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東アジアの奇跡、中国復興の啓発に(1)
2014年03月13日08:18
中華民族の偉大なる復興という夢を実現する上で、1人当たり資源量および文化的背景が近い東アジアの現代化の経験は、中国にとって重要な啓発になる。中国証券報が伝えた。
◆東アジアモデルの5つの特徴
世界銀行の報告書「東アジアの復興」は、「1950年より、人口が100万人以上に達する国と地域のうち、低所得国(もしくは地域)から高所得の仲間入りを果たしたのは、香港、韓国、サウジアラビア、シンガポール、台湾だけだ」とまとめた。サウジアラビアという特殊な石油産出国を除くと、戦後に低所得から高所得に直接移った国と地域は、韓国、台湾、シンガポール、香港という「アジア四小龍」のみとなる。世界銀行は2008年に発行した「成長・発展委員会」の報告書の中で、「戦後25年、もしくはそれより長い期間に渡り、平均7%以上の成長率を維持した低所得・中所得国(もしくは地域)は13ある。そのうち、ちょうど高所得の基準に達したばかりの、人口が50万人にも満たない地中海の観光島であるマルタを除くと、真の高所得経済体になったのは東アジアの日本、韓国、台湾、シンガポール、香港だけだ」と指摘した。この戦後の奇跡と称される東アジアモデルの中からは、次の共通点を見出すことができる。
(一)対外開放、国際経済システムに積極的に融合する市場経済体制。シンガポールは外部資源との交換に依存しており、香港は世界で最も開放的な自由市場経済体とされている。この対外開放と市場経済により、経済を拡大する必要条件が備わった。
(二)シンガポールや香港といった、農村部の土地および農民の問題が存在しない都市経済体を除き、日本、韓国、台湾は戦後、それぞれ特殊な条件の中で徹底的な土地改革を進めた。土地の分配を平均的にし、その後の工業化の基礎を固めた。これはラテンアメリカおよびアジアのその他の国で、土地が極少数の人物に握られ、土地改革が徹底されなかったケースとは大きく異なっている。
(三)この5つの経済体はいずれも典型的な欧米の体制とは異なっているが、効率の高い政府が存在する。政府は発展主義に基づき積極的に経済成長を推進し、高い貯蓄率と投資率を確保し、経済拡張のために不可欠な公共製品(国家安全、社会の秩序、公共財政・金融政策の安定性)を提供し、経済の大幅な変動は生じなかった。これは同じく中所得国である中東諸国の戦乱と社会の不安定、ラテンアメリカ諸国の財政・金融政策の大きなぶれやインフレの多発とは対照的だ。韓国と台湾の都市化はほぼ完了しており、市民階級が社会の主体になり、高所得の仲間入りを果たし、民主化へのモデルチェンジを安定的に実現し、その後の持続的な成長に対して社会の反発を回避する体制・構造を提供した。
(四)日本、韓国、台湾は戦後約30年の時間をかけて、農業人口を中心とする農業社会から都市社会へのモデルチェンジを実現し、農民を市民に変えた。これにより歴史上の早期工業化国、現代ラテンアメリカおよび南アジアに普遍的に存在するスラム街の形成を回避した。東アジア経済体は農村部の人口が占める比率が低く、都市部と農村部の所得格差が小さく、都市の中にもスラム街が形成されておらず、国民の基本的な権利の均等化を実現した。人の都市化と市民化は、経済及び人的資源のアップグレードに向け基礎を固めた。
(五)日本、韓国、台湾という典型的な都市部・農村部経済体は、低所得→中所得→高所得にモデルチェンジする中で、制度および政策の調整により貧富の格差を低い水準に抑え、名実相伴う「包括的な成長」を実現した。自然資源がまったくない孤立した都市であるシンガポールと香港は、外資と資源を引きつけるために、長期に渡り税金を低く抑えている。またその他の国や地域より所得分配の調整が強く進められていないため、ジニ係数が高いが、ラテンアメリカの深刻な二極化と同列に論じることはできない。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月13日
http://j.people.com.cn/94476/8564318.html
東アジアの奇跡、中国復興の啓発に(2)
2014年03月13日14:10
上述した東アジアの5つの経済体は、世界銀行の「成長・発展委員会」の報告書の表題「持続可能な成長、包括的な発展」を実現した。これは持続可能な成長により、先進国との差を詰めることができるからで、包括的な発展は持続的な成長の必要条件である。国内成長の理論が示しているように、成長が全要素生産性の向上への依存、人的資源と無形資産への依存を強めるにつれ、人々の普遍的な素養が中心的な役割を演じるようになる。これは、社会の圧倒的多数の人、特に彼らの次の世代に平等な競争のチャンスを与える必要がある。自らの勤労と知恵で富を築けるようにするのだ。これは農業社会が工業化・情報化の都市社会にモデルチェンジ中の二極化経済構造を持つ国にとって、農業人口を大幅に減らした上で、一定規模を持つ現代農業を発展させることを意味する。同時に農村移転人口の雇用を保証し、住宅を提供し都市にとけ込ませ、市民としての平等な権利を与えることを意味する。しかしこれは発展途上国が、最も手を焼いていることだ。
それでは東アジアの5つの経済体、特に農業社会から変化した日本、韓国、台湾はなぜ成功したのだろうか?彼らは人々の注目を浴びない、モデルチェンジの成功にとって極めて重要な何かを握ったのだろうか?
