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ナイフを所持した男による立てこもり事件が発生し、人質救出にあたる中国の警察官ら=1月9日、雲南省昆明市(ロイター)
【中国トンデモ事件簿】横行するニセ警官 恐喝に詐欺、麻薬密売も…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140127/frn1401270858001-n1.htm
2014.01.27 夕刊フジ
警察官を装った犯罪が中国で横行している。日本でも振り込め詐欺の犯人が電話越しに警官を装うケースはあるが、中国では堂々と制服を身にまとってなりすまし、“権力”をかさに着て恐喝や詐欺、暴行などやりたい放題の狼藉(ろうぜき)におよぶのが特徴だ。本物の警官と出くわし、コントのようなシーンが繰り広げられることもあるようで…。(西見由章)
ホンモノ警官対ニセ警官
1月18日、国営の中国中央テレビは「ホンモノ警官Vs.ニセ警官」と題したニュース映像を放映した。カメラがとらえた大捕物の概要はこうだ。
陝西省安康市の高速道路料金所に、制服警官2人の乗った四輪駆動車が通りかかった。集金係の職員に通行料金を支払う警官ら。そこに突然、数人の人影が四駆を取り囲み、ハンマーで車の窓をたたき割って2人を車外へ引きずり出した。
「なんで警官が捕まっているんだ」。事態が飲み込めずに呆然(ぼうぜん)とする料金所職員。
実は、四駆に乗っていた2人はニセ警官で、麻薬の運び屋だった。麻薬密売グループを捜査していた同市の警察が、中国南部の広東省から麻薬が運ばれるとの情報を得て容疑車両を尾行、料金所で急襲したのだ。車からはケタミンなど大量の麻薬が押収されたという。
買春客から恐喝
ニセ警官が摘発されるのは、中国では決して珍しいケースではない。
1月16日の山東省の地元テレビ局の報道によると、同省聊城市では、警官を装って恐喝や暴行を繰り返していたグループが検挙された。
犯人グループは警察車両によく使われるセダンタイプの車2台を使用。目撃情報を基に張り込んでいた警官が、暴行の現場をおさえて犯行グループの10人を現行犯逮捕した。
中国では、ヘアーサロンの店舗奥で売春が行われているケースがある。犯人たちはそこに目をつけた。
まず、ヘアーサロンから出てきた客を取り囲んでニセの警察手帳を見せ、車に乗せる。店内で売春などの違法行為がなかったかを問い詰め、家族に連絡すると脅したり、暴行を加えたりして現金を要求。多くの客がおとなしく従ったという。
犯人らはインターネットを通じて警察の制服や警察手帳、警棒、手錠などの“模造装備”を購入、警官になりすましていた。余罪は40件以上、被害総額は20万元(約340万円)に上っている。
まるでお笑いコント
あちこちでニセ警官が出没しているため、コントのような場面が展開されることも珍しくないようだ。
昨年9月、陝西省南鄭県でのできごと。インターネットカフェに1人の若い男性警官が現れた。警官は店内の避難通路や消火設備など営業上の検査項目をチェックしにきたという。
女性店主は、若い男が関係法令に詳しい上に注意事項を書いた紙まで渡してくれたので、すっかり警官だと思い込んだ。
その後の男の行動は明らかに不審だった。「所用があり必要だから」と店主に2500元(約4万2千円)を貸すよう要求したのだ。
2時間後、今度は別の警官が「検査」にやってきた。
店主は驚いて言った。「検査って、さっきやったばかりじゃないの。その警官は、あそこに座ってネットやってるよ」
かくしてニセ警官の男(25)は、あえなく御用となった。男は北京で警備員をやっていたことがあり、友人を通じて警察の制服や装備を入手。ネットカフェの営業法令は独学で勉強したのだという。その情熱とエネルギーをまともな方向に生かしたらどうか…。
偽のパトカーまで
交通取り締まりと偽ってドライバーから“罰金”を徴収したり、道路の通行料を請求したりと、ニセ警官の犯罪には他にもさまざまなパターンがある。
3年前には北京で、パトランプとサイレン装置付きの本格的な偽造パトカーが押収され、後部トランクから防弾チョッキやヘルメット、無線機などが見つかったことも。犯人の男は「ナンバープレートをつけないまま走行できたりして、いろいろと便利だった」と供述した。
こうしたニセ警官たちは中国で、小説「水滸伝」に登場するキャラクターを引き合いに「李鬼」と呼ばれている。怪力の豪傑、李逵(りき)の名をかたって旅人を脅し、追いはぎをしていた人物だ。中国の警察当局も、こうした「李鬼」の取り締まりに力を入れ始めてはいるが、いたちごっこが続いているようだ。
あらゆるものにニセモノが存在するといわれる中国。「李鬼」たちの跋扈(ばっこ)は、警察権力が地域社会でいかに幅をきかせているかを物語ってもいる。
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