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博社村では警察官が巡回する光景をしばしば見かけた。路地には覚醒剤撲滅の横断幕を隠すように、地元雑貨店の広告が掲げられていた=2月、中国広東省
中国最大の「覚醒剤村」 村ぐるみで製造・販売「お上は黙認してきた、なぜ…」
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140314/frn1403141425000-n1.htm
2014.03.14 夕刊フジ
中国の薬物犯罪は、北京で開催中の全国人民代表大会(国会)で「薬物犯罪との闘争を積極的に進める」と報告されるなど、深刻な状況が続く。こうした中、南部の広東省では、村ぐるみで薬物を密造していた「覚醒剤村」こと汕(せん)尾(び)市博社村が、昨年末、警察に摘発された。19世紀にアヘン戦争の戦場となった同省で、なぜ村人は中国最大の薬物犯罪にのめり込んだのか。現地を訪ねた。
「50グラムの所持で死刑になる覚醒剤を、博社村ではトン単位で取引してきたんだ」。左右に水田が広がる細い道を走りながら、白タクの運転手は笑った。
のどかな風景と裏腹に、「覚醒剤に手を出すな」「薬物撲滅の人民戦争に打ち勝とう」という物騒な標語が目立つ。記者が訪れた2月には、警棒を持った警察官が村の入り口で車を検問していた。
陽気だった運転手は、検問所の手前で車を止め、「この先は歩いてくれ」と記者を放り出した。数年前、たまたま覚醒剤の運び屋を乗せた白タクの運転手が検問で捕まり、薬物犯の共犯として処刑されたという。
▼村民は摘発に反発
人口約1万4千人の博社村は、裏社会では中国最大の覚醒剤密造拠点として知られてきた。昨年12月29日、広東省警察は3千人の警官隊とヘリコプター、高速艇で村を包囲し、村内77カ所の拠点を急襲した。村の蔡東加・中国共産党支部書記ら182人を逮捕し、覚醒剤3トンと原材料23トンを押収した。
それから1カ月以上経過していたが、村の空気はなおも張り詰めていた。隊列を組んだ警察官が巡回し、潜伏中の犯罪者らに出頭を迫る公安局の布告も目立った。不敵にも、その布告の上に全く関係のない広告ビラが貼られていることもあり、村民は内心、摘発に反発しているようにみえた。
村の元幹部という初老の男性が取材に応じた。
「同じことをしていた村は他にもある。なぜここだけやられたんだ。お上が密造を黙認したのに、責任の押しつけはごめんだ」と、犯罪への悔悟は忘れて摘発への不満をぶちまけた。
村民が心配するのは逮捕者の処分だ。法律を厳格に適用すれば全員が「死刑」。村内の2割の世帯が覚醒剤の製造や販売に関与したとも伝えられ、逮捕者がさらに増える可能性もある。
▼末端価格より安く
博社村が属する汕尾市は、1980年代に経済改革の花形となった深●(=土へんに川)、スワトーという経済特区の間にある。両経済特区のいわば谷間となって、博社村を含む汕尾市一帯は繁栄から取り残されてしまった。
皮肉なことに、市場経済が活性化し、香港などとの往来が増えると、急速に「需要」を増したのが麻薬や覚醒剤だった。同じ密造なら、村内で精製作業や販売を分業した方が効率が上がる。村の幹部を巻き込んで覚醒剤製造が始まったのは、こうした地域格差と、ゆがんだ経済原則が原因だと指摘されている。
だが、薬物犯罪が許されるはずもない。広東省の警察当局者によれば、博社村の覚醒剤は、香港や台湾のほか、日本にも流れていた。昨年12月、広州の空港で拘束された日本人男性が所持したとされる覚醒剤も、「汕尾周辺で製造された可能性が高い」(地元幹部)という。
博社村での覚醒剤の販売価格は一般の末端価格より安かったため、「村の収入は決して多くなかった」という。推測だが、これだけ長期にわたり密造が摘発を逃れてきた裏には、村外への“上納金”もあったはずだ。私腹を肥やしたのは誰だ? 村民の表情は無言の問いを投げかけていた。
(中国広東省博社村 矢板明夫)
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中国の薬物犯罪 共産党政権下で撲滅されたはずの薬物犯罪は、市場経済の中で復活。薬物中毒は昨年5月時点で222万人にのぼる。東南アジアの「黄金の三角地帯」や北朝鮮などからの密輸品のほか、広東省などでの密造品が流れている。中国の裁判所は昨年だけで、薬物犯罪で10万人近くに死刑を含む有罪判決を下した。50グラム以上の所持で死刑が適用され、日本人も中国で処刑されている。
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