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中国「神話が崩れ、悪夢が残った」 希望の光を求めて [日経新聞]
編集委員 後藤康浩
2014/3/16 7:00
中国経済の先行きに大きな不安が広がっている。中国が発表する経済指標は信頼できないものが多く、中国経済の実態はPM2.5さながらの濃霧の中にある。おぼろげながら見えているのは、屋台骨の製造業が力を落とし、カンフル剤だったインフラ建設も馬脚を現し、地方政府や民営企業の投資も資金源だった理財商品のデフォルトの始まりで行き詰まった、といった光景だろう。中国の高度成長神話は崩れ去り、償還困難な金融商品の巨大な山がそびえ立っている。それだけではない。PM2.5が代表するような環境破壊は止めどもなく、土壌汚染、禁止農薬や添加剤の使用で食品は危険性を増している。中国経済に希望はあるのか?
■「地上に吸うべき空気なく、地面に食べるべき野菜なし」
PM2.5の影響は子どもたちにも…
河北省石家荘の駅前は中国の大都市と変わらず高層ビルが林立しているが、そのビル群がどこまで続くかは旅行者にはわからない。PM2.5の灰色の濃霧が視界を200メートル以下に狭めているからだ。中国でトップクラスの大気汚染の町だけのことはある。駅前広場で地元の人に大気汚染について聞いた。年々ひどくなるという話は当たり前として、四川省から来た一人の建設労働者の言葉が意外であり、やがて背筋が寒くなった。
「雇ってくれている会社が作業員にPM2.5対策の漢方薬をたくさんくれているので毎日欠かさず飲んでいる」。これを聞けば中国にしては珍しい親切な企業と思ったが、続いて出た言葉は「毎週、作業員が倒れているからね」。屋外の建設現場はPM2.5から逃れようもない。そこで重労働をする作業員はPM2.5の最大の被害者なのだ。
石家荘から上海に戻り、空港に降り立った途端、空気がおいしいと感じた。石家荘のPM2.5濃度は1立方メートル当たり600マイクログラム前後、上海はその日100マイクログラム前後だった。日本から上海に着いた時に感じた空気の汚れはもはや感じなくなっていた。
昔、北京に駐在していたころ、レストランで出てきた皿やグラスを持参のティッシュなどでふくのは日本人の常識だった。当時は出される食事よりも調理や出し方の方に不安があったからだ。今は皿をふかなければならないケースは減ったが、出された料理をしっかりと見なければならなくなった。あやしげな野菜や肉をより分けて食べるわけだ。異常に青々とした野菜、妙に白っぽい野菜、口に入れて化学品の臭みがないか、確かめつつ口にする。中でも今、中国人が警戒するのは、もやしだ。根がない、茎が太い、白すぎるもやしはほぼ確実に禁止薬剤を添加してつくられているからだ。
大学は出たものの…。中国は史上空前の就職難だ
「地上に吸うべき空気なく、地面に食べるべき野菜なし」という中国人に流行っている嘆き言葉こそ今の中国の現実だ。だが、嘆きにもうひとつ加わるフレーズがある。「大学を出て就くべき仕事なし」である。中国の大学(短大、高等専門学校も含む)の卒業生は今年約700万人に達する。そのうち大卒にふさわしい職業に就いたのは300万人程度とされる。かつては売り手市場だった海外留学帰りも仕事にあぶれる時代となった。まともに就職できない半分以上の人たちは工場や建設現場に仕事を見つけたり、大都市でバイトをしたりしながら就職活動を続ける。2013年の中国の成長率は7.7%と中国政府は発表するが、7.7%成長で大卒就職の超氷河期なのである。高成長がウソなのか、大卒が就くような仕事のない低付加価値の産業構造が続いているのか? どちらも真実だろう。
■小米が切り開く中国製造業の新モデル
工場の進出しない工業団地や車の走らない高速道路、人の住まないマンション群、企業の入居しない高層オフィスビルを造り続けても大卒の就職難は解決しない。中国経済には未来はないのか?
「中国版アップル」と呼ばれる小米。同社のスマホの実力は?
北京のシリコンバレーと呼ばれた中関村からさらに郊外に車を走らせ、第4環状線道路の外側に出て、ようやくたどり着いた。中国の新興スマートフォンメーカー、北京小米科技の本社だ。「小米(シャオミ)」は急成長し、今や中国のアップルと呼ばれ、世界の通信機器業界の耳目を集めている。
新本社が完成し、引っ越ししてまだ1週間しかたっていなかったが、巨大なカスタマーサポートセンターや営業、企画、デザイン、イベントなどの部門は本格稼働していた。印象は元気で動いている会社。坂道を勢いよく上っていく様子が肌で感じられた。オフィスの机の回りには縫いぐるみやプラモデルなど思い思いのモノが置かれ、生きた亀を机の上で飼っている社員もいる。フロアの隅にはトランポリンやエクササイズ機器が置かれている。社内でみかけた数百人のなかでネクタイをしていた人はゼロ。だが、それ以上に驚くべきは顧客から贈られたプレゼントの山だった。
小米の雷軍・最高経営責任者(CEO)の口癖は「顧客と友達になろう」。顧客の要望に徹底的に答えることで、商品の水準を上げ、魅力を高めてきた。創立3年目の昨年、1870万台のスマホを販売、今年は4000万台の販売を目標に掲げる背景には熱狂的な小米ファンが急増していることがある。中国の製造業ではこれまで性能、品質をごまかし、売ってしまえば後は知らないという会社が多かった。顧客の要望に真剣に向き合い成長してきたのは家電メーカーの海爾集団(ハイアール)くらいかもしれない。だが、今、小米の成功が中国の製造業に新しいモデルを示しつつある。顧客と向き合う、ごまかさない、既存の販売チャネルを無視し、ネット販売に集中する、といったコンセプトだ。小米に中国経済を新しいステージに導くヒントがあるのではないか、そんな予感を持ち始めている。
(編集委員 後藤康浩)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO68207280T10C14A3000000/?dg=1
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