう最大限の努力が払われる。この装置から出た洗浄汚水が「汚水処理装置」で焼却炉から出た灰汚水とともに処理され、下水道に放流される仕組みだ。
江戸川清掃工場では昨年8月1日採取分の放流水から放射性セシウムを30ベクレル、9月16日採取分で29ベクレル、10月14日採取分で32ベクレル、11月10日採取分で10ベクレルをそれぞれ検出。もし、このセシウムが灰汚水ではなく排ガス洗浄装置の排水に含まれていた場合、セシウムがバグフィルタを通り抜けたことを意味する。放流水からのセシウム検出は高濃度の汚染が焼却施設内で発生していることを裏付けているといえよう。
墨田清掃工場の放流水からもセシウムが検出されており、東京23区内の各清掃工場で宮城県女川町の「汚染がれき」を焼却した場合、「汚染放流水」が続発する事態も懸念されよう。排ガスの放射能濃度検査の取り組みも不十分だ。各清掃工場での検査は2ヵ月に一度しか行われない。焼却炉は常に一定の有害物質除去能力が維持されるわけではなく、周辺住民が被曝の危険にさらされている可能性を考えると、あまりにも検査の頻度が少なすぎる。汚染水や排ガスなどの検査については、施設内の検査箇所や頻度を増やすのが喫緊の課題といえよう。
清掃工場で処理する対象は一般廃棄物であり、廃棄の処理及び清掃に関する法律でも「放射性物質及びこれによって汚染された物を除く」と明記されている。同組合も「法の想定していない事態に至っていることになる」と懸念。昨年10月には職員など業務に従事する関係者の被曝を防止する目的で「放射線障害防止指針」を策定し、放射能汚染対策に乗り出した。職員らの被曝の危険性を最小限に抑えるように努力する一方、さらに職員や周辺住民の被曝を助長させかねない「汚染がれき」を受け入れることは、「防止指針」の趣旨と矛盾すると言わざるを得ない。
同組合は「当組合の業務に常時従事する作業者の1年間の被曝線量が1ミリシーベルトを超えないように努める」として、内部被曝を防止するために作業員に呼吸用保護具の着用を指針に明記するなど作業者の被曝防止には最大限の配慮を表明する一方、周辺住民の被曝を最小限に抑えるための指針については策定せず、清掃工場敷地内や敷地外の住宅地等に放射性降下物を測定するモニタリングポストすら設置しないことは、周辺住民の健康や命を軽視していると受け取られかねない。「清掃工場は放射能汚染源」と明確に認識し、周辺住民の被曝対策が求められよう。
清掃工場等の焼却炉における「汚染がれき」処理に無理があることは、廃棄物処理法で放射性廃棄物の焼却を想定していないことや、放流水に放射性物質が含まれていたことから明らかだ。大量の放射性降下物で汚染された被災地からの「汚染がれき」搬送時に、事故や不具合などで放射性物質が周辺に飛散する可能性もあるため、「汚染がれき」の処理は放射能汚染対策を施した処理施設を排出先の被災地に設けて対処するのが望ましい。東京都だけで3年間で約280億円もの処理費用等を費やすことを考えれば、予算的にも専用処理施設の設置は可能で、関係省庁の許認可を省けば、建設期間も大幅に短縮できるはずだ。
焼却に従事する作業員や周辺住民の被曝対策も急務だ。東京23区内で、最後まで自治体による測定や除染が必要とする荒川区民の要望を拒み続け、子供たちや区民に無用の被曝を強いた西川太一郎・荒川区長でさえ、清掃工場の焼却灰汚染は見過ごせず、同組合の管理者として環境大臣に対し、放射性物質を含む一般廃棄物焼却灰の取り扱いに関する緊急要望書を手渡している。
政府や自治体は「汚染がれき」を処理する専用の処理施設を設けるか、放射線量が低減するまで管理型処分場などに仮置きする措置が必要だ。東京都内で排出される一般廃棄物でさえ、放射性物質に汚染されている可能性の高いことを考慮すれば、今後は清掃工場敷地内や周辺住宅地にモニタリングポストを設置した放射性降下物の測定や、施設内の放射線量、放射性物質の測定箇所を増やすなどの排出源の究明や管理の徹底が求められる。放射性物質の環境中への排出というリスクを出来る限り少なくし、子供たちや周辺住民の被曝を最小限に抑えるべきである。
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