東アジアの一つ目の経験は、対外開放と市場経済体制だ。これは中国が改革開放から進めてきたことであり、中国が30年以上に渡り大きく変化した原因でもある。しかし世界銀行が報告の中でまとめたように、これらの新古典主義的な提案は成長に必要だが、先進国に追い付くには不十分である。なぜなら戦後、市場経済に取り組み世界経済の中に入った開発途上国は多いが、現代化を実現した国はわずかだからだ。
東アジアの二つ目の経験は、中国が最も成功した内容でもある。中国は1950年代前半に過激な土地改革を進めたが、これは最も徹底的な土地分配改革であった。その後の集約化の紆余曲折を経て、1980年代前半の生産責任制は最も公平な土地分配運動となった。これはその後の豊富な農産物供給、農民の土地からの解放の基礎となった。
東アジアの三つ目の経験は、効率的で積極的な政府だ。発展主義を主柱とし経済成長を積極的に促し、高い投資率を維持する。次に経済成長に不可欠な公共製品(国家安全、社会の秩序、公共財政・金融政策の安定性)を提供し、経済の大幅な変動を回避した。これは中国の長所、過去の成功であもる。今後必要になるのは、都市化の発展および人々の公民意識の向上に伴い、国家が時代の流れに乗り法治化と民主化を進めることだ。
東アジアの四つ目の経験は、中国の弱点というべきだ。計画経済時代から引き継がれた戸籍制度が取り消されず、根本的な改革が行われなかった。中国の都市化は長期的に、農民が農村を離れ都市部に進出しながら、自分の出身地から切り離されないという道を歩んだ。つまり農民が都市部で出稼ぎ労働者になっても、農民としての身分、実家の土地に変更はなく、都市部の戸籍も開放されていない。それゆえ、農民は往々にして若い時に出稼ぎをし、年をとったら帰郷し畑を耕すことを選択している。この低コストの工業化、都市化の道は、これまでの長い期間に渡り中国の経済成長を促し、コスト面の強みで中国を世界の工場にした。これは人々が今もなお、このモデルを捨て切れていない原因でもある。しかし新世代の出稼ぎ労働者が余り帰郷しなくなっており、都市部と農村部での生活により労働力の流動と浪費が生じている。また出稼ぎ労働者の次の世代の素養を引き上げられず、農村の一定規模の経済の発展と農業現代化を妨げている。この道は、もはや歩み続けることができない。出稼ぎ労働者の流動は、日増しに深刻化する社会問題を生んでいる。ゆえに戸籍制度改革を加速し、都市に融合する市民化を実現することは、中国の今後の最も差し迫った課題になっている。
東アジアの五つ目の経験は、中国の四つ目を上回る弱点である。中国の貧富の格差はわずか20数年間で、世界で最も平等な分布状況から、世界の主要国のうち最も不平等な国になった。莫大な非公開の収入を除くと、中国のジニ係数は0.5の危険水準に近づいている。中国の1人平均の所得は世界で100位近くとなっており、世界の約半分の高級品を消費している。世界の経験によると、貧富の格差が大きい開発途上国は、現代化へのモデルチェンジを安定的に実現できない場合が多く、国内の激しい衝突、社会の混乱、経済の変動が伴う。これは中国が警戒すべきことだ。
ゆえに東アジアの国と地域の経験をさらに研究し、特に四つ目と五つ目の成功例を参考にすることは、中国が経済発展と民族の復興を実現する上で、より特殊な意義を帯びてくるだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年3月13日
http://j.people.com.cn/94476/8565161.html
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