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株式日記と経済展望
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アメリカは長年にわたって「もし中国が民主化されて世論が政策の形成に大きな
役割を果たすようになれば中国はおとなしくなる」と考えてきた。ロバート・カプラン
2014年2月20日 木曜日
◆ロバート・カプランによる中国の戦略分析 地政学を英国で学んだ
http://geopoli.exblog.jp/22083873/
なぜ中国は周辺国を挑発するのか
By ロバート・カプラン
●中国は東アジアで一体何をしようとしているのだろうか?北京の最近の新しい漁業ルールの規定宣言は、周辺国の怒りやアメリカの狼狽を引き起こしている。
●防空識別圏の一方的な宣言は、アメリカがグアムからB-52を飛ばしたことにもつながっており、これによってアメリカは実質的に日本を守ることを宣言したようなものだ。
●日米の固い決意に直面した中国は、本当に釣魚島(尖閣諸島)を守ることができるのだろうか?もしくは南シナ海のスプラトリー諸島を支配することができるのだろうか?
●中国のハッタリは実力よりも大きいいのだが、東シナ海と南シナ海では実際には弱い立場にあるとも言える。新しい防空識別圏を守るために必要となる地上の早期警戒システムはあまりにも遠い位置にあるか、まだ生産段階にあり、その点においては日本のほうがはるかに高い性能を持った機器を備えている。
●中国側の海洋面の兵站や長距離の兵站線は、スプラトリー諸島の支配と維持を難しくしているのだ。
●もちろん日本をのぞけば、中国海軍や沿岸警備隊は、その周辺国の軍隊を蹴散らすことができるだろう。しかし中国はアメリカを含むどの組み合わせの同盟国も圧倒することはできない。そして現状維持を変更しようとするいかなる行動も、結局のところはアメリカを引きこんでしまうことになるのだ。
●フィリピンは自国の周辺にアメリカの海・空軍力を拡大するように積極的に要請しており、ワシントン政府はもうすぐ日本に最新の空母を派遣する予定になっている。
●ところが、もし北京政府が実際の紛争を避けつつも、単なる「国内向けのパフォーマンス」としてアメリカとの緊張関係を高めたいと考えているとすればどうだろうか?
●これはかなり危険なやり方ではあるが、それでも中国の行動をうまく説明していると言える。実際のところ、これは中国がアジア・太平洋地域の全域で行っていることであり、たしかにニュースの見出しを飾るものではあるが、それでも紛争に至るほど激しいものではないのだ。
●中国は島々の周辺に沿岸警備隊の船を派遣しており、時おりフィリピンやベトナムの漁船にいやがらせをすることがある。ところがその役割は主に空威張りやハッタリだけであり、ほぼすべてのケースでは中国は戦略的な現実を根本的に変化させることはできていない。
●たしかに中国の圧倒的な海軍力や空軍力はまだ存在していない。そのため、アメリカはこのような中国側の行動をほぼ無視している。いいかえれば、アメリカがこの地域で海軍力の拡大を行っている明白な証拠はないのだ。
●したがって、現在われわれが目撃しているのは、主に中国が国内向けに行っている「管理された紛争」である。
●これによって北京政府は「台頭する中国」という感覚を強化するための民族主義的な精神の高揚の維持を行っていることになるのであり、この感覚はとくに不景気の時には政権にとって必要となってくるものだ。
●また、海洋で空威張りをすることによって、中国は他の海洋権益を主張する周辺国との交渉を強い立場から進めることができる。そうすれば後になってから力の弱い国に対して中国側が領有権を主張する際に有利になるのであり、明らかにこれを周辺国は心配している。
●さらにいえば、海軍と沿岸警備隊がフィリピンや日本などを敵に回すことによって、中国は国内の聴衆にたいして、「この二つの国と同盟関係にあるアメリカにたいして立ち向かっている」というイメージを喧伝することができるのだ。
●ここ数年間に中国が東シナ海と南シナ海でどのような行動を行っているのか、そのパターンが興味深い。
●たとえば中国の一方的な行動がアメリカの注意を引いてコストが利益を上回ることになると、中国はその注意を別のところに向けるのだ。
●たとえば中国が南シナ海のフィリピン近くのスプラトリー諸島で何週間にもわたって紛争を煽るようなことをやったとしても、アメリカがその行動に気づいて海軍を動かそうとすると、軍事的な(そして国民の)注意を日本と対立している東シナ海のほうに向くように仕向けるのだ。
●もちろんこうしている間にも中国側はフィリピン周辺海域でのパトロールをやめておらず、その頻度は下げて、東シナ海の尖閣周辺のような別の海域での活動の頻度を上げるのだ。
●そうなると南シナ海での紛争のニュースは少なくなり、逆にベトナムや台湾との領海争いのレベルを上げることになる。
●中国は米海軍と米空軍が監視している太平洋では海の支配権を完全に確立することができないため、実際のところは国内向けの「イメージ操作」という意味合いが強いのだ。
●中国の軍事能力はアジアの他のどの国よりも速い速度で発展しているために、北京政府にとっては紛争を起こさずに時間稼ぎするほうが合理的であるということになる。
●そうすることによって多くの国は次第に中国に従わざるを得なくなり、周辺国のアメリカへの心理的従属状態を軽減できるのだ。
