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(回答先: 放射能汚染地帯で虫・動物の奇形が相次ぐ! 福島原発と放射能汚染最新情報 8月30日版 投稿者 taked4700 日時 2012 年 1 月 09 日 16:01:30)
連載70 昆虫に見る低レベル放射能の影響
――――― 放射能は種の多様性を脅かす――――――
チェルノブイリ事故から今年で24 年目になる。ウクライナやベラルーシ、ロシアなどチェルノブイリの放射能がたくさん降り注いだ汚染地域では人々の病気や動植物の自然界における奇形や突然変異が知られているが、これらの国の外で何が起こっているかはあまり知られていない。最近になって明らかになった、ヨーロッパの国々における昆虫の異変は、低レベル放射能の影響がチェルノブイリだけでなく、原発周辺でも起こりうることを示している。スイスの科学イラストレーターの25 年間の研究を紹介する。
● カメムシの奇形を25 年間観察
これは、スイス・チューリッヒ大学自然史博物館の科学イラストレーター、コルネリア・ヘッセ-ホネッガーの物語である。彼女は博物館の科学イラストレーターの仕事をしながら、チェルノブイリ事故の結果起こった昆虫、特にカメムシ(Heteroptera)の仲間の異変に気づき、25 年間観察してきた。その結果を、科学雑誌編集者のピーター・ワリマンとともに、科学雑誌(Chemistry and Biodeiversity:化学と生物多様性、2008、vol. 5,p499-539)に発表した。25 年前、当時の専門家達の多くは、チェルノブイリ事故の影響は国内の昆虫などに大した影響を与えないだろう、という意見であった。しかし、コルネリアはチェルノブイリの放射能で汚染したスエーデンの汚染地帯で、ショッキングなカメ
ムシの奇形を多数発見した。
● 原発や再処理工場周辺でも奇形
その後、彼女は世界各地を回り、2007 年までに16000 例のカメムシを集め、詳細に観察した。その結果、チェルノブイリの影響地帯だけでなく、スイスやドイツの原発周辺、フランスの再処理工場(ラ・アーグ)周辺でも多数の奇形カメムシを採集した。場所によっては、30%ものカメムシが触覚を失ったり、羽の奇形、体節の非対称、潰瘍、黒点、色素異常などが見られた。こうした異常は、原発や再処理工場からの距離ではなく、明らかに風向きや地形と関係し、風下に多くの奇形カメムシが見つかった。風下地域には原発からトリチウム(H3)、放射性炭素(C14),ヨウ素131 などの放射能が定常的に風に乗って流れ、カメムシの食草を汚染する。カメムシはこうした低レベルだが長期的な汚染に敏感で、カメムシは放射能に敏感なバイオ・インジケーターだ、と彼女は云う。
● 汚染地域では種の多様性が減少
最近の別の研究(Biology Letter2009,March18)では、アメリカとフランスの研究者達が、ウクライナとベラルーシの比較的低レベルの汚染地域の森で、マルハナバチや蝶々、バッタ、トンボ、蜘蛛の生息密度を調べた。それによると、これらの昆虫や蜘蛛の数は、汚染レベルが大きくなるほど顕著に減少していることが分かった。こうした昆虫が減れば、当然それらを餌とする小鳥も減少するはずである。事実、別の研究者ら(Biology Letters:2007, March27).は、汚染地域で小鳥の数が汚染レベルに比例して減少し、特に汚染した土壌昆虫を食べる小鳥の数に大きく影響し、生息する小鳥にも奇形が多いこと
を発見して、生態系への影響は予想以上に深刻だ、と指摘している。チェルノブイリの放射能は自然界の種の多様性にも大きな影響を与えつつある。
(河田)
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