●実際のところ、もし中国のリーダーたちが国内からの圧力にさらされていなければ、彼らにとっては長期的なゲームを楽しんで大人しくしているほうが合理的である、ということになる。実際にケ小平はこれをアドバイスして成功させてきた。
●ところが中国のリーダーたちは、どうも国内からの圧力を感じているように見える。
●数年前までの経済面での奇跡はもう存在しないし、構造改革は待ったなしだ。そしてケ小平レベルでの改革が成功したとしても、社会・経済面での混乱は避けられないだろう。
●中国の新しいリーダーである習近平は、国民からの圧力を下げるレバーを必要としており、この際に簡単に使えるのが「ナショナリズム」なのだ。
●まとめると、東シナ海と南シナ海で危機を起こしている中国は、長期的な国益を犠牲にして、国内向けの短期的な利益を得ようと行動しているように見える。
●結局のところ、フィリピンのような国をいじめて、日本との緊張を高めるのは、この二国のアメリカへの依存度を上げてしまうだけであり、これは中国としては避けたいところである。
●ここには一つの皮肉が見える。独裁者というのは、少なくともその定義からして、国民の総意にしばられることはない存在である。ところがこの場合や多くのケースと同様に、独裁者というのはそれが非生産的であることを知りつつも、国民からの支持を必死に得ようと努力せざるをえないのだ。
●もちろん中国の指導層や国民たちは、太平洋における中国の主権を本気で信じており、覇権的なアメリカを後ろにつけた他国の間違った主張にたいして反論しているだけだ、ということになる。
●ところがこれらの主張を実現する可能性は、やはり中国がなるべく目立たないように行動しながら軍事力を向上させ(韜光養晦)、あとで驚くほど力を見せつけるのを狙うことで高まるはずなのだ。
●アメリカは長年にわたって「もし中国が民主化されて世論が政策の形成に大きな役割を果たすようになれば中国はおとなしくなる」と考えてきた。
●ところがこれはどうも間違っているようだ。中国の指導層が国民の声を聞こうとすればするほど、政権の行動はより獰猛かつ民族主義的になる可能性が高い。したがって、東シナ海におけるこの危機は段々と弱まるかもしれないが、同じような危機は別の場所で次々と勃発するはずだ。
●長期的にみれば、中国の軍事力はその「口先」に追いつくはずであり、そうなると中国の主張にたいする周辺国の反発への意欲は下がるだろう。
(私のコメント)
アメリカ人は、やはり中国が豊かになれば洗練された民主国家になるといった「神話」を信じていたようだ。キッシンジャーでさえそのように考えていた。これはアメリカ人がいかに中国の歴史に疎いかを示すものであり、アメリカの歴史学会のレベルの低さを示すものだ。
中国の歴史で近代史の中でも一度も国政レベルの民主的選挙が行われたことが無く、選挙と言っても信任投票だけだ。ロシアや中央アジア諸国も選挙が上手く機能しているとはいえず、選挙が終わると選挙は無効だといった混乱が起きる。日本の左翼もそれをまねて不正選挙のうわさを流すが上手く行っていない。
アメリカでも大統領選挙では不正選挙が行われているのはフロリダでの開票作業などでも確認されている。アメリカでは投票用紙に穴を書ける投票かコンピューター端末で投票するシステムですがこれでもプログラムに不正があればインチキが出来る。日本のように投票用紙に直筆で名前を書くという事は少ないようだ。これでは投票用紙を改ざんするのも大変だ。
アメリカ人から見ても、日本人と中国人の見分けがつかないから日本と同じように中国も民主化が出来るとアメリカ人が考えても不思議ではありませんが、日本と中国では歴史や文化が異なる。香港やシンガポールなどのように都市国家や、韓国や台湾のように戦前に日本の統治を受けていた地域は民主化が実現しましたが、中国本土にはそのような基盤が無い。
中国政府自身も独裁国家による不合理性は分かってはいるのでしょうが、広大な領土を一つにまとめる手段は独裁制度しかないのでしょう。中国やロシアにしても広大な領土と多民族国家であり支配力が弱まれば分離独立の動きが必ず出てくる。中国のチベットやウイグルもそうだし、ロシアのチェチェン紛争などもそうだ。
中国は愛国反日教育で国家を一つにまとめようとしてきましたが、それがブレーキが利かなくなって国民からの突き上げが強くなれば、中国政府は日本に対して挑発的な行動をとらざるを得ない。外交的にも歴史カードでの反日プロパガンダを繰り返して国民の不満を外国に向けさせる。日本のマスコミにも手をまわして同調させる。
アメリカから見れな中国と言う巨大市場を育てて、多くの多国籍企業が中国に進出しましたが、最近では中国から手を引くアメリカ企業が増えている。経済的に豊かになったにもかかわらず民主的な法制度が運用されず、中央政府や地方政府の腐敗汚職が進んで賄賂が無ければ仕事が出来ない国家になってしまった。
問題はアメリカの対中姿勢ですが、オバマ政権ではライス補佐官やケリー国務長官など対中融和派が政策を進めている。これでは中国の強硬外交を容認するような動きとなり、中国の艦隊はインドネシアからフィリピンを回る示威的な威圧航海を繰り返している。それに対するアメリカ海軍の動きが見えない。
中国は領海設定や領空設定を南シナ海や東シナ海に設定はしても実効支配できるほどの力はない。フィリピンやインドネシアの海空軍は弱体であり単独では対抗が出来ませんが、アメリカは厭戦気分が強くなり中国との対立を回避したい。日本に対しても中国を刺激するなと言うばかりで、日本を抑え込んで中国は野放し状態にしている。
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